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「雪女と蟹を食う」を読んだ感想・レビュー

雪女と蟹を食う表紙

 

初めて本作を読んだ時は「少女漫画の類か?」と思いました。少女漫画とは言っても昼ドラ要素が詰まりまくった、いわゆる「純愛とはかけ離れたドロドロの憎悪劇」みたいな感じ。

読み進めていくとサスペンスっぽさを感じながらも、常に心の隙間に残り続ける違和感。そして何が面白いのかを上手く形容できない、不気味な魅力に溢れている作品だと気付きます。

ぶっちゃけ面白いと言っていいのかすら分からない。でも続きが気になって仕方ない…そんな感じの作品です。というわけで今回は、自殺しようとしていた犯罪者と美人人妻の旅物語「雪女と蟹を食う(全8巻完結済み)」を紹介します。

※コミックス1巻部分のネタバレを含みます。

 

 

雪女と蟹を食う あらすじ

金も行き場もない男・北は、自殺を図るが、どうしてもあと一歩が踏み出せずにいた。ある日、テレビのグルメ番組を観て、「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、強盗を決意する。高級住宅に押し入り、人妻に金を要求するが、彼女の行動は、全く予期せぬものだった――。

 

雪女と蟹を食うの見所をチェック!!

何が面白いのか分からないまま引きずり込まれる不思議な作風

雪女と蟹を食う1

 

個人的には女子向けの純愛がテーマの恋愛漫画はそこまで苦手じゃないんですけど、もう少し年齢が高めの女性が読みそうな女性向けコミックス(不倫がどうたらってやつ)があまり得意ではありません。

何なら昼ドラも全然見たことがないし、なにが面白いのかも理解できないくらい。そして本作の雰囲気は、そんな昼ドラに近いんじゃないかと。ぶっちゃけ本作の何が面白いのかを説明するには、コミックス1巻時点では自分の中の語彙力を総動員しても足りないです。でも自然と2巻に手が伸びてしまうっていうね。

サスペンスっぽさもあるんだけど、フィクションのようなノンフィクションのような不思議さもあって、「こんな展開、あるわけないじゃん」と思いながらも、どっぷり自分を主人公に重ねてしまうというか…。何が面白いか分からないのに、続きが気になる漫画ってなかなか無いです。

 

奇をてらった訳でもない普通のタイトル

雪女と蟹を食う2

 

本作を知らない人が「雪女と蟹を食う」というタイトルを見れば、何かに掛かった物語だと想像するんじゃないかと思います。少なくとも「見た目が雪女っぽい人妻と、北海道に蟹を食いに行く物語」という分かりやすい予想はしないはず。しかし、本作はそんな分かりやすい物語となっています。

例えば「自殺しようと思ったけど、いざとなったら死ぬ勇気が出ない。どうせ死ぬならと思って女を襲ったら自己嫌悪に陥り、その女が『蟹が食べたい』と言ったから一緒に蟹を食べに行くことになった」みたいな物語において、そのまんまのタイトルを付けることの勇気ね。

美人妻の背景とか「なんで自分を襲った男と一緒に蟹を食べに行こうと思ったんだろう」とか…。今度、主人公は自殺を思いとどまるんだろうかとか。想像し始めたらキリがないんです。この魅力は雪女というよりもヘビ女っぽい。ヘビ女、見たこと無いけど。

 

エロいシーンに全くエロを感じない

雪女と蟹を食う3

 

本作は美人人妻と2人きりで北海道まで行く様子を描いているので、途中に何度もドキッとするシーンが用意されています。いい年の男女が2人で行動するわけですから、それ相応のイベントもあるんだけど、ぶっちゃけ全然エロを感じないです。なんかちょっと不気味。

しかも、何が不気味なのかも上手く説明できないんですよね。美人局みたいなことでもないし、男からすればラッキー以外の何物でもないと思うんだけど…。なんか怖い。

こういう不思議な雰囲気に包まれている作品なので、まさか最後に「2人で蟹を食べました、チャンチャン」で終わるわけはないだろうと。何かしらのハッピーやら悲劇やらが起こるんだとすれば、それが男女のどちらに、どのような形で訪れるのかを見届けなければ…。これはマジで気になる。

 

雪女と蟹を食う コミックス1巻の感想・レビュー

自殺しようとして死ぬ前に女を襲ったっていう、いわば人間のクズが主人公なわけで、身近にこんな奴がいたら軽蔑一択なんだけどなぜか感情移入してしまいます。

そして被害女性がなぜか一緒に行動を共にするっていうトンデモ展開にも関わらず、一切茶化す気になれないというか、続きが気になって仕方ない感じ。主人公がなんで死のうと思っていたのかは軽く触れられてたけど、叩けばまだまだ色んなエピソードが出てきそうな感じに可能性を感じます。

女性の方も旦那がいるってことは明らかになってるけど、それ以外のことは不透明すぎて未知数がハンパない。サスペンスなんだろうかそれすらも不明。

絵に好き嫌いがありそうで、僕みたいに昼ドラみたいな空気感に嫌悪感を持っている人だと、読み始めるハードルが高い作品であることは間違いないです。ただ、kindleレビューでも評価は高く、読み放題サービスに加入していれば1巻は無料で読めるので、騙されたと思って1巻だけ読んでみて欲しいと思います。

 

あとがき

雪女と蟹を食うってのは、雪女と一緒に蟹を食うっていう意味じゃないのかも。

 

 

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