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「信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~」を読んだ感想・レビュー

信長を殺した男表紙

 

日本史の人物の中で、最も漫画に登場している人物って誰なんでしょうね。やっぱ戦国時代とか幕末あたりが人気なんだろうなとは思いますけど、なんだかんだで人気・知名度ともに「織田信長」になるのかなぁと。

そんな信長と言えば、天下統一を間近にして部下に謀反を起こされ、自害に追い込まれてしまうことで有名です。これさ、テストとかに出たらそうやって書くけど、誰も見たことないのに本当なのか怪しいって思いませんか?

ちなみに信長を討ったと言われているのが、明智光秀。一説では「ハゲと呼ばれてイジメられていた」みたいな話も聞くけど、教科書に掲載されている写真がハゲてない(正確にはおじゃる丸みたいな帽子をかぶっている)から、真偽のほどが不明です。

そんな定説に一石を投じたのが本作と言えます。というわけで今回は、明智光秀目線で語る歴史漫画「信長を殺した男(全8巻完結済み)」を紹介します。

 

 

信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~ あらすじ

信長を殺した男1

 

真説・明智光秀伝。我々が習った歴史は、“嘘”だった!!? 明智光秀が主君・織田信長を討った日本史上最大のミステリー“本能寺の変”! 現代でもなお多くの謎が遺される大事件を400余年の時を経て解き明かす!!

 

信長を殺した男の見所をチェック!!

本能寺の変の真実とは?

信長を殺した男2

 

真実って言葉を使ってしまうとちょっと語弊があるんですが、本作の肝となる部分は「実は本能寺の変の真相には、こんな説もあるんですよ」という感じで、現在最も慮られている説に対して一石を投じている点です。

我々の多くが教わってきた歴史における本能寺の変は「天下統一を目前にした信長の家臣である明智光秀が、日頃からいじめられていた恨みを晴らすために謀反を起こした」というもの。諸説ありとは言いながらも、大まかにはこんな感じで捉えている人が多いと思います。

 

それが「実はある男によって捏造されたものだとしたら?」というのが本作のテーマです。今から500年前後も昔の話なんか定かじゃないので、そもそも事実であるかのように教科書を通じて教わるということ自体が、個人的には違和感しかないわけですが…。

歴史なんてあることをキッカケに180度変わったりもするし、今まで当たり前のように語られてた事実と反する仮説が幾つもあったりします。もちろん専門家レベルであれば、真偽を判断できるのかもしれませんが、僕みたいな一般人からすれば「こんな説もあるのか」という気付きだけでも、面白いと感じました。

 

信長の人物像について

信長を殺した男3

 

僕の脳内における日本史の知識は、それこそ中学校教育の時点でストップしているわけですが…。当時、信長に関しては「冷徹、残虐」というイメージを刷り込まれました。

それこそ歴史の先生は自分の親の仇かのように信長を語り、あたかも実際に見たことがあるかのように、その人間性を説いていたのを覚えています。

ただ、人間の印象なんて受け取る側によって大きく変わるし、「泣かぬなら…」の有名な一句も勝手なイメージによるもののような気がしないでもないっていうね。実際に今の総理大臣が500年後くらいの教科書に載る際、たぶん僕が今持っているイメージとはかけ離れた文言で語られると思うんですよ。

そこには忖度みたいなこともあるだろうし、そもそも公文書を破棄してて正しい情報がないとか、歴史の勝者みたいな人が自分の都合に合わせて語るんだろうなぁと。

 

そうやって考えてみると、世間一般的に言われているような信長じゃなかった可能性を考えるだけでも、めちゃくちゃ楽しい。本作は「明智光秀の子孫の方が、真の歴史を語る」みたいなテイで進むので、そりゃ明智光秀の方に肩入れしている感じに描かれていると感じるシーンが多いわけですが、これでやっとイーブンじゃないかなぁと思ったりもします。

歴史と比べるのはおかしいかもしれないけど、揉めている2人がいたら双方から話を聞かないと、正確な判断はできないのと一緒で。「今までAくんの言い分ばっか聞いてて、Bくんがとんでもない奴のように思ってたけど、今回Bくんの話を聞いてみたら、Aくんの落ち度が見えてきた」みたいな。そういう気付きが面白い歴史漫画だと思います。

 

「それはさすがにガセじゃない?」という説

信長を殺した男4

 

色んな角度から歴史を見ていると、「それはさすがにガセじゃない?」という説が山ほど出てきます。明智光秀に関して言えば、「明智光秀=南光坊天海」説が有名ですよね。

僕自身、これは真実だとは思っていないし、単なる都市伝説というかデマじゃないかと思ってるんですが、こういう説が語られることも歴史の面白さの1つじゃないかと思っています。

まぁ大体、死んだと思っていた人間が生きていたっていう展開は、数々の漫画やアニメ、ゲームなんかでは盛り上がるシーンの典型だし、あの信長を倒して長きに渡る徳川幕府の黒幕だったみたいな流れは、もうこれ完全に注目されるでしょ。

これについても明智光秀の子孫である方が、見解について触れています。おまけ漫画みたくなってるけど、メインコンテンツに負けないくらいの見所です。

 

信長を殺した男 コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

僕からすれば歴史の授業で学んだようなことに対しても、盲目的に真実だとは思っていなくて、「今んとこ濃厚な説って程度なんだろうな」くらいに捉えているので、必ずしも「歴史漫画=真実じゃなくてもいい」という考えです。

そういう熱量で読むと、非常に面白い歴史漫画なんじゃないかと思います。まぁ歴史に本当に詳しい人が読んでしまうと「じゃあ〇〇はどうやって辻褄合わせるんだ?」みたいに突っ込みたくなる描写は、普通に出てくるんじゃないかと思うけど。

 

やっぱ明智側の立場から語ってる作品なので、そりゃ裏切り者みたいに言われてるのは不本意だろうと思うし、定説と真っ向からぶつかってしまう部分も少なくありません。

ただ、光秀は信長を殺すように誰かに仕向けられたって方向でもいいし、別の誰かが信長を殺して光秀に罪を擦り付けたでもいい。「私怨で光秀が信長を討ったと決めつけなくてもいいのでは?」くらいには思いませんか?

読み物として「そういう可能性もあったのでは?」と思いながら読むと、歴史の真実にもアンテナが向くので、決して無駄にはならないと思います。個人的には好きですね。

 

あとがき

う〇こ漏らして「味噌こぼした」と言い訳した家康。

 

 

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