最近は無駄に長いタイトルの作品も多くなってきたような気がしますが、そんな中でも平仮名4文字の存在感ってすごいと思う。
本作は格闘技ファンなら知っているであろう石井館長が原作を務める空手マンガで、単なる空手ではなくて「道場を立て直すためのビジネス戦略」「石井館長が女子高生になってしまう」という、大きく分けて2つの付加要素があるんですよね。これがとにかく新感覚で面白いんです。
てなわけで、今回はアイドル空手でお金を稼ぐ「どるから(連載中)」という空手ビジネス漫画を紹介します。
どるから あらすじ
かつてK-1の創始者&フルコンタクト空手・正道会館館長として名を馳せた石井氏による青春浪漫ストーリー。
氏には、過去に脱税などの罪に問われて1年10ヶ月の実刑判決を受けた過去があるが、本作はその服役を終えた直後に事故に遭ってしまったという設定で進行される。
事故に遭って死にかけているところを、不思議な力のおかげで一命をとりとめたが、気付いたら女子高生に。しかもその女子高生は、経営難に苦しむ空手道場の娘だった。
石井館長扮する女子高生・一ノ瀬ケイは、この道場を盛り上げるために立ち上がる。
どるからの見所をチェック
「どるから」の意味
一見すると「アイドル空手」かと思えるんだけど、内容を見ていると「$空手」という意味合いの方が強いんじゃないかと思えるくらい、空手道場のビジネス戦略について書かれています。
やっぱ石井館長にはK-1を作ったっていう実績もあるし、こと空手に関してはプロの方ですから、その辺の漫画家の人が独自に調査して描いたとかいうよりも、俄然説得力がありますね(漫画家の方が調べて描いた作品でも、ちゃんと取材されてるのが伝わってくる良作はいっぱいあるけど)。
空手マンガって敷居を広げちゃうと、空手に興味ない層がそっぽ向いちゃうってのを気にしてなのか、主人公が女子高生になっちゃうっていうとんでも要素も足されてるけど、序盤を読んだ感じでは多少の気持ち悪さを残しつつも、大きなマイナス要素ではないような気がします。
とりあえず初期設定としては、空手に興味がなくてもビジネス漫画が好きな人なら楽しめる内容ではないかと。たぶん「ドル箱」みたいな意味での「どるから」かな。
無料でサービスを提供することの真意
生徒募集の広告を出すに当たって広告費がかかるってのは何となくわかるけど、実際に広告を出したことがある人でも無い限り、どのくらいの額のお金が動くかってのはわからないじゃないですか?
そこで思い切って「無料をエサに友達を募る」という、一歩間違えばネズミ講みたいなアレなんだけど、別に邪な気持ちからの無料ではないって部分に経営戦略を感じるっていうか、経営者の発想だなーって思わされる。
有名選手を育てて、その選手のネーミングで客を引っ張ってくるってやつじゃなくて、あくまで子供の習い事とか女性のエクササイズとしての空手をメインに考えているって部分も、漫画のテーマとしてはあまり無い気がして新鮮ですね。
例えばボクシングでいいところまで行った人がジム経営するってなったら、教え子を世界チャンピオンにする物語が描きたくなるでしょ?それをボクササイズ目的の女性層とか練習生でジムを大きくしようって発想に、ただただ感服。
月謝100万円の特別コースという目玉商品
ダイエット器具とかでもそうだけど「思ったような成果が得られなければ、お代はいただきません!」的な謳い文句を掲げてる商品って意外と多いですよね。
これはリスクを背負う代わりに自信を売ってる(自信があることをアピールして、成約率を高めている)ケースだと思うんだけど、似たようなケースで「金額的には高いけど、本来の何倍もの効果が得られます」ってのも相当魅力的な謳い文句です。
これはサービスの提供側からすると、1件の成約で何人分もの利益が得られるっていう額面通りのメリットがある他に「やろうと思えばそういうこともできるんだ」っていう、他の生徒たちの信頼に繋がる隠れメリットもあると思うんですよ。
例えば本作では、募集する生徒は当面無料にする代わりに「100万払えば1ヶ月で強くする」という特別コースも開いています。これは、ここに申し込んでくる人がいれば単純に100万儲かるってこと以外にも「金さえ払えば、1ヶ月で人を強くできる手腕のある人に教わっている」という、周りの生徒に対するアピールにもなってるんじゃないかと。
物を売るための経営戦略じゃなく、サービスっていうカタチにならないものを取り扱うビジネスだからこそ、面白いと思える部分も多いですね。
どるから コミックス序盤を読んだ感想・レビュー
所々に女子高生って設定を生かしたお色気シーンと言うか、萌えシーンと言うか…そんなんが出てくるんだけど、中身が石井館長って目線で読んでるもんだから、少し気持ち悪く感じてしまうのが残念(僕だけ?)。
見た目は可愛い女の子だけど一人称がワシだし、言葉遣いも全然萌えない関西弁っぽいし…。上の方にも書いたけど、たぶん石井館長そのものを出すよりも「女子高生の身体になりました!」的な要素があった方が、幅広い層にウケると思ったんでしょう。
まぁキャラ設定はさておき、内容は斬新で面白いと思いました。今は格闘技自体がまた盛り上がりを見せてるし、このペースで進んで行ったらどんどん注目されていくんじゃないかと思う。
ビジネス戦略に重きをおいてるだけあって、現実離れした描写が出てきた瞬間に萎えそうだから「1ヶ月100万円の特別コース」がどうなるのかってのも注目したいです。キャラ設定はともかく、中身はちゃんとリアル志向で進んでくれるといいなぁ…。
あとがき
石井館長といい、角田さんといい、空手家ってクセのある人が多いんだろうか。
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