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「九条の大罪」を読んだ感想・レビュー

九条の大罪表紙
Ⓒ九条の大罪

子供の頃は「悪いことをしたら素直に謝りなさい」みたいに言われてたけど、いつからか「素直に謝る=損をする」みたいな認識に変わったような気がします。もちろん悪いことをしないっていうのが大前提ではあるんだけど。

本作は一般的に救いようがない悪人と呼ばれるような人を弁護する弁護士の物語です。モラルや常識が吹っ飛ばされるような、知っているだけで人生が変わりそうな法律の世界は夢中になること間違いなし!

というわけで今回は、法とモラルの極限ドラマ「九条の大罪(連載中)」を紹介します。

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九条の大罪のあらすじ

なぜか厄介な案件ばかりを引き受ける弁護士・九条間人(くじょうたいざ)。鼻炎持ちのバツイチで、ビルの屋上で テント生活をしている偏屈な弁護士だ。主な顧客は、半グレ、ヤクザ、前科持ちなど、きな臭い人だらけ!? ネットでは悪徳弁護士と罵られながらも、イソ弁の烏丸(からすま)と共に、依頼人の擁護に務める。ある日、飲酒して轢き逃げをした半グレが、先輩の壬生に連れられて、九条のもとを訪ねる。そこで九条が授けた策は、弁護士にはあるまじき教唆で――!? 交通事故ひとつですら、常識がひっくり返る。知ってるだけで、人生が変わる。神か悪魔か弁護士・九条! 法とモラルの極限ドラマ、ここに開幕!

九条の大罪の見所をチェック!!

第一印象は典型的な悪徳弁護士という主人公

九条の大罪1
Ⓒ九条の大罪

子供の頃は「弁護士=正義の象徴」と思っていました。その一方で警察官(検察官)もまた正義だと思ってたから、子供の頃の価値観でいられたらどんなに楽だったか。

僕は裁判になったことが無いし、弁護士が正義か悪かっていうのはシチュエーションによると思ってるんだけど、世の中のニュースを見たり聞いたりしている分には弁護士に対して腹が立つケースがほとんどです。たまに刑を軽くしようと必死になっている様子なんかを見ると、それが仕事とは言え「こいつすげーなぁ」って思ったりします。

殺意の有無とか精神状態とかを持ち出して、とにかく穴を突くやり方っていうのかな。言葉を選ばずに言うなら「金の亡者」みたいな。もちろん弁護士全員がそうだっていうつもりは毛頭ないんだけど、本作の主人公は典型的なそれのように思えました。

知っているのと知らないのとでは大違いなプチ情報

九条の大罪2
Ⓒ九条の大罪

芸能人やらでも轢き逃げをする人ってたまに聞くけど、最近はどの車にもドラレコが付いてるし、まして人を轢いておいて逃げ切るなんてことは相当無理筋だと思います。じゃあ弁護士の視点からどうするかっていうと「いかに刑を軽くするか」ではないでしょうか。

よそ見していたならその事実を揉み消したり、飲酒なんてのは持ってのほかです。というわけでその場は一旦逃げておいて、酒が抜けてから出頭するっていう…その場で捕まるのと一回逃げてから捕まるのとで後者の方が罪が軽くなるっていう矛盾よなー。そして同じく人を轢いたにしても言い方ひとつで量刑が変わるんだからおかしな話ですよね。

ちなみに酒気帯び運転をしていて検問や警察に止められることがあった場合、車を路肩に停めてからあえて積んでおいたお酒を飲むっていう技があるっていう話を聞いたことがあります。これだと今飲んだってことになるって話なんだけど、こういう汚いというか知ってる人間だけが得をする裏道みたいなものが見応えたっぷりです。

被害者(原告)のやるせなさ

九条の大罪4
Ⓒ九条の大罪

夫を亡くして子供も片足を失う事故を起こされた被害者の心情たるや、読んでいて胸が締め付けられるほどです。実際に似たような事件も起きてるし、なんでここまで人の命が軽いのかってくらいに刑が軽すぎませんか?

飲酒していて起こした事故でも罪が軽いと思うのに、まして現場から一回逃げて酒を抜いてから出頭すればそれ以上に罪が軽くなり、まして執行猶予が付くなんて当事者だったら耐えられないんじゃないかと思います。

さらにこういう状況になった場合、後遺症を抱えたことによる慰謝料とか保険屋とのやり取りとか、一般の人だと分からない部分も多いじゃないですか?そういう部分で言いくるめられてしまうことのリスクなんかにも触れているので、高いお金を払ってでも腕の良い弁護士を付けることは重要だと痛感させられました。

被害者の立場に立って読んでしまうと辛い場面も少なくないけど、この残酷さみたいなものも本作の魅力の一つです。

法律とモラルは別問題

九条の大罪3
Ⓒ九条の大罪

本作の主人公は「法律と道徳を分けて考えている」と言っていて、飲酒運転をして人を轢いておきながら逃げてきた人間に対してアドバイスをするという行為が、世間一般で言うところのモラルに反していると認識しているようです。

僕もたまに酷い事件の犯人を弁護している人間に対して「どういう気持ちでやってんのかな?」って思う部分があったんだけど、恐らくこれが弁護士としてのプロ意識なんだと思います。すっげー悔しい気持ちにはなるけど、決められたルール(法律)の中でやってることですからね。

この主人公が今後どのような事件を扱っていくのか、そしてどんな事件に対してもブレずに対応していくことができるのか…この辺りの主人公の心情にも注目です。

九条の大罪 1巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

「闇金ウシジマくん」を描いた真鍋氏の作品ということで最初から注目していました。で、元々ハードルも高かったんだけど、それを上回る面白さだったと思います。掴みはばっちりすぎるくらいに最高。

僕みたいな素人からすると「え、そんなことあんの!?」って言いたくなることだらけな法律の世界です。飲酒運転をして人を轢いて逃げるような、世の中に迷惑をかけている人間はアホだと思っていたけど、そんなアホが得をするようになっています。当然腹が立つって気持ちもありつつ、あとは単純に興味深いです。

この常識がひっくり返る感じがたまりません。テーマがテーマなだけに実写化をするとしたら題材を選んでやるんじゃないかと思うけど、実写化されても驚かないくらいに面白い作品だと思いました。今後も発売日に即買い。

あとがき

無知は罪ですね。

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