記事内に広告を含みます

「ロッタレイン」を読んだ感想・レビュー

ロッタレイン表紙
Ⓒロッタレイン

複雑な家庭環境の物語ってなると悲しい気持ちになるんじゃないかと思って、なかなか簡単には手を出せないんですけど、本作はマジで読んでほしいと思える恋愛漫画です。

簡単に言うと血の繋がりがないきょうだい同士の恋愛がテーマになっていて、とにかく考えさせられる作品と言っても過言ではありません。というわけで今回は、ひと夏の儚い恋の物語「ロッタレイン(全3巻完結済み)」を紹介します。

ロッタレインのあらすじ

仕事・恋人・母親… 全てを失った一(はじめ)の前に現れたのは、14年前 自分と母を捨てた父と、初めて会った血のつながらない義妹・初穂。初穂の母と弟とともに長岡で一緒に暮らすことになるが、家族を乱されることを恐れる初穂は一(はじめ)に敵意を剥き出しに。複雑な関係ながら〈家族〉になろうと歩み寄る一(はじめ)だが、少女と女性の間を行き来する美しい初穂に心奪われ…… 衝動と愛情が交錯する、ひと夏の儚い恋の物語。

ロッタレインの見所をチェック!!

複雑な家庭環境に置かれた主人公

ロッタレイン1
Ⓒロッタレイン

自分を育ててくれた母親が亡くなり、交際していた恋人も職場の上司に取られ、挙句の果てに事故を起こして会社をクビになった主人公が、すべてを失ったタイミングで新しい家族と生活することを決意するところから始まります。

新しい家族っていうのは、何を隠そう14年前に自分と母親を捨てて家を出て行った父親の家族なんだけど、怪我をして入院しているところに父親が来て「一緒に暮らさないか?」と打診してくれるという流れ。

主人公からすればかつて自分を捨てた相手と一緒になるっていうことにもなるし、もっと言えば父親をたぶらかした女とその子供二人と一緒に暮らすっていうことになります。普通ならこっちも気を遣うし、何より相手も嫌がるだろうしってことで遠慮するんじゃないかと思うんだけど…。

そういう部分を考えながらも誰かに甘えたくなるほど弱っていたのか、一緒に暮らすことを決意することになります。複雑な家庭環境、そして新たにゼロからスタートする新生活には見所がたっぷりです。

本来なら恨むべき相手からの懇願

ロッタレイン2
Ⓒロッタレイン

ちょっとこの家族がまた特殊なのが、主人公の父親は四人家族で暮らしていて子供が二人いるんだけど、お姉ちゃんの方が相手の連れ子なので血が繋がっていないという部分です。

弟は父親の子供なんで血が繋がっていて、主人公と娘の間には血の繋がりがないきょうだい関係ということになります(主人公と弟は異母きょうだい、お姉ちゃんと弟は異父きょうだい)。うん、すっげー複雑。

で、もしここで父親の浮気相手が死んでしまった場合、娘が中学生にして天涯孤独になってしまうということになるんですよね。父親も弟もいるんだけど、そのどちらとも血が繋がっていないっていう状況です。

主人公としては父親の浮気相手は恨むべき相手じゃないかと思います。まぁ本当に恨むべきは父親なのかもしれないし、この辺の複雑な心境はちょっと僕には分かりませんが…。主人公がどのような判断をして、どのように新しい家族と向き合っていくのかに注目です。

少しずつ高ぶっていく恋愛感情

ロッタレイン3
Ⓒロッタレイン

不倫は「倫理に非ず」ってことなので理屈じゃないんでしょう。というか基本的に恋愛感情って理屈じゃないじゃないですか?「この人を好きになろう!」って言って好きなるようなもんでもないし、割と少なくないケースで「なんであんな奴を好きになったんだろう…」って思うことがあるんじゃないかと思います。

もう一度言います。恋愛感情って理屈じゃないので、誰をどのタイミングで好きになるのかは誰にも分かりません。遺伝子学的には血の繋がりがあると好きにならないように出来ているみたいなことを聞きますが、血の繋がりがないきょうだいだとすれば…?

アラサー男子と女子中学生っていうことで、恋愛関係になった時には様々な障害が出てくることと思います。ここは法律的な問題も出てくるだろうし、もっと言うと父親が何と言うかみたいな話にもなってくるでしょう。この恋、どのような方向に進んでいくのかはめちゃくちゃ大きな見所です。

ロッタレイン 全3巻を読んだ感想・レビュー

家族愛とかきょうだい愛みたいなのが雁字搦めになって、純愛でもなければドロドロしているっていうほどのモノでもないような、なんか不思議な感じのする全3巻でした。ただ、圧倒的に引き込まれます。

簡単に言えば「血の繋がりが無いきょうだいの禁断の恋愛」みたいなことなんだけど、家庭環境の複雑さとか取り巻く環境が特殊すぎて、とにかく先が気になる感じがすごいです。これは途中で読むのをやめられない、一気読み必至の作品だと思います。

読了後の余韻を残す終わり方といい、ちょっと考察する余地を残している部分といい、すごく洗練されている物語と言っていいでしょう。普通の恋愛漫画なら「これ好きになるタイミングあった?」とか言いたくなるけど、それまでの運びなんかが絶妙だからかスッと入ってくるんですよね。

恋愛漫画が好きな人、ちょっと変わった恋愛漫画が読みたい人には文句なしにおすすめです。

あとがき

アラサー男子と女子中学生か。