個人的には昔からジョジョの単行本を集めていて、少年ジャンプをリアルタイムで追いながら最新の単行本も集めるというようなスタイルでジョジョの奇妙な冒険と接してきました。もちろん文庫本も持ってるし、今はKindle版もタブレットに入っています。
そんな僕がリアルタイムでジョジョを読むのを辞めてしまったのが第6部です。単行本が初版じゃなくなっても関係ねえとばかりに買うのを辞めてしまった理由が「意味が分からない」という部分でした。ぶっちゃけ今も理解できてないけど。
それでもジョジョの血筋とか物語のルーツとしては、間違いなくジョジョの奇妙な冒険だし…。コアなジョジョファンの中では、実はそこまで評判が悪いエピソードでもないというようなことを聞いたことがあります。
というわけで今回は、「ジョジョの奇妙な冒険第6部:ストーンオーシャン(全17巻完結済み)」を紹介します。
※序盤部分と過去作のネタバレを含みます。
ジョジョの奇妙な冒険第6部 あらすじ
本作の主人公は第3部~第5部まで幅広く関わってきた空条承太郎の娘(空条徐倫)です。何者かに罠に嵌められ、殺人罪で刑務所に収監されてしまいます。
黒幕の狙いは「徐倫を罠に嵌める→承太郎が恐らく助けにくるだろう→承太郎からディオ関連の記憶を奪う」という感じ。記憶とスタンドを奪われた承太郎を救うために、徐倫が刑務所を中心にバトル展開していきます。
ジョジョの奇妙な冒険 第6部に対する不満点
超複雑なスタンド能力:発動条件が分かりにくい
第6部で登場するスタンド能力は、とにかく超複雑。所々で「は?どういう意味?」って思うシーンが多々あります。
例えば一番最初に戦うことになるグーグードールズというスタンドは、攻撃対象を小さくするという能力があるんだけど、いまいち発動条件が不明です。似たようなスタンドはこれまでにもあったのに、なぜか一気に複雑になった感あり。
第3部に出てきたセト神は、影に触れた秒数で相手を小さくする(若返らせる)という能力でしたし、第5部に出てきたリトル・フィートも「自分自身、あるいは刃物で傷付けた相手を徐々に小さくする」という分かりやすいものでした。
でもグーグードールズは、勝手に発動してた気がする。不思議感を演出するために「徐倫が気付かれないうちにスタンド本体で攻撃してた」とも解釈できるけど、いずれにしても読者側で「こうじゃないか?」って考察する必要はあるんじゃないかと。
「ハイウェイ・トゥ・ヘル」は能力者が傷付くと攻撃対象者も傷付くという能力で、第3部で出てきたラバーズに近いのかなぁなんて思ったけど、こっちは「自殺願望者がスタンド使い」っていう部分で厄介だっていうところまでは分かりました。ただこれは「この人が対象者ね!」ってスタンド使いが念じるだけで攻撃対象に出来るんだろうか…。気付いたらエルメェスが攻撃対象になってて、「いつの間に!?」って思った。
あと「スタンド使い本体が水に顔を突っ込んで自殺(窒息死)」を計った時に、エルメェスが「自分の能力で鼻を2つに増やして、もう片方の鼻で息をする」っていうのは、理屈として通るの?これは鼻を2つにした瞬間に、もう片方の鼻も相手スタンドで覆われて呼吸できなくなるんじゃないかって思ったんだけど…。でも本体が窒息死したら、こっちは鼻を増やして呼吸が出来ていても心肺停止しちゃうんだろうなぁ。
まぁこの辺に関しては「作者の荒木氏が黒と言えば黒!」みたいな部分と思って納得するしかないですかね。時間を止める能力に関しても「じゃあそこでモノを動かしたらどうなるの?」とか色々思う部分は出てくるもんね。
超複雑なスタンド能力:能力自体が分かりにくい
まぁグーグードールズはまだマシです。その他にも問題はありまして…。「マンハッタン・トランスファー」は風の向きを読むとか、気流の流れを完全に把握するっていうのは分かりました。でも、刑務所の鉄格子から普通のライフルで攻撃しているっていうのが腑に落ちなかったんです。
「いくら風の動きを読んでも、囚人の牢屋の中から面会室って狙撃って出来るの?」っていうシンプルな疑問。これが第5部のセックスピストルズなら銃弾の軌道を自由自在に変えられそうだし、第3部のエンペラーなら銃そのものがスタンドだから可能な気がしないでもない。
でもマンハッタン・トランスファーに関しては、銃は普通のライフルで、スタンドは風邪の流れを読んで正確な狙撃をサポートするってくらいの能力のように思えました。あとは銃弾を中継するって能力ね。
「銃でマンハッタン・トランスファーを撃つ→スタンドが弾丸を跳ね返す→狙われた人間は軌道が読めずに被弾する」なら分かるけど、その銃自体が普通のライフルっぽいから「スタンドの銃ならともかく、普通の銃弾ならスタンドで何とかなるのでは?」と思ったり思わなかったり。
なんて思ってたら「実は夢でしたーッ!!」みたいな感じになるから、読んでて「えっ!?えっ!?どういうこと?」ってなる。しかも夢のテンドン。
こうなってくると、もはやどれが現実でどれが夢なのかが分からなくなってくるし、不明点があって読み直したとしても数ページ先で「実は夢でしたーッ!!」ってやられたら腑に落ちちゃうんで、もうどうしようも出来なくなるっていう。
超複雑なスタンド能力:本体が複数?
