格闘漫画を描こうと思った漫画家さんが100人いたとして、どんな格闘技が人気になるんだろうって考えてみました。まぁ空手とかボクシングあたりが王道なのはいいとして、ここで「カポエイラ(カポエラ)」を選択する人って凄いよね。
今作は女主人公、しかもカポエイラで成長していく様子を描いた作品です。単純な格闘技としてのカポエイラを描いた作品というわけではなく、世界観としては黒幕の陰謀やゲーム性なども持たせている感じ。
というわけで今回は、格闘漫画としての不協和音が心地良い「バトゥーキ(連載中)」を紹介します。
※物語序盤部分のネタバレあり。
バトゥーキ あらすじ
ごく普通の家庭に育ちながら、言い知れぬ孤独と束縛感を抱える女子中学生・三條一里(さんじょういちり)。学校帰りのコンビニで強盗に襲われかけた刹那、彼女に摩訶不思議な体験が訪れる――。それは、彼女の出逢いと解放の物語が、幕を開けた瞬間だった。音楽、格闘、ダンス、哲学、宗教…人間の営みのすべてを体現する舞闘技「カポエイラ」に、“漫画の求道者”迫稔雄が漫画表現の粋を集めて挑む、異類の青春バイオレンス大河、開幕。
バトゥーキの見所をチェック!!
格闘漫画の題材が「カポエイラ」
カポエイラって言われて、どんな格闘技なのかをパッと思い浮かべられる人ってそんなにいないんじゃないかと。つーかK-1とか今すげー流行ってるけど、カポエイラを使う有名選手っていないよね?
僕も漠然としたイメージしかなくて、それこそ「ブレイクダンスしながら戦うような、攻撃の軌道が全く読めない感じの格闘技」っていう程度のイメージなんで、これも間違ってる可能性があります(餓狼伝説ってゲームのボブ・ウィルソンが使うんだよね)。
いずれにしても今まで漫画作品の題材として、あまり取り上げられてこなかった格闘技がメインってだけで胸が躍りませんか?かつて人類最強と評されたヒョードルがカテゴライズされている格闘技がサンボだったっていうカッコ良さ。…マジで痺れる。
線が細かくて見応えのあるバトルの描写
作者の迫稔雄氏は「嘘喰い」という漫画の作者で、嘘食いは僕が1番好きだと言っても過言じゃないギャンブル漫画です。ギャンブル漫画なんだけどバトルの描写に定評があって「バトル漫画描かせてもすごい作品になりそうだけどなー」なんて思ってたら、今回遂にバトル漫画を描いてくれました。
ちょっと人間の顔にクセがある感じに好き嫌いが出そうだけど、登場人物の心理描写とバトルシーンの躍動感は一級品です。カポエイラって攻撃の軌道が見分けられない感じの格闘技なんで、そういう細かい部分も伝わってくるほどの高い画力は見所。ちなみに嘘喰いも超おすすめです。
家族愛の要素とダークな世界観と秀逸な駆け引き
ちょっとネタバレになっちゃうかもしれないんだけど、本作は「かつて自分を救ってくれた親を今度は自分が助ける番だ」という使命感でもって、主人公が自分の武術を高めていくってストーリーです(序盤はね)。
そこで単に刺客をぶつけまくるとか謎の格闘トーナメントを開催するって感じではなく、ゲーム性を持たせたルールに基づいてバトルしていくって感じになってるんだけど、これが前作の嘘食いを思わせる感じで超面白い。
両親は主人公を戦わせるための餌として人質になっていて、身体の一部分を切断されるリスクを負っています。ただし主人公がゲームに勝つとそれを延期できるっていう感じ。
強い相手に勝つほど延期できる期間も長くなるけど、そもそも負けると親の身体の一部が切断されてしまうから、とにかく負けないことが重要になっていくんだけど…。果たして勝ち続けることって出来るんだろうかっていう楽しみがあります。
バトゥーキ序盤を読んだ感想・レビュー
最初はちょっと過保護な両親の元に生まれた女主人公が、カポエラに出会って格闘技の世界に足を踏み入れるって感じの格闘漫画かなーって漠然と思ってました。それと同時に「嘘食いみたいなダークな感じがないのも寂しいなぁ」とも思ってたんだけど全然杞憂だったっていうね。
個人的にはめちゃくちゃ好きです。何かに夢中になりたいと思っていた主人公がカポエラに夢中になり、そして一種の親孝行みたいな感じで強くなっていく姿。しかもそこには感動って感じじゃなくて黒幕の手のひらで転がされている不快感みたいなものもあって、まさに唯一無二のバトル漫画に仕上がってると思います。
異種格闘技っていう見方をすれば、バキとかタフでも擦られまくったストリートファイト感はあるけど「主人公がカポエラ使い&両親を助けるために戦う」みたいな要素が、新しい格闘漫画として成立させているので今後の展開に超期待してます。バトル漫画、格闘漫画が好きな人におすすめです。
あとがき
カリ梅が出てくるに全レイズ。
血がたぎる熱いバトルが醍醐味!面白くておすすめの格闘漫画を紹介する