入り口は「ちょっと可愛らしい女の子の絵が気になった」という感じ。で、蓋を開けてみたら「ダークな闇社会のような雰囲気を持つ漫画」ということで、一気読みしてしまいました。
結果から言うと、まぁ胸糞悪くなる感じで、誰かれ構わずおすすめできるような漫画じゃないんだけど、ちょっと不健全でアンダーグラウンドな世界観が好きだって人なら、一気に読んでしまうようなクセのある漫画じゃないかと。
あとは結末の余韻の残る気持ち悪さというか、昔話のような「教訓を得る雰囲気」も兼ね備えていて、単にグロい&エロいっていうストーリーじゃないのも注目です。というわけで今回は、胸糞悪くなるアンダーグラウンドな復讐劇「ジェノサイダー(全4巻完結済み)」を紹介します。
ジェノサイダー あらすじ
暴力、脅迫、拉致、ドラッグ、美人局……金のためならなんでもアリの半グレ集団。流されるままに犯罪に手を染める少女のまわりで起きる凄惨な事件の数々。暗く汚い悪意の渦にのみ込まれていく??とまらない欲望。断ち切れぬ復讐の連鎖。『事件』へのカウントダウンが始まる。
ジェノサイダーの見所をチェック!!
精神がやられてしまうくらいダークな描写の数々
本作は半グレ集団と呼ばれている、いわゆる「不良とヤクザの中間」くらいの若者にスポットが当たっていて、未成年だけど酒くらいは当たり前のように手を出すし、美人局とか親父狩りをしてお小遣いをせしめるって感じの悪党の物語です。
まぁ普通に見ていて気分の良い感じではないし、この気持ち悪さは「過去に起きた胸糞悪くなる極悪事件のドキュメンタリーを見ている時の気分が滅入る感じ」に近いかも。僕は寝る前に本作を読んでいて、似たような夢を見ないかどうか怖かったくらい。
グロいというよりは胸糞悪いという方向で、読む人を選ぶと思います。「怖いもの見たさ」とか、あとは「こいつらに鉄槌が下ることへの期待」が、本作を読み進めるモチベーションかなぁ。
根底にあるのは復讐劇
ただずっと胸糞悪い物語じゃなく、根底には「娘をボロボロにされた父親の復讐」というテーマがあります。法に裁かれるとは言っても少年法などに守られている若者が相手ですから、実の娘をボロボロにされた父親からすれば「娘と同じ、あるいはそれ以上の苦痛を与えてやる」くらいに思うのは当然でしょ。これがあるから「あいつらみんなタヒねばいいのに」くらいの感情で読むことができるっていうね。
ただ、復讐を遂げられたとして娘が幸せになるのかとか、本人が幸せになれるのかっていう部分も踏まえ、「そもそも少年法っている?」くらいの問題提起のように感じる部分もあります。復讐は何も生まないって言うけど、やられた側からすれば簡単には納得できない部分もあるわけで…。ただグロいとかムカつくだけの物語じゃないのは、間違いなく復讐劇というコンセプトのおかげ。
ジェノサイダー コミックス全4巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
怖いもの見たさで一気に読みました。エロい描写もかなりあるけど、全然エロくないです。女性軽視もいいとこで、気分が悪く感じるって読者も多いと思う。復讐劇に乗じて「こいつらが不幸になる瞬間、因果応報という結末が見たい!」というモチベーションで読んでたけど、そういうのが無ければ読んでいられないくらいツライ物語です。
全4巻だったから何とか読み切れたし、何より「賛否両論ありそうな終わり方だけど、個人的には綺麗な結末じゃないかな?」と思えた部分で、決して駄作じゃないと思う。急に終わるけど、やる気になれば「第二部としてスタート!」って感じにもできるし、今のままでも「余韻を残しまくって、読者に問題提起をして終わり」って感じ。
ちょっと残念というか不思議だったのが「最初は女の子の絵が可愛かったのに、後半から急に絵が崩れるというか別の絵に変わるのはなんで?」って部分。ここは読了後もモヤっとするので注意してください。
あとがき
ジェノサイド:その共同社会や民族を滅ぼすほどの大量殺害。集団殺戮(さつりく)。