「創世のタイガ」を読んだ感想・レビュー

創世のタイガ表紙
Ⓒ創世のタイガ

飽食のこの時代(それも日本という安全な国)に生まれて良かったと思う反面、かつての原始人が行っていた狩猟などの時給持続の日々に憧れるという人も少なくないのでは?僕自身、実際に自分がやれって言われたら嫌だけど、そういうシミュレーションゲームなんかは好きだし、サバイバルに対する憧れみたいなものは少しあります。

そういう人にとってはすごく見応えのある作品なんじゃないかって思うし、タイムスリップするって世界観も相まって、読者の知的好奇心みたいなものを満たしてくれる内容にも期待です。というわけで今回は、旅行中にタイムスリップしサバイバル生活へと突入したサバイバル漫画「創世のタイガ(連載中)」を紹介します。

創世のタイガ あらすじ

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Ⓒ創世のタイガ

大学の文化人類学のゼミ仲間同士で、オーストラリアへ卒業旅行に出かけた時の出来事である。最近できたと思われる洞窟に興味半分で入っていった彼らは、そこで観光ガイドにも載っていない珍しい壁画を発見する。

興奮や感動に震えていたのも束の間、洞窟は激しい音を立てて崩れ落ちてしまった。

間一髪で窮地を脱した彼らはなんとか洞窟を脱出することに成功するも、洞窟から出た先はこれまでいた世界とは異なる、マンモスや古代の巨大哺乳類が跋扈する世界だった。

創世のタイガの見所をチェック!!

現代から原始時代へタイムスリップ

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Ⓒ創世のタイガ

例えば僕がオーストラリア旅行中にタイムスリップしたとして、見知らぬ生き物とか、それこそ「ダンソンッ!!フィーザキーッ!!」って言いそうな生き物を見つけたとしても、それが原始時代にタイムスリップしたとは思わないと思います。「やっぱ海外は珍しい生き物がいるなー」くらいの感じ。でも本作の主人公たちはそれっぽいことを研究している人たちってこともあって、随分とまぁ飲み込みが早いです。

飲み込みが早いっていうのは決して馬鹿にしているわけじゃなくて、学者の卵みたいな賢い人間が登場人物になってるっていうアドバンテージが十分に生かされているって意味です。喧嘩自慢のヤンキーがタイムスリップするのも面白いけど、やっぱ知識を持っている人間がサバイバルをするってところにロマンというか「人間の武器は知恵である」みたいなことが感じられて、面白いと思いませんか?

あとは登場してくる野生動物の豆知識みたいなものも随所に披露してくれることもあって、古い歴史の知識が一切ないという読者でも楽しめる内容となっています。

ホモサピエンス vs ネアンデルタール人 vs 現代人

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Ⓒ創世のタイガ

もちろん狩りをするときにやられないようにするっていう対動物のシーンも迫力があって面白いし、夜に寝首をかかれない為の防御策なんてのも見応えがあります。でも何と言っても厄介なのは人間です。言葉も通じず火も恐れない人間が一番厄介。

現代である程度言葉の通じる世界でも争いごとが絶えないのに、こんな法も秩序も生まれていない時代での人間同士の争いは一番過酷で危険な要素と言っていいでしょう。野生動物に襲われるのと人間に襲われるのとでは勝手が変わってくるからね。

「生きるために殺す」っていう弱肉強食の世界だからと言って、やっぱ人間を手にかけるってところには躊躇するだろうし、その辺の葛藤も大きな見所です。

簡単な歴史の勉強にも

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Ⓒ創世のタイガ

世界史の勉強なんかだと旧石器時代がどうのこうのって言われても、全然面白くなかったし一切興味もなかったんだけど、事実関係だけじゃなくて「なぜこのような流れになったのか」までを説明してくれるとすっげー面白いって感じます。そういう意味では本作に登場する道具とか動物とか、かなり見応えがあって面白いです。

歴史の勉強で「尖った石を使って狩猟をしていました」って教わるよりも、そこに至るまでのプロセスが面白いって気付けるだけでも儲けもの。こういう感じで世界史も学べたら、もっと歴史が好きになる人とか増えそうな気もするし。

動物たちも「図体が大きいだけだと人間に好き勝手に狩られるだけ」ってことで、中途半端な大きさの動物は小型化していった的な流れとかも、事実がどうなのかは知らないけど単純に面白いなぁって思いました。

創世のタイガ 序盤を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

原始時代に全く興味のない僕でも面白いと思えるような流れになっているので、正しいかどうかは別にして、知識欲を満たせるって意味でも良作じゃないかと思いました。こんな感じの入口が用意されてたら中学入ってすぐの歴史の勉強ももっと食いつく生徒がでてくるはずだし、読んでて勉強になることもあれば疑問も出てきて思わずググってしまうまでが本作の魅力じゃないかと。

例えば今もしこの登場人物たちと同じように原始時代にタイムスリップしてしまったとして、水回りに獲物が集まるって考えてサバイバルできる人がどれくらいいるでしょうか。言われりゃ「人間を始め、多くの生き物は水がないと生きていけない→水場に獲物が集まる→その獲物を狙うより強大な獲物も集まる」みたいなメリット・デメリットも分かるけど、僕からしたらそういう発想も素直に面白いって思えました。

Kindleレビューには、作者の森恒二氏の代表作になぞらえて「自殺島、ホーリーランドに原始時代の世界観が加わっただけで根本的な部分は一緒」という辛辣な意見も。確かに言われりゃそんな気もするんだけど、自殺島とかホーリーランドが好きなら今作もまた楽しめるんじゃないかと思います。サバイバル、タイムスリップの世界観が好きな人には問題なくおすすめです。

あとがき

タイガーじゃなくてタイガ。