ブログやYouTubeでコンテンツを発信する場合、自分が好きなものや得意なものについて情報発信するのがセオリーです。ただしバズらせるという意味では好きなものよりも得意なもの、長く続けるという意味では得意なものよりも好きなものを扱うのがベストなのかもしれません。
そういう意味では「漫画家さんが漫画家をテーマにして漫画を描けば最強じゃね?」って思ったり思わなかったり。というわけで今回は、青春という名の戦場に赴く2人の男の物語「G戦場ヘヴンズドア(全3巻完結済み)」を紹介します。
G戦場ヘヴンズドア あらすじ
マンガを愛する高校生の鉄男。人気マンガ家の父を憎む高校生・町蔵。運命的な出会いを果たした正反対なタイプのふたりは、青春と呼ぶにはあまりにも過酷な「表現」の世界へと今、足を踏み入れる--!
「作品を生み出す事とは」「戦友とは」という2つのテーマをマンガ家とその卵たちの目を通して描ききり、「マンガ家マンガの伝説」と呼ばれた傑作が今、完全版として鮮やかに蘇る!!
G戦場ヘヴンズドアの見所をチェック!!
漫画家として大事なもの
漫画家になるのに必要なものって何だろうかって考えたときに、絵の才能とか物語の構成力とか色々思い浮かぶ部分はあるんだけど、そういうのを真っ先に挙げてるようじゃだめなんだってことを思い知らされます。
ドラマや映画の演技指導なんかを見ていると、めちゃくちゃ否定されまくってる俳優さんとかいるじゃないですか?「お前の演技には感情が込もってない!」みたいなやつ。で、何回か否定された後で「そうだ!その演技だ!」みたいになるやつ。見てるこっちとしては「…何か変わった?」みたいな。
原稿を読んだ編集担当者に、抽象的なことを言われてしまって困る漫画家の先生も少なくないと思いますが、本作から伝わってくるそれは読み手にも理解できる大きな違いでした。これは物語序盤の主人公と、物語後半の主人公の醸し出す雰囲気を見れば明らかです。
友情という言葉で括っていいのかも分からないほどの関係性
漫画の場合、絵を担当する人とストーリーを担当している人が分かれているパターンも珍しくありません。本作はまさにそれなんだけど、お互いの才能に見出された2人の天才がタッグを組むことになります。
元々仲が良かったわけでもないこともあって、2人の関係性を友人と言っていいのか親友と呼ぶべきなのかは定かではありませんが、才能に惚れたという意味では恋人に近いんじゃないかとも思うし、これから2人が足を踏み入れる世界のことを思えば、戦友と呼ぶのが適切なんじゃないかとも思いました。
もちろん2人の関係性は不変なものではなく、少しずつ移り変わっていくことに切なさを感じずにはいられないし、それが良いか悪いかという大きな括りで判断すること自体が間違いなんだと。ただただ見守りたいと思える関係性に脱帽です。
狭いようで広く、華やかなようで地獄の世界
芸能人でも二世と呼ばれる人たちがいて、才能は遺伝するんだと思える部分もあれば、逆に「親のコネ最強」みたいに思える部分もあるじゃないですか?個人的にはプロ野球選手とかで二世が大活躍するパターンをあまり見ないので、実力主義の場合だとそれは厳しいのかなぁなんて思っちゃいますけど。
本作には2人の天才主人公がいて、そのどちらも父親が漫画関係の仕事に携わっています。例えば自分の父親が漫画家だってなったら、漫画家に憧れるか、漫画家にはなりたくないと反面教師にするかのどっちかだと思うんです。
しかし本作で描かれているストーリー的には「漫画家にはならないと言いながらも漫画家を目指す」みたいな部分があって、すごく大きな違和感を残します。この違和感が徐々に晴れていく様子に、とにかく夢中にさせられること間違いなし!
G戦場ヘヴンズドア コミックス全3巻を読んだ感想・レビュー
漫画家としての華やかさというよりも、覚悟がないと生きていけない厳しさのようなものを描いている作品です。「うぉー、俺も漫画家になりてぇー!!」と思わせるのがBAKUMANだとしたら、本作は「それでも漫画家になりたいか?」と問いかけるような作品という感じ。
良いか悪いかは別にして、漫画によって人生を大きく変えた(あるいは狂わせた)という人物が多く登場し、物語全体の空気感はやや重めでシリアスなものとなっています。全3巻という決して長くないボリュームにもかかわらず、読了後の満足感は遥かにそれを凌駕したものになっているし、一切の無駄がそぎ落とされているという印象を受けました。
「一気読みできるボリュームで何か面白い作品ない?」と聞かれたら、真っ先におすすめしたい漫画の1つです。
あとがき
どうせなら、名ワキ役になろうぜ?
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