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「九龍ジェネリックロマンス」を読んだ感想・レビュー

九龍ジェネリックロマンス

 

恋っていうのは不思議なもんで、懐かしさと両立する部分ってありませんか?例えば初恋を今でも鮮明に覚えている人って少なくないと思うんだけど、初めて異性と付き合った時によく聞いてた音楽とかニオイって、脳内でタイムスリップできるような感覚になることがあると思うんです。

僕が幼少の頃はまだ携帯電話も普及していなかったから、女の子の家に電話するだけでも「誰が出るんだろう」ってドキドキしたし、家族の人が出て取り次ぎの待機中に流れる保留音とか未だに懐かしいって思うもんね。

というわけで今回は、そんな懐かしい感覚に陥る恋愛物語「九龍ジェネリックロマンス(連載中)」を紹介します。

※物語の序盤部分のみネタバレがあります。

 

 

九龍ジェネリックロマンス あらすじ

此処は東洋の魔窟、九龍城砦。ノスタルジー溢れる人々が暮らし、街並みに過去・現在・未来が交差するディストピア。はたらく30代の男女の非日常で贈る日常と密かな想いと関係性をあざやかに描き出す理想的なラヴロマンスを貴方に――。

 

九龍ジェネリックロマンスの見所をチェック!!

懐かしさが香ってくる雰囲気

九龍ジェネリックロマンス1

 

物語の舞台になっているのは九龍。「九龍ってそんなに有名な都市なの?」っていうのが正直な感想なんだけど、香港にあるスラム街みたいです。Kindleレビューを見てたら「九龍という文字に惹かれて…」みたいな人が結構いたので超有名都市なのかも(僕は知らなかったけど)。

ただ作中で描かれている九龍の空気を見ていると、古き良き感じというか「洗練されていないのがむしろ良い」みたいな空気感を感じました。日本で言うところの東京下町の空気感っていうのかな。

悪く言えばゴミゴミしているとかそんな表現になるんだろうけど、強がりでも何でもなく居心地が良いと思える故郷のような感じって言うんでしょうか。兎にも角にも懐かしい!ノスタルジーな雰囲気が存分に堪能できます。

 

所々に登場する眉月じゅん節が炸裂

九龍ジェネリックロマンス2

 

本作を描いている眉月じゅん氏は「恋は雨上がりのように」を描いた漫画家さんで、僕はこの作品がめちゃくちゃ好きでした。ちょっと懐かしさを感じるような恋愛物語を描かせたら天下一品です。

作中には眉月じゅん氏ならではの表現が多く登場するんだけど、例えば本作序盤では「高望みかロマンか」みたいな話題が登場します。ゴミ同然のレシートを集める行為がロマンで、目元のシワを隠そうとするのが高望み?

「お前がルールブックかよ!」って言いたくもなるけど、好きな相手が言っちゃうとなんだかね。こういう展開に対して「あなたのことをもっと知りたいと思ってしまうのは高望み?」っていう感じで表現する乙女心みたいなものは、もはや文学作品くらいのレベルじゃないかと思う。

 

ただの恋愛物語じゃない追加要素

九龍ジェネリックロマンス3

 

本作が「九龍を舞台にした懐かしさを感じるだけの恋愛物語」なら、そこまで斬新な漫画ではなかったでしょう。まぁただの恋愛物語でも十分に面白くなるだろうけど、本作にはもう1つ大きな追加要素があります。

それは本記事では言及しないので、実際に本作を読んでみてほしいです。個人的には「コミックスの1巻がこの物語の導入部分だったんじゃね?」ってくらい、コミックス1巻の終わりがかなり衝撃的でした。本作がドラマ化されるなら、コミックス1巻の最後でオープニングが始まるような感じがします。

この追加要素があるから、グイグイ引き込まれてしまうんですよね。単なる面白い恋愛漫画に留まらず、続きが気になる恋愛漫画に昇華しているって言うのかな。面白くて仕方ないんだけど、できればまとめて一気読みしたくなるような感情が味わえます。

 

九龍ジェネリックロマンス コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

ある程度の年齢になるとノスタルジーな空気感がめちゃくちゃ好きになるんじゃないかと思うんだけど、それを差し引きしても本作は超面白いです。

恋愛漫画に興味がない人でも夢中になれる要素があるし、割とリアル志向の作品で「続きどうなるの?」ってワクワクするのは久しぶりのような気がします(バトル漫画とかなら割と続きが気になるとかはあるけど、ドラマ化しそうな物語で先の展開が気になるのは久々)。

僕はもう恋愛がどうのこうのっていう年齢でもないし、もう飽きてきたというか面倒に感じる部分もあって、今更恋愛漫画を読んでもそこまで心を動かされることってないんだけど、本作には超揺さぶられています。

とりあえず眉月じゅん氏の前作「恋は雨上がりのように」が好きだった人も楽しめるし、懐かしさを感じる恋愛物語に興味があるという人、ちょっと謎めいた恋愛物語に惹かれるという人には文句なしにおすすめです。

 

あとがき

序盤から既に超大作になる空気感。

 

 

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