僕はスポーツ漫画全般が好きなんだけど特に野球とマイナー競技の漫画が好きで、更に野球漫画の中で言うと…やっぱH2だなぁって思います。
もちろん好きな野球漫画はたくさんあるから、この場で「H2が一番好きだ!」って断言するのは難しいけど、恋愛要素込みの野球漫画ならH2の右に出るものはないです。出たとしてもタッチです。
というわけで今回は、見事なまでに野球と恋愛を両立させた野球漫画「H2(全34巻完結済み)」を紹介します。
単行本は全34巻、文庫版は全20巻、ワイド版は全17巻、Kindle版は2021年現在未発売となっています。
H2のあらすじ
大の親友でありそしてライバルでもあるエース国見比呂とスラッガー橘英雄、比呂の幼なじみであり英雄のガールフレンドでもある雨宮ひかり、比呂が進学先の千川高校で出逢った古賀春華。名前の頭文字に「H」を持つ「2」人の野球少年であるヒーローと「2」人のヒロインを軸に話が展開する。
H2の登場人物紹介
国見 比呂
中学時代はエースピッチャーとして有名だったが、肩の故障を理由に野球部のない千川高校へ進学。しかし肩の故障が誤診だったことが発覚し、千川高校野球部のエースとして再出発する。中学生の頃、恋愛に興味がなかったこともあり幼馴染のひかりを英雄に紹介したが、作中ではそれを後悔しているような態度を見せることがある。
橘 英雄
名門・明和第一高校野球部の4番バッター。1年生の頃からずっと4番を任されている天性のスラッガー。甲子園に出場し、全国区の強打者となる。比呂とは中学時代からの親友で、野球選手としても投手としても認めている。酒屋の息子。
古賀 春華
千川高校の野球部マネージャーで、古賀商事の社長令嬢。春華の父は、比呂の父が勤務する会社の社長にあたる。少しドジな一面もあるが、千川高校の野球愛好会を野球部に昇格させた立役者の一人。比呂に想いを寄せている。
雨宮 ひかり
比呂の幼馴染。中学生の時に比呂の紹介で英雄と付き合うことになる。才色兼備で愛嬌も良く、幼少の頃は比呂とキャッチボールや相撲をとるなどの活発な一面も。明和第一高校弓道部所属、本屋の娘。
H2の見所をチェック!!
比呂と英雄の対決の行方
軽くネタバレすると、本作では練習試合を含めて比呂と英雄の対戦が何度かあります。どちらも全国区の選手で、お互いがお互いを認めているライバル同士です。まぁ直接対決って言っても3割打てば打者の勝ちって言われている世界なんで、厳密にどっちの勝ちかって判断するのは簡単じゃないんだろうけど…。
ちなみに比呂が所属している千川と英雄が所属している明和第一は、それぞれ東京の東西の地区の学校なので下手すりゃ甲子園の決勝で当たるってこともあるわけです。
まぁ甲子園の決勝で対戦するっていう漫画みたいなストーリーになるのか、それとも「甲子園では運悪く対戦できなかったから交流戦で対戦しよう」ってなるのか、はたまたプロ入りしてから対戦するのかはご自身で確認してみてください。
古賀春華派?それとも雨宮ひかり派?
本作には2人のヒロインが登場するんだけど、まぁ「どっち派」かで盛り上がれます。僕の周りでは春華派の方が数的には多かったかな。そして比呂がどっちを選ぶのかって部分も大きな見所です。
比呂にとってひかりは幼馴染で親友の彼女ってことになるわけだけど、作中ではそれを度々後悔しているようなセリフを吐きます。もちろんハッキリと言ったわけではなく、あくまで「恋に興味が出てきた頃には、目ぼしい女は既に恋愛をしていた」みたいな感じ。
普通に読んでたら「あー、ひかりのことが好きだったんだろうなぁ」っていうね。その延長で「もしかして今でもひかりが好きなの?」って疑問も出てきます。これはハッキリとしたことは言えないし、分かってたとしてもネタバレになるから言いませんけど。
個人的には野球漫画は野球だけやっといてくれって思うことが多くて、普通の作品だったら「恋愛とかしてる暇あったら1回でも多く素振りしろや!」くらいに思うこともあるんだけど、あだち氏の作品は恋模様も上手く描かれてるよね。そのうえ2人のヒロインを比べて「ねぇねぇ、どっち派?」とかやってんだから、もう完全に虜にされてます。たぶん本作を読んだらみんなそうなる。
あだち充ならではの表現技法
「野球漫画といえばあだち充!」といっても過言ではないくらい、あだち氏の野球漫画にはハズレがありません。もちろん本作も代表作の一つ。あだち氏と言えば余韻を残すカタチでのフィナーレが有名だけど、本作も考察しがいのある終わり方をしています(具体的には言及しないので読んでない人は実際に読んで確認してみてください)。
あとは所々で登場する「あだち節」と言うんでしょうか。お笑いのテンドンとはまた違うし、ウィットに富んでいるって表現が的確なのかは分からないけど…。国語のテスト問題でいうところの「この時の作者の心情を五十文字以内に答えなさい」的な問題になりそうなセリフって言うのかなぁ。すっげー好きなんですよ。
1つだけ例を挙げると上記のシーンとか。これは「ひかりのベッドで比呂が疲れて寝てしまった日のこと」を問われているシーンです。英雄は監督のウイスキーを間違って飲んでしまい、酔っぱらって倒れてしまったんだけど、翌日の試合中に監督から「昨日のことは何も覚えていないのか?」と聞かれ「ほとんど」と答えています。
つまり全部じゃなくて何かは覚えているということなんだけど、これが何なのかって感じの表現の仕方です。「英雄が覚えていることは何か、五十文字以内で答えなさい」が成立するでしょ。これ、すっごくいい。
H2を始めとするあだち氏の作品には、こんな感じの「みなまで言わないけど『こうじゃないかな?』って考えながら読める楽しさ」に溢れています。
H2 全34巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
これは間違いなく名作です。個人的には「サクッと読むにはちょっとボリュームがありすぎて、なかなか手が伸びない」って部分もあるし、本作を読もうと思ったら本腰を入れないといけないんで、繰り返し読む場合の読みやすさという意味では「タッチ」や「ラフ」に劣るかなぁという印象。
何回も読みたいけど毎回30巻くらいから最後だけ読んでるって感じ。もう20年以上も前の作品だけど全然色褪せてないと思うし、野球が好きな人にはぜひ手に取ってもらいたい。そして許されるならば、魅力を語り合いたい。
30代以上の人で本作を通ってない野球漫画ファンはあまりいないだろうけど、今の若い読者だと触れてない人がいるかもしれないのでそういう人にはぜひ読んでみて欲しいです。
あとがき
子供の頃は不思議に思わなかったけど、むしろH4だよね。