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「コタローは1人暮らし」を読んだ感想・レビュー

 

例えば「銀魂」みたいに1話1話が独立していて、今日は笑いの回、今日はシリアスな回…って感じで使い分けてるならアレだけど、設定がギャグで面白いにも関わらずどこか重いストーリーって今までありました?

テイストはギャグ漫画、でも終始笑いっぱなしってわけじゃなくて、どこかしんみりしてしまう。「そんな漫画あるのかよ!」って思うじゃないですか?…あるんです。今回は漫画としてのジャンルはよくわからないけど、めちゃくちゃ夢中にさせられてしまう「コタローは1人暮らし(連載中)」を紹介します。

※最初の数話に関して若干のネタバレ(2巻まで)あり。

 

 

コタローは1人暮らし あらすじ

 

アパート清水の203号室に引っ越してきた謎の4歳児コタローと、そのアパートの住人たちの日常を描いたハートフルな物語。コタローの両親は何をしているのか、どこにいるのか。多くの謎に包まれながらも近隣住人がそれを受け入れ、コタローと一緒に日常を過ごしていく。

アパートメントコメディーとして、笑いあり涙ありの名作になるポテンシャルをひしひしと感じる作品である。実写化は難しそうだがアニメ化は堅い(んじゃないかと僕は勝手に思ってる)。

※2021年4月24日、実写ドラマ化されました。

 

コタローは1人暮らしの登場人物

さとうコタロー(203号室)

 

本作の主人公であり、謎に包まれた4歳児。

1人暮らしをしているという設定もそうだが、引っ越しの挨拶でアパートの住人に高級ティッシュを配って挨拶回りするなど、子供っぽくない一面も多い。時代劇っぽい口調はアニメ「とのさまん」の影響を受けている。

 

狩野進(202号室)

 

漫画家志望の31歳。コタローの隣人ということもあって、登場回数が非常に多い。そしてコタローと親子に間違われるくらい顔が似ている(顔っつーか目?)。

自堕落な生活を送ってはいるが、常にコタローのことを気にかけている優しき人物。

 

秋友美月(201号室)

 

キャバクラ勤務の綺麗なお姉さん。

アパートの更新時期が迫っていてどうしようか悩んでいたが、とあるエピソードがキッカケでコタローと一緒にいるために更新を決意する。影にヒモ男の存在がチラ付くが、現時点ではまだ真相は明らかになっていない。

 

田丸勇(102号室)

 

見た目が怖く、コタロー以外の人と接する際はまるでヤ〇ザ。しかし子供好きのようで、コタローのことは「コタローきゅん」と呼び、溺愛している。

実の息子がいるらしいが離婚して親権は元妻が持っているせいか会うことも叶わず、息子とコタローを重ねているのかもしれない。

 

コタローは1人暮らしの見所をチェック!!

子供っぽくない4歳児が見せる「やっぱ子供だなぁ」という瞬間

 

本作の主人公でもある4歳児のコタローは謎多き少年で、ほとんどの読者が「子供っぽくない」という印象を抱くと思います。

そもそも1人でアパートに住んでいたり、言動の1つ1つを取っても子供っぽくないシーンの方が多いんだけど、そんなコタローが見せる4歳児っぽい瞬間は間違いなく笑える!

普通は「子供が子供っぽくないことをしたとき」に笑いが起きるはずなんだけどね。そういう意味でも本作は異端じゃないかと。

 

コタローのどんな謎の行動にも意味があると気付く瞬間

 

コタローは4歳児なのに1人暮らしをしているという時点でもう設定がぶっ飛んでるから僕はあんまり気にならないんだけど、読者によっては「生活費とか家賃とかどうしてんの?」って思う人もいるんじゃないでしょうか?