元々、スタンドは1人1体(1人1能力)というルールがありました。そのルールを早速応用したのが3部の序盤で、ストレングスっていうスタンドの本体がゴリラだったんですよね。だから「能力者は必ずしも人とは限らない」みたくなったはず。
で、第3部のアヌビス神がまた面白い例外を作って、今度は「スタンドが刀で、刀を手にした人間を操るスタンド」って感じでした。ここで「スタンド本体=生き物とは限らない」みたくなった記憶があります。第4部の鉄塔もそう。
あと記憶にあるのは4部のチープ・トリックかなぁ。これは人間に取りつくスタンドで「取りついた人間が背中を見られると、背中を見られた人間を殺して、背中を見た人間に新たに取りつく」っていうスタンドでした。これは確か本体=スタンド自身みたいな感じで、スタンド使い本体はいないって設定だったような…。
第6部で登場するフー・ファイターもチープトリックとかストレングスみたいなもんなんだろうけど、プランクトンが本体かつスタンドっていうのが理解しにくいし、分裂できるとか人間にもなれるって部分で超複雑な要素になってると思う。これはもう「こういうものだ」って思うしかないんだろうなぁ…。
ちなみに物語が進んでいくと、見えない死骸のスタンドなんかも出てきます。4部では幽霊も出てきたし、猫が死んで植物に生まれ変わってスタンド使いになったっていうエピソードもあったけど、第6部はそういうのに輪っかを掛けて複雑になってるのは間違いないです。
ジョジョの奇妙な冒険第6部 ストーンオーシャンの感想・レビュー
すっげー個人的な感想を言うと「内容が複雑すぎてガッツリ集中して読まないと一瞬で置いてけぼりにされる」っていう感じ。頭が良い人なら理解できるのかもしれないけど、僕みたいのからすればもうちょっと説明が欲しい。
面白いと思って読んでるというよりも、なんとか理解しようと思って必死に食らいついて読んでるんで「今のどういうこと?」って思ったら数ページ戻って読み直すし、少なくともジョジョの6部は僕にとって「寝る前の娯楽」じゃなくなりました。
僕としては第4部で「スタンドは1人1体まで」みたいなルールがちょっと崩れてきたあたり(バッドカンパニーやハーヴェストはセーフだけど、シアーハートアタックはまだいいとしてバイツァ・ダストあたり)から少し付いていけなくなってきまして…。
第5部のゴールドエクスペリエンスの能力の応用がまったく分からなくなり、ブチャラティのあれこれで泣きたくなり、レクイエムでとどめを刺されたって感じかな。第3部の頃の分かりやすい能力たちが懐かしい。
第6部が好きだって人には怒られちゃうかもしれないんだけど、ハッキリ言って「長いことジョジョを読んできてファンになったという読者の一部でもないと、本作は絶賛できないと思う」というのが正直な感想です。
往年のファンとして承太郎が足手まといみたいになってるのも辛いし、本体がプランクトンとか、スタンドが風水とか、ディスク2枚抜かれたら死ぬってのはいいとして、1枚抜かれただけでも戦力になる人とならない人(空条承太郎)の違いとか…。たぶん難しく考えちゃいけないんだと思う。「見るんじゃない、観るんだ。聞くんじゃない、聴くんだ」って感じなんでしょうきっと。
あとがき
メイド・イン・ヘブンはもう意味不明。