前作を読み終えたときに続編ありきな終わり方をしていて、嬉しかったような寂しいような気持ちになりました。嬉しかったのはブルージャイアントの続きが読めることに対してで、寂しかったのは前作を超える音楽漫画になれるのかどうかっていう不安からです。
人気がある漫画で続編から続編っていう風に長期連載になった結果、最終的にあまり面白くないっていう風になってしまった作品は少なくないので、本作はそうなってほしくないっていう思いが強かったのかも。そういう意味では本作は前作からの期待を遥かに超えてきてくれた作品だと思いました。
というわけで今回は、音が聴こえる音楽漫画の続編「BLUE GIANT SUPREME(全11巻)」を紹介します。
BLUE GIANT SUPREMEのあらすじ
止まるわけにはいかない宮本大は、単身ヨーロッパに渡る。降り立ったのはドイツ・ミュンヘン。伝手も知人もなく、ドイツ語も知らず、テナーサックスと強い志があるだけだ。「世界一のジャズプレーヤーになる…!!」練習できる場を探すところから始まる挑戦。大の音は、欧州でも響くのか―――
本作は「BLUE GIANT」の続編にあたる作品です。前作は序章~日本を舞台に活躍する姿が描かれていて、本作はドイツ~ヨーロッパを舞台に活躍する姿が描かれています。
主人公の人柄や決意の大きさ・覚悟みたいなものを知っていた方が本作をより楽しめることは間違いないので、前作をまだ読んでいないという人は前作から読むのがおすすめです。
BLUE GIANT SUPREMEの見所をチェック!!
日本を飛び出してヨーロッパの舞台へ
前作の最後の時点で日本を離れることはほぼ確定していたわけですが、本作の舞台はドイルに始まってヨーロッパに及びます。最近はサッカー選手でもヨーロッパでプレイする選手が増えてきたように思うけど、本作は主人公がサックス一つでドイツに行ったっていう凄さから始まりました。
まず主人公はドイツ語が話せるわけでもないし、そういう状態で大金を持つこともなく、行き当たりばったり的な感じでヨーロッパに行ったっていうチャレンジャー精神に度肝を抜かれます。
そして片言の英語で会話をするシーンが多いんだけど、ニュアンスの違いとか文化の違いなんかに戸惑うシーンなんかもありつつ、前作以上に主人公の大を応援したくなる気持ちは高ぶることでしょう。
新しくできた魅力的な仲間たち
ぶっちゃけ前作の時点で「これ以上のメンバーは無いんじゃないか?」って思ってしまう部分がありました。で、それが解散みたいなことになって寂しい気持ちもあったし、ヨーロッパっていう言葉の通じない土地であんな素晴らしい仲間に恵まれることってあるんだろうかと不安な気持ちもありました。
でもそんな心配は要らなかったようです。世界一のジャズプレイヤーになるっていう目的の前には、言葉の壁とかは別に大した問題じゃなかったんだろうなぁ。実際にアジア人ってことで差別されたりする場面も少なくないんだけど、彼のひたむきさと才能が多くの人を惹きつけることは間違いないわけで、自ずと優秀な奏者が集まってくるっていうね。
そして何よりクセが強くて、すべてにおいて完璧な人間がいないっていうのが良い!人間的に問題のある奴もいれば我の強い奴もいて、それが音楽に表れるっていうのも面白いと感じました。
仲間たちは奏者としては腕が立つのは言うまでもなく、でも楽器を上手く演奏できるかどうかだけで仲間を決めていないっていう奥深さがすごいです。それこそが大の持つ「爆発的なセンス」ってことなんだろうけど、まさにそれを見せつけてくれる素敵な仲間たちに注目してみてください。
前作以上の熱量とワクワクが止まらない展開
これがサッカーだったら「リーグで優勝する=ヨーロッパでナンバーワン」みたいな分かりやすい指標があると思うんだけど、ジャズでそれを証明するのってどうやるのかなってずっと思っていました。
だから明確なゴールがない分、すっげー曖昧な感じになっていたら嫌だなぁと。そして「俺たちがナンバーワンだ!(大歓声)」みたいな安っぽい展開も嫌だなぁなんて思ってたら、そういう心配はなかったです。彼らがヨーロッパでナンバーワンになれたかどうかは、各々の読者が判断すれば良いと思います。
そして今回もまた続編ありきな終わり方で、言うなれば「ブルージャイアントのヨーロッパ編」って感じなんだけど、前作以上の熱量とワクワク感がある音楽漫画になっていることは間違いありません。まぁ前作を読んで本作を読まないって人は本当にごく一部なはずだし、文句なしに本作もおすすめです。
BLUE GIANT SUPREMEを読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
端的に言ってすっげー面白かったです。何の保証もないのにこうやって世界に飛び出して行けるっていう時点でとてつもない才能だと思うんだけど、ただただ心を掴まれて魅了され続けた全11巻でした。
本作を読んでいると世界を舞台に活躍している人たちを、才能という言葉だけで片付けてしまうのが失礼だと感じてしまうくらい、心からリスペクトできるようになると思います。そしてまだまだ発展途上にいる大がどこまで行くのかが楽しみで仕方ありません。
前作からも遥かに成長した大なのに、まだまだ底が見えないというか伸びしろがあるというか…。漫画なのにリアリティが感じられるのも凄いし、本当に読んでいて止まらない音楽漫画だと思います。
前作を読んだ人の多くは無条件で本作を読んでいるって人がほとんどだと思うけど、よほど合わないという人以外は満点に近い数字をあげたくなるんじゃないかと。少なくとも僕は本作に出会えて良かったと思ったし、間違いなく続編も読みます。まだ読んでいない人はぜひ。
あとがき
絶対に、ヨーロッパ1になるぞ。