同じ食堂で毎日ご飯を食べているとすれば、店員と客という立場ではあれど顔見知りになれる可能性は非常に高いです。さらに同じメニューを頼み続けることで、より一層相手の印象に残る可能性は高まるでしょう。
本作は学食でうどんを頼み続ける男子学生と、うどんを作り続ける女の恋愛物語です。というわけで今回は、うどんがキッカケで始まる恋物語「うどんの女(全1巻完結済み)」を紹介します。
うどんの女 あらすじ
「好きです」……うどんが。 バツイチ出戻りの村田チカ(35)の仕事は学食の「うどんのおばちゃん」。連日、うどんオンリーの男子学生・木野(21)と目が合うようになり──。ビンボーなの? うどんが好きなの? それとも私のこと……!? 年上女と草食男子の、じれったいほどの年の差ラブコメディ。
うどんの女の見所をチェック!!
ザッピングのような面白い見せ方をする恋愛漫画
本作は食堂のおばちゃんと学生の恋物語を描いた漫画なんですが、おばちゃん側の目線と学生側の目線の両方を描いている恋愛漫画です。だから本来の恋愛漫画にあるような「主人公は彼(彼女)に好意があるんだけど、向こうはどうなんだろう?」という楽しみじゃなく、お互いの勘違いやすれ違いが筒抜けになっている面白さが堪能できます。
恋愛の醍醐味って「自分は好きなんだけど向こうはどうなんだろう?」っていう、答えが出ないようなことに延々と悩んでる時間とか、上手くいった時のことを妄想する時間だったりするから、ザッピングにしちゃうとドキドキ感はなくなります。でもそれを上回る面白さが得られるんで問題なし。
面白い見せ方をしてくれる恋愛漫画だし、大人が読んでも楽しめるラブコメ要素がてんこ盛りなので、一風変わった恋愛漫画が読みたいという人におすすめです。
いつだって年の差恋愛に悩むのは年下
倫理的な問題があるからかも知れないけど、基本的に年の差恋愛に悩むのはいつだって年下です。それもセオリーとしては「女子生徒が男性教諭に恋をする(けど子供のように扱われて相手にされない)」的な展開が多いじゃないですか?
でも本作は食堂のおばちゃんと男子学生で、男子学生側が年の差に悩んでるっていうのが斬新です。これは多くの人が実際に経験したと思うんだけど、いわゆるストライクゾーンの話をしていて「何歳までOK?」的なやつって無駄に盛り上がるんですよね。
こういうのを嫌ほど繰り返すと、最終的には「年齢じゃなくて人による」ってなると思うんだけど、自分の年齢の倍以上の人に恋をする経験っていうのは凄いことだと思います。本作では倍まではいってないと思うけど、かなり年上の人との恋愛模様が描かれているので、その辺に悩む男子学生の姿に注目です。
配偶者や恋人の存在、複雑な恋愛事情
高校生同士、大学生同士の恋愛なら「好きな人いますか?/恋人いますか?」くらいの探りで問題ないのに対し、大人相手の恋愛となると厄介な問題が多数出てきます。
まず気になるのは配偶者の存在です。倫理にあらずということで好きになってしまったのであれば仕方ないという考えも無くはないけど、不倫は理屈じゃないにしても避けるべき問題だと思うし、仮に結婚してなくても結婚を前提にしている恋人がいる率はどう考えたって高いと見るべき。もしくはバツが付いていることも珍しくないでしょう。
そして同級生ほど接点が持てない年の差がある相手となれば、些細なことが気になったりするものです。まぁそれが些細な問題かどうかは当事者の価値観次第だけど。
うどんの女を読んだ感想・レビュー
すごく大人向けの恋愛で、セリフも無駄になくて淡々と進んでいく感じがクセになります。恋愛には妄想が付き物ですが、その内容も大人っぽいものになっていて、少女漫画的な恋愛ストーリーとは似ても似つかない内容と言えるでしょう。
下ネタもあるけど比較的ライトだし、全体的に爽やかさの目立つ物語です。「うどんがエロく見えてくる」みたいな官能的表現だったりするので、普段は恋愛漫画を読まないという人でも楽しめるんじゃないかと思います。
1巻で綺麗にまとまっていて、サッと読めるボリュームというのも本作のおすすめポイントです。
あとがき
「ラーメンの男」って漫画があったら、それはラーメンマンになるのか。