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「夏目アラタの結婚」を読んだ感想・レビュー

夏目アラタの結婚
Ⓒ夏目アラタの結婚

若い頃は恋愛結婚が普通だと思っていて、そもそもそういう相手がいなければ結婚なんてしなくて良いと思ってました。それが大人になるにつれて、結婚していないことに対するノイズが大きくなってくる現実を知り…。今じゃ結婚しない自由も大きくなってきてるとは言うけど、同時に同姓同士でも結婚したいとかそういう流れに。

いずれにしても夫婦の形なんて人それぞれなわけで、別居婚でもいいし、交際0日で結婚したっていいし…。当人同士が良ければ好きにすればいいんじゃないのって思うわけですが、まさか仕事相手のお願いで死刑囚と結婚する流れってすごくないですか?

というわけで今回は、有名連続殺人犯との獄中結婚「夏目アラタの結婚(連載中)」を紹介します。

夏目アラタの結婚のあらすじ

これは、最も一線を越える「結婚」!! 児童相談所に勤務する夏目アラタは、結婚に夢など抱いていない30代・独身。彼はある日、担当児童・卓斗から「父を殺した犯人に代わりに会って欲しい」という依頼を受ける。犯人の名は品川真珠。【品川ピエロ】と呼ばれる有名連続殺人犯だった…!!

夏目アラタの結婚の見所をチェック!!

主人公は児童相談所の職員

夏目アラタの結婚
Ⓒ夏目アラタの結婚

主人公はちょっと乱暴で荒くれ者ってイメージがあるものの、子供をいじめる側ではなくて救う側。自動相談所の職員をやっている熱血漢という感じです。まぁ熱血漢っていう表現が正しいのかどうかはアレだけど、少なくとも親から虐待を受けている子供は何としても保護するっていう思いの強い人物です。

僕が幼少の頃はしつけの一環として親が子供を叩くっていうのは普通にあったような気がします。もちろん痣ができるまで殴る・蹴るっていうのは論外だけど、外が寒いのに裸同然の格好で放り出して反省させるみたいなこともありました。今やったら完全に児童相談所か警察案件でしょう。

親子の形って千差万別なので、親と良好な関係を築けている人もいればそうでない人もいて、子が親を立派だと思っていなくても良好な関係だったりもするのが不思議です。本作は児童相談所の職員が主人公ということもあり、様々な親子関係についても考えさせられます。

子供に相談されて殺人犯に接近するという流れ

夏目アラタの結婚
Ⓒ夏目アラタの結婚

本作の面白さが詰まっている初期設定は、父親がバラバラ殺人事件の被害者になってしまった子供の相談から始まります。身内がバラバラ殺人事件の被害者っていうのは想像を絶するものがありますが、普通に考えて「バラバラにされた遺体はすべて回収したい」と考えるのが普通でしょう。

そしてこの子の場合、父親の首が見つかっていないということで、黙秘を続ける犯人に対して「父の首の在処を教えてほしい」と思い立ってある行動を起こしたという流れになっています。で、主人公はその尻ぬぐいというか子供の想いを汲んであげたっていう感じ。

複数の男性を殺害した容疑で死刑囚となっている犯人がどのような人物なのか、子供の願い通り父親の遺体の一部を見つけることができるのか。序盤から気になるポイントが盛りだくさんの重厚な伏線に注目です。

殺人犯と結婚して向かう先は…?

夏目アラタの結婚
Ⓒ夏目アラタの結婚

たまに死刑囚が結婚したって聞きますし、とんでもない犯行をやらかした犯人が獄中結婚をしたなんて話も聞いたことがあります。「会ったこともないのになんで!?」って思ってたら、どうやらジャーナリストやら支援者やらが犯人から情報を聞き出したり、あるいは支援を続けるために結婚するっていうことがあるみたいです。

で、じゃあ今回のケースがどういう感じなのかってのは本作を読んで確認してもらえればと思うんだけど、連続殺人犯と獄中結婚っていう展開に心を掴まれたかと思ったら、その後の展開はマジでジェットコースターのような感じ。

猟奇的な犯罪を犯す人って知能指数が高いことが多いって聞くじゃないですか?獄中結婚の例にしても、もし利用して情報を引き出してやろうって近づいたつもりのジャーナリストが、実は死刑囚に利用されて近づいて来させられたんだとしたら?…みたいな。ありとあらゆる可能性を考えるけど追いつかない。それくらいに奥深いストーリーです。

夏目アラタの結婚を読んだ感想・レビュー

コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

乃木坂太郎氏は個人的に妄信というか大好きな漫画家さんの一人で、ぶっちゃけ「乃木坂太郎の漫画なら外れないだろう」ってくらいに信頼を置いています。医龍が一番有名かな。個人的には幽麗塔のミステリー展開だったり、第三のギデオンの先が気になる展開がめちゃくちゃ好きでした。

さて、本作については「夏目アラタの結婚」というタイトルにまったくそそられなかったんですけど、それが死刑囚との結婚だって聞いて一気に前のめりになり、実際に死刑囚とやり取りをする主人公の描写に度肝を抜かれたっていうね。まるで高度な心理戦のようで、この人たちの本心がどこにあるのかと考えてページをめくる手が止まってしまったほど。

表紙絵とタイトルだけだとあまりそそられないかと思いますが、死刑囚との結婚や徐々に明らかになる事件の真相みたいなものが好きな人はぜひコミックス1巻だけでも読んでみてください。たぶん1巻を読んじゃった時点で手は止まらないと思うけど。

コミックス8巻まで読んだ感想・レビュー

僕は漫画が大好きですが、リアルタイムで追いかけるよりは単行本で一気に楽しみたい派です。そんな僕がリアルタイムで追いかけたいってくらいに大好きな作品がこちら。もうね、めちゃくちゃ面白い。

死刑囚の犯人が上手すぎて掴み所のない感じがたまりません。ミステリアスで猟奇的で…不思議と見た目もそれっぽく見えてくるっていうのがすごい。男性に限らず、女性も「ただしイケメンに限る」みたいな部分があると思うんだけど、ルックスがパーフェクトじゃなくても男心をくすぐるポイントって幾つかあって、それを熟知しているというか素で使いこなしているっていう感じでしょうか。

この物語の最終地点がどこになるのかはまだ全然読めてこないけど、事件の真相とこの夫婦の到着点が死ぬほど気になっています。たぶん一度手に取ったら読むのやめられないくらいに面白いので、完結してから一気読みっていうのもアリかも。

あとがき

交際0日婚とか聞くとマジかって思うけど、これほど驚くような結婚はない。