個人的には漫画やドラマで見られるようないじめをする人の気持ちが一切分からないんだけど、じゃあお前は一切そういうのに無縁だったのかって聞かれるとちょっとね。
小学生低学年の頃とかは結構ひどいことをしていたのを思い出します。「嫌われている人からの給食の配膳を受け取らない」的な。自分にそれが降りかかってくる分には自業自得だし構わないけど、これが自分の子供に降りかかってくるとか考えたら、すごく酷いことをしたなぁと思ったり。
本作はタイトル通り、かつてのいじめに対する報復の物語です。というわけで今回は「いじめのケジメ(全3巻完結済み)」を紹介します。
いじめのケジメ あらすじ
高校教師・天野のもとへ届いたのは1冊の黒い手帳。そこに綴られていたのは、かつて天野の担任していたクラスで行われた、壮絶ないじめの顛末であった。17年が経過し、天野はいじめ被害者の生徒を探し続けるが、未だ行方は掴めていない。そんな時、当時のクラスメイトたちが次々と殺され始めた! 天野は悲しい復讐劇を止めることができるのか…。――鈍感すぎた教師、悪意のクラスメイト、怯える傍観者…いじめに関わった者達すべてに「ケジメ」をつける時が来た。
いじめのケジメ 見所をチェック!!
いじめ復讐事件の真相を探る当時の担任教師
個人的にいじめモノの展開としては「教師も同罪」というテイで進んでいく印象を持っていますが、本作の教師は「当時のいじめを見抜くことができず後悔していて、教師をやめてホームレスとなっている」という設定です。
元生徒たちの殺されていく順番や殺害方法などから規則性を見抜いて、少しずつ真相に近付いていきます。ここにサスペンス要素と当時の行動を悔いている教師の心情が詰まっているという感じ。
復讐殺人をやめさせるというよりは、自己犠牲で完結させようとしている感じが伝わってきます。復讐する側に立って読んでも腹立たしさがないというか、単純に「意味のないことはやめろ!」みたいに言っているのとは違っていて目新しさも感じました。
いじめと同じ内容を味わわせる一種の爽快感
個人的にいじめと言えば、幼少期に見た「家なき子」でトイレに落としたおにぎりを食べさせるっていうシーンが思い出されます。
当時はそれを見て泣いてたんだけど、そういうのを真似する輩がいたのか、あるいはそれが当時からいじめの定番だったのか…。いずれにしても僕は未だにこういうシーンがトラウマです。
やっぱいじめの仕返しとしては「同じ報いを受けさせたい」っていうのがあるんじゃないかと思うし、もっと言えば倍返しが理想じゃないですか?本作でも火責め・水責めを倍返しにするという展開が使われています。
多くの人が期待するような因果応報の流れは、一種の爽快感が感じられる展開と言っていいでしょう。
復讐殺人を続けている犯人の正体
この手の復讐物は普通は「大人になったいじめられっ子が当時のいじめっ子たちに復讐をしていく」という展開になるんだけど、本作ではいじめられっ子本人は失踪中であり、復讐の描写のシーンにおいても復讐者がシルエットになっています。
この段階で既に「復讐者=いじめられっ子」というミスリードがされているというか、主人公が復讐者じゃなくて先生っていう設定も納得がいくというか…。いずれにしても「復讐している人物は誰なの?いじめられっ子じゃないとしたら誰が?」みたいな展開の結末も大きな見所です。
あとは復讐を遂げて終わりなのか、それとも復讐は何も生まない的な結末になるのか等々。失踪したいじめられっ子の現在の状況を含め本作の結末に注目です。
いじめのケジメ コミックス全3巻を読んだ感想・レビュー
いじめ系の漫画はかなり増えてきたと思うんだけど、本作はいじめよりも復讐がテーマになっていて、いじめのシーンは割とあっさり描かれています。だから意外と胸糞悪さは少なめで、そのせいか復讐者に対する感情移入があまり出来ず、読了後のスッキリ感もややマイルドな気がしました。
まぁ個人的にはゴリゴリにいじめのシーンを描かれても気分が悪くなるばかりで、何なら夢に出てきたりもするからこれくらいがちょうどいいわけですが…。もっと因果応報の強いやつが好きだという読者は少なくないんじゃないかと。
結末についても個人的には新しいと思ったし、問題提起みたいな感じで良かったと思います。ちょっと最終話に近付くにつれて新展開がありすぎて置いていかれそうにはなったけど、いじめモノとしては読了後に後腐れがなかったです。全3巻で読みやすいのもポイントと言えるでしょう。
あとがき
ここまで来るといじめっつーか犯罪。
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