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「上級国民スレイヤー」を読んだ感想・レビュー

上級国民スレイヤー表紙

 

一時期から「上級国民」というワードが飛び交うようになりました。色々と定義があるようですが、僕の認識では「一般国民と同じような物差しで測られない人間」という解釈です。

例えば法律を犯すようなことをしたら、然るべき罪を償わなければならないのが法治国家であるにも関わらず、ありとあらゆる手を使って罪を軽減、あるいは無かったものに出来る人間がいるなら、それは上級国民と言えるでしょう。

事故を起こしておいて一般人なら逮捕、上級国民なら「次は気を付けてくださいよー」じゃあ法治国家とは言えません。あとは政治家が利害関係者と接待(食事)なんてのも、上級国民になるための儀式のように思えます(というか上級国民だから接待を求められるのか)。

同じ人間であるにもかかわらず、Aが良くてBはダメなんてのはジャイアンです。というわけで今回は、そんなジャイアンを懲らしめる展開の「上級国民スレイヤー(全2巻完結済み)」を紹介します。

 

 

上級国民スレイヤー あらすじ

医者の白森と捜査一課の刑事赤城。ふたりは、ある動機で法で裁けない上級国民を裁く。上級国民であろうと悪い奴らは許さない! 法治国家日本で犯罪を犯しても捕まらない奴らに罰を下す!!

 

上級国民スレイヤーの見所をチェック!!

現代日本を皮肉った内容

上級国民スレイヤー1

 

僕は日本で暮らしていて、明らかに法律を犯す悪いことをした場合は逮捕されるという認識があります。でもよくよく考えてみると相手がお金での解決を望む場合、示談する場合、例外はいくらでもあるようです。

一方で「え、それって逮捕されないの?」と思う人が逮捕されなかったり、不起訴になったり…。明らかな殺意を持っている場合は別として、じゃあ事故の場合はどうなるか。殺人事件の裁判のニュースなんかを見ていても「殺意があったかどうか」みたいな部分が声高に語られ、見方によっては「殺意がなかったけど結果的に殺してしまった」だと罪が軽くなるんかい!と思ったりも。

僕らの記憶にも新しい、車で暴走して12人が死傷した事故を引き起こした老人がいました。これだけの事故を引き起こしながら事故直後に逮捕されず、背景に「この人物の肩書きによって逮捕されなかった(できなかった)のでは?」という憶測が飛び交います。

「日本の警察、正義、司法が腐敗しているのであれば代わりに正義の鉄槌を!」というのが本作の流れです。ちなみに現代日本を皮肉っているかの如く、扱っている事件やテーマがどこかで聞いたことがあるようなものばかりなのも大きな見所です。

 

上級国民に対する苛立ちを煽ってからの制裁

上級国民スレイヤー2

 

基本的には悪いことをしながらも権力によって裁かれない上級国民に対し、復讐屋のような存在の主人公が被害者の代わりに恨みを晴らすという展開です。で、散々上級国民に対する苛立ちを煽り、最終的には拷問によって制裁をしています。

そのため登場する上級国民がクソだと感じれば感じるほど、残酷な拷問も目を背けずに見られるというか、むしろスカッとする展開すらありそうなくらいです。ぶっちゃけ似たような漫画が結構ありますが、因果応報とか復讐するという展開が好きな人であれば楽しめると思います。

一応マイルドな表現にはなっていますが、ただ制裁を与えるというのではなく「なるべく苦しむ残酷な方法で…」という手段を取っているので、そういう描写が苦手な人は注意が必要かもしれません。

 

上級国民スレイヤー コミックス全2巻を読んだ感想・レビュー

現実に存在する上級国民を連想させる内容なだけに、悪く言えば不謹慎なんだけど問題提起のつもりで描いたなら英断とも受け取れる内容のような気がしました。

本作のような「力なき被害者や被害者を守らない法に代わって、代わりに復讐をする」という似たような漫画が数ある中で、本作は「読者に対する煽りが足りないのでは?」と感じました。

登場する上級国民はクソな奴ばかりなんだけど、被害者にあまりスポットが当たっていないせいか「被害者の恨み、やるせない空気」みたいなものがなく、終始淡泊になっているような気がします。

被害者や遺族が受けたであろう不当な仕打ちとか、表ざたにならない部分で上級国民が被害者に対して行った卑劣な行動なんかをもっと掘り下げていれば、僕みたいな単純な読者なら「この野郎っ!」ってなったんじゃないかと。

一応、コミックスは全2巻で第一部完となっているので、パワーアップした続編に期待です。

 

あとがき

法律を変える立場の人たちが上級国民扱いだからなぁ。

 

 

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