たまに「AV女優は供給過多でAV男優が全然足りない」みたいな話を聞いたりするんだけど、そういうのを聞くと「AVじゃなくて性的な風俗で働いたことがある人ってめちゃくちゃ多いんだろうな」って思います。
ちょっと踏み込んだキレイどころの多い女性グループの話を聞くと、誰々がAVに出たことある的な話とか結構聞いたりするので、顔バレの少ないデリヘル嬢とかなら星の数ほどいるような気がしました。
本作は地味な女子大生が、夜は華やかなデリヘル嬢になるという感じの物語です。というわけで今回は、現代を生きる一人の灰かぶり姫の物語「デリバリーシンデレラ(全11巻完結済み)」を紹介します。
デリバリーシンデレラのあらすじ
東京の大学に通う地味な女・山田雅美には、ある秘密があった。雅美は夜になると魔法がかかったように美しく変身し、男達に性を捧げるデリヘル嬢・ミヤビになるのだった!現代を生きる一人の灰かぶり姫の物語が、今始まる!
デリバリーシンデレラの見所をチェック!!
昼は地味な女子大生、夜は綺麗なデリヘル嬢
一昔前の少女漫画なんかだと「眼鏡を外したら超美人になる」みたいな展開がありがちでしたが、本作もそれに近い感じがあります。いわゆる地味な女子大生が、夜になると男たちの目を釘付けにする風俗嬢になる…みたいな感じ。
髪型やメイクでだいぶ変わるとは言え、大学ではブス扱いされながらも夜のお店では超チヤホヤされる逸材っていうギャップは、さすがに無理があるんじゃないかと思いました。でも夜の方はめちゃくちゃ可愛い雰囲気が漂っています。
なにより「昼は普通の女子大生がデリヘル嬢をやっている」っていう設定ですよね。ここに興味を持たない男性読者はいないんじゃないかと思うんだけど、デリヘルに関するあれこれを覗けるという部分に注目です。
様々なタイプのお客さんと接客テクニック
キャバ嬢なんかでも「車もらった、マンション買ってもらった」みたいな話を聞いたりするけど、デリヘル嬢もプレゼント貰ったりするんでしょうね。まぁプレゼントをくれるお客さんとか、本来のサービス以上のことを要求してくるお客さんがいるってことくらいは想像に容易いです。
でも本作には本当に色んなお客さんの姿が描かれているので、それを見ているだけでも結構楽しかったりします。大学生みたいな若い子がノリで呼んだりとか、政治家が高級ホテルから呼んだりとかね。
たまに困るお客さんがいた時にどうやってかわすのかって部分も見所がたっぷりだし、ぶっちゃけ勉強になる部分も少なくありません。僕はどうあがいてもデリヘル嬢にはなれないけど、嫌なお客さん相手にどうやって接するかみたいな部分は一般的な接客業にも通じる部分があるように感じました。
風俗嬢っていわば接客のプロだと思うので、そういう部分でも色々な楽しみがある作品だと思います。
デリヘルと一般的な仕事の共通している部分
僕は風俗に行ったことがないので(というか僕が住んでる田舎にもそういうお店があるのかどうかも謎)、風俗嬢という仕事に対してどこか特別な感じがあります。ぶっちゃけ簡単な気持ちでなれないというか、選ばれし者にしかなれない職業というイメージです。
でも本作を読んでいると、意外と普通っぽいような気がしてきます。お客さんに価値を提供する一方で会社にも存在を認めてほしい部分があるというか、お金のためだけにやってないというような感じっていうのかな。
一般的な仕事でも直接的なお客さんとのやり取りでやりがいを感じるだけじゃなく、会社の上司から褒められたり必要とされたりすることがモチベーションに繋がることもあると思うんです。
そして本作の主人公にもそのような背景を感じました。ヘッドハンティングなんかもある世界ですから、こういう揺れ動く感情なんかにも見応えのあるお仕事漫画と言っていいでしょう。
「彼女が風俗嬢」という悩みや葛藤
普段は普通の女子大生ですから、それこそ特定の男性とお付き合いをしたりもしたくなるお年頃だと思います。でもその時にネックになってくるのが夜のお仕事です。
恐らくなんだけど多くの男性にとって、自分の彼女が風俗で働くのって複雑な気持ちになるんじゃないかと思います。それこそキャバクラとかならまだ会話だけだからいいにしても、体の関係にまで及んじゃうと複雑な気持ちになるという人は少なくないでしょう。
本作の主人公にも少しいいなぁと思える男性ができて、その時に仕事を打ち明けるかどうかで揺れ動く心境のようなものが描かれています。ぶっちゃけ男性側の意見も分かるし、でもかと言って主人公が仕事を辞める理由にはならない理由も分かるような気がしました。
デリヘルに限らず、夜のお仕事でお金を稼いでる女性の方は少なくないと思うんだけど、そういう女性に惹かれたことがある男性にはめちゃくちゃ刺さる心理描写にも注目してみてください。
デリバリーシンデレラ 全11巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
個人的にデリヘルとかピンサロとかヘルスなどの区別が全く付かず、デリヘルに関しては「デリバリー(女の子が家やホテルなどに出向くシステム)」ってことくらいしか分からないけど、勝手に偏見を持っている部分とか大げさに考えすぎている部分があったことを痛感しました。
というよりも冷静になって考えてみたら、女の子が見知らぬ男の家に一人で行くって相当怖いよね。時間通りに来なかったらお店の男性スタッフが来てくれるようになっているとは言え、何かあってからじゃ遅いし…。
あとはお金面での問題を抱えていて仕方なくこの道を選んだ人ばかりでもないっていう部分も見れたり、色んな形があるということも知ることが出来たので、本作を読むことですごく視野が広まったと思います。
可愛らしい女の子が裸になって性的なサービスをするシーンが多々あるけど、ぶっちゃけそこまでエロい気持ちにならなかったし、ヒューマンドラマ的な要素が強い作品と言えるでしょう。
あとがき
デリバリーはウーバーイーツすらも頼んだ経験がありません。