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「リクドウ」を読んだ感想・レビュー

 

現実の世界で盛り上がっているスポーツを題材にした漫画は、いわゆる当たり年になる傾向が強いんじゃないかと思うんだけど、最近は日本のボクシング界も盛り上がってきたように思います。

井上尚弥選手や村田諒太選手を始めとする次世代スターが数多く登場し、同じ日本人として誇らしくもなるくらい(僕はなんもしてないけど)。

そこで「ボクシング漫画も盛り上がるんじゃないの?」という期待を胸に、今回はいまどき珍しいタイプのボクシング漫画「リクドウ(全23巻完結済み)」の魅力を紹介したいと思います。

 

 

リクドウ あらすじ

 

一緒に住んでいた父親に暴力を振るわれていた少年は、借金苦で首を吊った父親から遂に解放される。そして母親の元へと行くことになったが、母親は薬物中毒になっていた。

少年はここでも幸せになることはできず、今度は母親と同居していた暴力団の男に襲われ、身を守るために正当防衛のようなカタチで男を鈍器で殺害する。

保護された少年は施設へと送られることになるが、かつて父親の借金を取り立てに来ていた男にジャブを教わった。少年はここからプロボクサーの道を歩み出す。

 

リクドウの登場人物

芥生 リク

 

本作の主人公。本能で敵の急所を理解しているらしい。

両親に捨てられ施設に入る際に所沢からジャブを教わり、自分のせいで施設の先生が危険な目に遭ってしまったことをキッカケに、所沢に教えを乞うようになる。

 

所沢 京介

 

元東洋太平洋ライト級王者で、今は借金の取り立てをしている暴力団組員。

リクが絶対的な憧れを抱いている人物。

 

馬場 進司

 

所沢が現役時代に所属していたジムの会長。所沢に頼まれ、リクを預かることになる。

このジムで鍛えられて他所へ移った後に世界王者になったボクサーはいるが、数多くのボクサーを潰してきたとして有名。

 

苗代 ユキ

 

リクと同じ施設の出身で、リクと同い年。

里親の申請が何度かあったようだが、リクと離れたくないという想いからその全てを拒否している。

 

リクドウの見所をチェック!!

今の時代にそぐわないトレーニング

 

ボクシングに限らず、現代スポーツの多くは科学的なトレーニングを採用していて、根性だなんだと言っているのは時代遅れみたいな風潮があると思うんだけど、本作におけるトレーニングは昭和を思わせるようなスパルタです。

吐くまでガムシャラにサンドバッグを叩くとか、とにかくオーバーワークとか一切関係ないってくらいの勢い。それに対してカッコイイとは思わないけど、狂気を感じさせる大きな要因にはなっていると思う。

傷だらけで試合に臨むなんてのはあしたのジョーの世界でしょ。体調管理も徹底されている近代ボクシングではまずあり得ない。そのあり得ない感じも本作の武器になってます。

 

目指すのはOPBFのベルト

 

ボクシングを題材に漫画を描こうと思ったら、大半が世界王者になることを見据えて描くんじゃないかと思うんだけど、僕としては日本王者を目指す作品があっても面白いんじゃないかと思っていて、本作では東洋太平洋王座を目標にしています。

このパワーバランスというか東洋太平洋を目標にするあたりに渋さが光るっていうか…。粋だなぁって思うんですよね。まぁ物語が進むにつれて世界に向かうかもしれないけど。

東洋太平洋が世界に対して上とか下とかそういうことじゃなくて、ボクシングを知らない人からしたら東洋太平洋って括りなんか知らないわけで、そういう部分を題材にしてくれることで興味を持つ人も増えるし、オリジナリティも感じました。

 

迫力満点の試合のシーン

 

本作では特にデンプシーロールとかは出てこないんだけど、すごく迫力のある試合に仕上がっています。必殺技を出さなきゃ盛り上がらないってのが、嘘だってハッキリと分かるクオリティ。

顔が潰れていく感じとか血が噴き出す感じが、とにかくスリル満点で描かれていると思います。影の雰囲気を出すのがメチャクチャ巧い。何より選手のハングリーさがたまらないです。

 

リクとユキの関係

 

本作はボクシングと男の生き様みたいなものがテーマになっていて、比較的それ以外のノイズは少ないように思えるし、別に恋愛要素を取り入れろってわけじゃないんだけど、やっぱリクとユキの関係がどうなるのかも大きな見所じゃないかと思う。

過酷な生い立ちを経て今があるからこそ、読者としてはリクに東洋太平洋のチャンピオンベルトはもちろん、人としての幸せを手に入れて欲しいなって思うはず。そういう意味でもこの2人は幸せになって欲しいという意味で、注目していきたいですね。

 

リクドウ コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

まず物語の始まりが今風の漫画じゃないです。ろくでもない親の所に生まれて、その父親が首を吊った時にサンドバッグ代わりにするっていうね。母親は母親でろくでもない男の所にいて、そこでの暴力沙汰は読んでいるこっちも暗くなるほどの世界観です。

ボクサーを目指す理由なんかも、普通はちょっとした希望っつーか輝かしい目標の光属性を感じたりするもんだけど、本作にはそれがありません。ちゃんとした目標はあるけど先行き不安というか、本当に目標を達成できるのかなーっていう不安感がハンパない。

世界観にちょっと昔の漫画っぽさを感じて、良い意味で「最近のスポーツ漫画とは同じ括りにできない」という感じ。綺麗ごとを並べるタイプのスポーツとしてのボクシングじゃなく、狂気とハングリーさに満ち溢れている格闘技としてのボクシングに魅力を感じるという人におすすめです。

 

あとがき

はじめの一歩がコケた今、新たなヒーローになるのはリクドウかも。

 

 

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