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「実験島」を読んだ感想・レビュー

実験島1表紙
Ⓒ実験島

孤島で行われるサバイバルとかサスペンス展開がめちゃくちゃ好きです。簡単に逃げられないっていうシチュエーションだけで盛り上がり方が1.5倍増しくらいにはなるんじゃないかと思っています。

本作は製薬会社の新入社員研修で巻き起こる、信じられない出来事を描いた作品です。というわけで今回は、タイムリープの概念を持ったパニック系サスペンス「実験島(全3巻完結済み)」を紹介します。

実験島 あらすじ

じゃあ…全員これ飲んで。製薬会社の研修で孤島に集められたボクら。配られた謎の薬、変貌する同期――― 死の実験に巻き込まれたボクは一度死んだ…はずだった。絶海の孤島から脱出せよ――――!! 薬剤パニック×サスペンス、開幕!!

実験島の見所をチェック!!

就職先の製薬会社で治験をするのが始まり

実験島1
Ⓒ実験島

本作は新入社員として入社した製薬会社の総合研修にて、いきなり意味不明な薬を飲まされるところからスタートします。まぁこれがまともな薬であるわけがなく、この薬を飲んだ人に良くない症状が起こるという展開です。

海外の防弾チョッキを作る会社で、新入社員に商品を着せて銃で撃つみたいな文化があるとか無いとか聞いたことがありますが、入社して2日とか3日目で治験ってめちゃくちゃ怖いですよね。自分が開発に携わったとかならまだしも、個人的には「こんなん飲む方がどうかしてる」くらいに思います。

飲んだ方が正解なのか、それとも飲まない方が正解なのか…これは実際に本作を読んで確認してもらえたら。いずれにしてもこの実験島は正気の沙汰じゃないとだけ言っておきましょう。

豹変する同期社員と恐怖の始まり

実験島2
Ⓒ実験島

まぁタイトルの段階で大体の察しが付くとは思うんだけど、本作は簡単に言うと「何らかの実験が島で行われている」という設定のパニック系サスペンスです。島だから簡単に外部に助けを求めることができず、孤立感でもって恐怖や焦りが増す感じ。

製薬会社が治験と称して新入社員に飲ませている薬剤は何なのか、こんなことをしている目的は何なのか等、色んな謎を解き明かしながら島を無事に脱出するというのが目的になっています。

でも恐怖感というよりも謎の方が大きくて、終始「なんでこんなことに?」っていう部分が気になるんじゃないかと思うので、パニックホラーというよりはサスペンス要素の方が大きいんじゃないかと思いました。

ゾンビのような得体の知れない生き物に命を狙われる恐怖というよりも、製薬会社の目的みたいな部分に興味があるという人なら楽しめるのではないかと思います。ホラーよりもサスペンス派の人におすすめです。

一度死んだら生前にタイムリープする

実験島3
Ⓒ実験島

そして本作の大きな特徴の一つが「死ぬと生きていた時間にタイムリープする」という点です。これで前回失敗したことを見直し、自分に有利になるように組み立てて立ち回ることができます。

ぶっちゃけタイムリープ作品って、何度もやり直せるメリットと同程度の困難があることが前提じゃないですか?ゲームでいえばデモンズソウル系のような「初見じゃ絶対にクリアできないような難易度の高い死にゲーを反復回数と経験で乗り越える」みたいなやつ。

もしくは「あちらを立てればこちらが立たず」みたいな展開に四苦八苦させられる系ですね。全員生存ルートを目指したいんだけど、それだとどこかで行き詰まってしまうみたいな。良くも悪くも本作にはそのどちらも無いように感じました。

なのでサウンドノベルで言うところの「変な寄り道をしたりせずに正解ルートだけを追いたい」という人におすすめです。長所でもあり短所でもあると思うんだけど、実に効率の良い動き方を堪能できます。

実験島 全3巻を読んだ感想・レビュー(軽いネタバレあり)

実に最短距離を駆け上がるサスペンスっていう感じの全3巻でした。どの時点で作者の方が物語のエンディングを意識し始めたのかは分かりませんが、物語後半の加速度がハンパないです。

個人的にはあまり辻褄が合っているようにも思えず、タイムリープの能力が開花したキッカケも「ふーん」という感じで、いまいち感動はありませんでした。そして島が生き地獄みたいになっているにもかかわらず、元カノとイチャイチャする主人公っていうのがノイズでしかなかったようにも思います。

タイムリープっていう概念がある漫画に対してリアリティどうこうは言っちゃいけないけど、元カノの日記が気になったからって新入社員研修中に元カノの部屋に忍び込むのは、リアリティどころか常識無さ過ぎてやばいって。

あとは「ゾンビみたいなのに追われても服を覆いかぶさることで視認されないっていう設定なら、それで最後まで行けばよかったのに…」みたいなことを言いたくなる感じがあって、個人的にはちょっと合わなかったです。

あとがき

ケチを付けたくなるリアリティの無さと、許せるリアリティの無さの境界が自分でも分からない。