昔、ズッコケ三人組っていう本が好きだったんだけど、そんな感じの雰囲気を醸し出している漫画があります。おいちょかぶ的なアレかと思ったら、どうやら特別課外活動部を略して「とっかぶ」らしいです。
内容としては「帰宅部よりも自由」といっても過言ではありません。とにかく放課後を満喫するタイプの青春漫画でどこか懐かしさを感じたほどです。というわけで今回は、青春を謳歌している感じがたまらない「とっかぶ(全4巻完結済み)」を紹介したいと思います。
とっかぶ あらすじ
元々は、ボランティア活動などを行う志の高い部活動ということで設立された特別課外活動部。時を経た今、奉仕活動という名のペナルティを与えるための部活動と化し、退学目前の問題児を監督する目的で維持・運営されている。
そんな部活に入部した(させられた)3人の部員たちによる、放課後満喫宣言が飛び出した。
とっかぶの登場人物
丹ノ宮 沢
ヒーローに憧れている1年1組の女子生徒。特に問題を起こしたというわけではないが、弱気を助け悪をくじくヒーローとしての活動を求め、とっかぶに入部した。一応、部長(リーダー)。
童謡「アリとキリギリス」のエピソードを聞いて、怠けていたから自業自得とは言っても「困っているキリギリスを助けないアリは嫌なやつだ!」と言うほどに正義感が強い。
倉下 清大(クラゲ)
職員室に盗聴器を仕掛け、教師のパソコンからキャプチャした画像を自分のパソコンに取り込むことでテストの答案用紙と回答を盗んだ。それだけならまだ救いようがあったものの、それを他の生徒に売ったことでとっかぶに入部させられた1年2組の男子生徒。
スパイとして様々な装置を使い、とっかぶ唯一の男子部員として活躍する。熱量は低めだが自由気ままに動くとっかぶのブレーン的な存在。
千歳 悠緑
染髪、ピアス、反抗的態度など、その他もろもろの素行不良のせいで退学直前にまで追い込まれている1年3組の女子生徒。ここだけ聞くと酷い問題児のようにも見えるが、実はめちゃくちゃ良い奴。
幼馴染の喫煙行為をバレないように代わりに罪を被ったり、クラスで起こる陰湿ないじめを見過ごせなかったりなど、教師たちが思っているような生徒ではない…かも。
とっかぶの見所をチェック!!
3人の部員の熱量の差
女2・男1って組み合わせは他の漫画でも珍しいと思うんだけど、全員が全員ボケとかツッコミで笑いを取りに行くようなガチャガチャした感じじゃないのが好きです。
ヒーローを目指すという特別課外活動部に所属している3人は名前に色が入っていて、それぞれ赤・青・緑ということでヒーロー戦隊みたいになっています。キャラも全員違うんで見事に役割分担が出来ていてバランス良いメンバーのように感じました。
ヒーローになりたい一心で熱い奴がいるなら、その横には冷めてる奴もいるだろうし、全員が無理に青春してなくてもいいでしょ。そして普段冷めてる奴が熱くなる時は例外なく大きな見所です。
ちびっこ探偵団みたいなノリとちゃんとしたオチ
特課部の活動内容は漠然と「ヒーローになる」みたいに言ってるけど、じゃあ具体的に何をするのかって言うと「学校や町で起こるトラブルに首を突っ込んでいく」みたいな感じです。
例えば「お地蔵さんが勝手に動いている」みたいな噂を聞きつけた日には、迷うことなくお地蔵さんの前で張り込み捜査みたいなこともするし、もしお地蔵さんを動かそうとする人が出てきたら、とっ捕まえて話を聞いたり…とにかく色んな事に対して首を突っ込んでいくスタイルと言っていいでしょう。
他にも迷い犬を全力で探したり、食い逃げ犯と追いかけっこしたりしするので、名実ともに特化型の部活動と言っても過言ではありません。そして最後には何とも言えないオチが待ち受けていることもあるので、その辺のゆるーい雰囲気にも注目です。
とっかぶの成長が目まぐるしい
まぁ学校を舞台にした部活動モノの漫画と言えば、教職員や執行部との衝突はセオリーと言っていいでしょう。弱小スポーツ部なんかは「廃部に追い込まれるのがお約束」みたいな部分もありますし。
とは言っても特課部は元々、教職員たちによって問題児を更生させる的な意味合いを持っているので、廃部にされるということはありません。そこでスパイスに「執行部との衝突」みたいな要素があります。
まぁ衝突って言っても普段の学校生活程度のやつで、漫画だからといって過剰に煽ってきたりはしないので、こちらもストレスを感じることなく読み進められるはず。特課部の面々はもちろん、特課部と関わっていく生徒たちが少しずつ成長していく部分も楽しみの1つです。
とっかぶ 全4巻を読んだ感想・レビュー
もし僕が学生なら「特課部を立ち上げて入部したい!」と思うくらいには魅力的な作品でした。部活動の内容自体はボランティアとも言い難いし、なんだかよく分からない活動内容なんだけど、どこか羨ましくも思える感じなんですよね。
描き手側から「ここで感動させてやろう!」みたいな感情の押し売りが一切ないし、本当にすらすら読むことができる漫画です。「普通に生活していてちょっとでも引っかかることがあったら、そこに全力でBETしていく」みたいな豪快な高校生活が堪能できます。
学生時代から遥かに遠ざかっている大人の読者なら青春の感じが懐かしく感じるだろうし、本作の登場人物と同世代の人はもしかすると本作に影響を受けて特課部みたいなことをやりはじめるかも。
目立ってワクワクするような展開こそないものの、なんとなく「いいなぁ」と思いながら気張らずに読める放課後の1ページです。青春時代を振り返りたい人、ゆるい学校生活に浸りたい人におすすめ。
あとがき
本物のヒーローがやりたいんです!!