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江戸の下町を舞台にした「死にたがりと雲雀」を読んで魂が揺さぶられた

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時代劇っぽい雰囲気を感じる作品が非常に好きで、これまでにも色んな作品を読んできたけど、その中でもとりわけ本作の人情ぶりには魂が揺さぶられたと思う。

大人は大人なりに子の幸せを願い、子は子なりに人の重荷になりたくないと考えるってのは、ひとつ間違うと大きなすれ違いになったりしてしまうわけで…。なにより「重荷になりたくない」と考える子の成熟さったらないです。

今回は魂を揺さぶる人情譚「死にたがりと雲雀(全5巻完結済み)」を紹介します。

物語の核心に迫るようなネタバレは無し。

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作品概要

本作は、江戸の下町を舞台とした人情譚である。

いわく付きの過去を抱えていそうな寺子屋の先生・朽木の元に、下町の少年や少女が読み書きを習いに来ることになった。本作の主人公の1人でもある雲雀も、その子供たちのうちの1人である。

雲雀はある時、朽木が持っていた刀を発見した。そして町を騒がしている事件の犯人は自身の父親であることを悟り、町の大人に「朽木が持っていた刀に血の跡が付いていた」と嘘をつく。

同心・細目は朽木に刀を抜くように命じたが、朽木はこれに応じず犯行を認めた。…が、朽木の刀は血の跡はおろか、人を斬れるような代物ではなかった…。

 

登場人物

朽木

本作の主人公。流浪の果てに江戸に辿り着き、下町で寺子屋をひらいている。

子供とは言え自分に罪をなすりつけようとした相手の命を救ったり人格者のようにも思えるが、過去を知っている同心・細目からは「ろくでなし」と呼ばれており、過去に何かがあったことは明らか。

 

雲雀

幼くして母親を亡くし、家に居つかなかった父親も盗みと殺人で捕まったことで身寄りの無くなってしまった長屋の少女。

寺子屋で勉強して数を数えられるようになり、酔っぱらって帰ってきた父親が持っていた小判の枚数と盗まれたと言われていた小判の枚数が一致していることに気付き、街で騒がれている事件が父親が引き起こしたものだと気付く。

 

細目

町の同心で、朽木の過去を知っている人物。

朽木に対して良い感情を抱いていないのは明らかだが、毛嫌いしているという風でもない。

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見所をチェック!!

父親の犯罪を朽木に押し付ける雲雀

読み書きを教えてくれた寺子屋の先生である朽木に対し、自分の父親が犯した罪をなすりつけようとした雲雀。

子供ならではというか浅はかな考えではあるんだけど、どういう想いですぐバレるような嘘をついたのかって考えると、やっぱ子供だなぁって以外の感想が出てこない。自分の父親を守りたい一心で手頃な大人になすりつけたってだけで、よっぽど子供らしい行動って言えると思う。

本作に登場する子供、特に雲雀に関しては考えが成熟しているというか大人っぽい一面が多いというか…。とにかく気にしいな人物のような気がしました。

そんな雲雀が子供らしさを失うことになったのはコレがキッカケだったのかなぁとか考えると、すごく深い物語と言えるんじゃないかと。

 

身売りに身を委ねる雲雀

花魁になることを選択した雲雀。というのも雲雀は花魁になるということがどういうことかわかっていなくて、単純に人買いの口車に乗せられたというようなカタチで判を押してしまうんです。

普通はお金が欲しかったり、褒められたりしてホイホイ付いて行く感じなのかもしれないけど、雲雀の場合は自分の父親がしでかした犯罪に対する引け目なんかを上手く突かれたって感じ。

それでも子供なりに朽木のことを考えたりした結果がこういう流れになったんだと思うと、なんとも言えない気持ちになる。

 

朽木と細目の過去

細目は朽木の過去を知っていて、あまり朽木に対して好意的な感情を抱いていない様子。さらに町では「朽木が細目の家族を殺した」という噂さえ流れる始末です。

確かに朽木が武光を携えていて剣術にも精通している点、それから細目による当たりが厳しい一面を見れば、この両者の間に何かがあったことは火を見るよりも明らかなんだけど、ここにどのような真相が隠されているのか。

嫉妬とか愛情とか友情とか…色んな感情が渦巻いている過去に魂を揺さぶられること間違いなし。

 

全編を通しての感想

江戸時代は現代と比べても全く違う生活習慣だったと思うし、その時代を生きる人たちの価値観と言うか常識だって今とは全然違うと思う。

それでもその当時と変わらないものってのが幾つもあって、本作ではそういう「今も昔も変わらない感情」がテーマになってるんじゃないかと強く感じました。

今だって身内が事件を起こせば残された家族は石を投げられたりもするけど、その家族が事件を起こしたわけじゃないってのはみんな知ってるし、面白がってやってる人もいる一方でぶつけようのない怒りみたいなのを抱えている人もいるわけで。

怒りだけじゃないけど感情という意味では、人を想う気持ちとか負い目を感じる部分とか変わらないものも多くて、そういう感情にこそ魂を揺さぶられるんじゃないかと。人情譚として抜群に面白い作品でした。

 

あとがき

老若男女問わずおすすめしたい人情譚。

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