実は母親の保険金が毎週弁護士さんによって届けられていて、それを使ってコタローは生活してるらしいです(母親がどうなってしまったのかは現時点では謎)。

 

で、それを届けてくれる弁護士さんをコタローは大歓迎して、お茶を出したり歌を唄ったりしてもてなしてるんだけど、本質が見えてないと「コタローってやっぱ変な奴だなぁ」的な感じになっちゃうんじゃないかと思うんです。

実はこのお金は母親の保険金であることはコタロー本人には伏せられていて、心優しい人からの寄付からだと伝えられています。そしてその人に会うことは叶わないとまで言われているんだとか。

それを受けての「その心優しい人に伝わるように、担当の弁護士さんに親切にする」という心意気ですよね。本作ではコタローが謎の行動を取ることが多々ありますが、どれにもちゃんとした意味があります。その深さたるや…人間の業の深さと言っても過言じゃないような気がする。

 

コタローは1人暮らしの個人的に好きなエピソードを紹介

お弁当はなるべく手作りでお願いします

例えば父の日に「お父さんの似顔絵を描きましょう」とか、母の日に「お母さんの似顔絵を描きましょう」とか…。僕が幼稚園、小学校の時は普通にあったんだけど、今もあるんですかね。

今はシングルマザーも多いって聞くし、保育士さんとか先生ってそこまで考えてるんじゃないかなーって思いつつも、コタローの通う幼稚園では毎週水曜日がお弁当の日で、なるべく手作りのお弁当をってことみたい。

そこでコンビニ弁当を買い、イートインスペースで自前の弁当箱に詰め替え作業をしたコタロー。でも実際にそのお弁当を食べていると、周りの子たちがキャラ弁とか凝ってるお弁当を持ってきていることに気付き…。

 

 

コンビニのイートインで色んな人のアドバイスを貰いながらキャラ弁を作るっていうね。

女子高生、サラリーマン、そしてお坊さんまでもがコタローの為に一生懸命アドバイスをしている姿がすごく滑稽で面白い。で、もし本作がギャグ漫画ならこれで終わると思うんです。

本作がヒューマンドラマだと思うのはここからで、他の子が迎えに来てくれたお母さんに対して「お弁当美味しかったよ、ありがとう」的なことを言うわけですよ。コタローはそれを1人で見てて…。

 

 

キャラ弁を作ったコンビニで待ち伏せして、アイディアをくれた人たちにお礼を言うっていう「なにこれ?超ハートフルなんじゃねーの?」って展開を迎えるわけです。さすがに泣くとまでは言わないけど、心にはズシーンってくるよね。

 

写真に写りたがらないコタロー

 

写真を撮ろうと思ってカメラを向けると、急にヘッドバンキングを始めるコタロー。狩野と美月が思い出に写真を残そうとあの手この手で撮影を試みるのに対し、頑なに拒否するコタローの姿が印象的です。

これがただの4歳児なら「変な奴だなー」くらいの感じで終わるんだろうけど、実は幼稚園の集合写真でも顔を隠すという徹底ぶりも明らかになり、よほど写真が苦手な様子。

でも蓋を開けてみたら、かつて養護施設の写真に写ったことが原因で、コタローの親を名乗る人物が施設に殴り込んできたことがあり、その時に施設のみんなに迷惑を掛けてしまったという自責の念がそうさせたというエピソードが明らかになるんですよね。

それを狩野や美月に言わず、ただ「苦手だ」という理由で拒否し続けるコタローの姿にも少しウルっとくるんだけど、極めつけは…。

 

 

狩野が絵で思い出を残してくれているという粋な演出です。コタローはコタローでいい子だなーって思うけど、美月も狩野もいい人すぎてなんかアレだね。世知辛い世の中が浄化されてくような感覚が病みつきになりますね。

 

現在は既刊3巻だけど、更なる飛躍に期待

2018/02/09現在は第3巻まで発売されていて、未だに多くの謎が隠されているような状態。でも今のままの勢いを保ちながら4巻、5巻と進んで行ったら、間違いなく名作になると思います。

「最初は面白かったんだけど段々つまらなくなってきて、終わり方なんかもう最悪!」って漫画も腐るほど見てきたけど、これはベタなハッピーエンドでもいいから、とにかくコタローには幸せになって欲しいし、現時点でもかなり期待しちゃってます。とりあえずアニメ化は堅い(と僕は思ってます)。

 

あとがき

コタローが可愛すぎて物語から目が離せない。そして絶対に幸せになって欲しいとバリバリ感情移入中。

 

 

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