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「僕といっしょ」を読んだ感想・レビュー

僕といっしょ表紙

 

古谷実氏と言えば稲中卓球部が有名で、くだらなすぎて笑えるギャグ漫画という意味では革命的な一作だったと言っても過言ではありません(…過言かな?)。

個人的には稲中よりも本作の方が好きで、古谷実氏の世界観がはっきりと表れているような気がします。下ネタ系のギャグ満載なんだけど、本気で笑わせようとしているのか不思議な感覚になるというか、もっと言えば「笑ってばかりもいられないギャグ漫画」という感じというか。

というわけで今回は、逆境を跳ね返す壮大なスペクタクル「僕といっしょ(全4巻完結済み)」を紹介します。

 

 

僕といっしょ あらすじ

親ナシ、金ナシ、職もナシ。だけど俺らにゃギャグがある! 『進め! 稲中卓球部』の名匠・古谷実が問いかける、“人生って、何?” ――母が死に、養父に捨てられた兄弟=すぐ夫(14歳)&いく夫(小3)。縁もゆかりもなく上京してみた“根無し草”ブラザーズは、シンナー依存症の辮髪(べんぱつ)孤児・イトキン(たぶん14歳)やイケメン秀才・カズキと、チン妙きわまる居候(いそうろう)暮らしをスタート。その手始めとして、出張ホスト会社「ホワイトペニーズ」をおっ立てるが……!?

 

僕といっしょの見所をチェック!!

絶望的なマイナスからのスタート(なのに明るい)

僕といっしょ1

 

実の父親は自分が生まれた直後に蒸発。そして代わりの父親が来て一緒に暮らしていたが、実の母親が3日前に亡くなってしまい、義理の父親がとんでもない奴だということで家を出た2人の少年の物語です。

あくまで漫画の話だから現実と一緒くたに語るのはどうかと思うけど、それにしても小学生と中学生の兄弟が大したお金も持たずに家を出るっていうのは勇気がいる行為だと思うし、不安もいっぱいだと思います。それをギャグを交えつつコミカルに仕上げているのが本作。

ぶっちゃけ初期設定が重すぎてコミカルになりきれていないというか、馬鹿をやりながらも一抹の寂しさを感じさせるというか…。このアンバランスな感じが本作最大の魅力で、絶望的なスタートを切りながら物語がどのように進んでいくのかは大きな見所と言えるでしょう。

 

徐々に仲間(家族)が増えていく(なのにハートフルではない)

僕といっしょ2

 

ノープランで家を出て、旅先で似たような境遇の仲間が増えていきます。いわば「公園でホームレス生活をしていたら、少しずつホームレス仲間が増えた」みたいな感じ。

こうなると一種の家族のような絆ができて、ちょっとずつハートフルな展開も想像できるんだけど、本作にはそのような空気がほとんどなく、むしろ主人公(兄)のゲスさが際立ってるんですよね。

めちゃくちゃゲスいのに嫌いになれないというか、でも応援したくなるというわけでもない微妙な立ち位置が秀逸!そして個性溢れる仲間が増えていく展開にも注目です。

 

全く先が読めない展開

僕といっしょ3

 

物語って序盤を読めば、結末が大体予想できるじゃないですか?合ってるか合ってないかは別にして、「7つのボールを集めて世界平和を願うのかなー」とか。「最後の最後に赤い髪したルーキーがダンク決めて優勝するのかなー」とか。

でも本作の結末は全然読めない。ハッピーエンドも想像ができないし、かと言ってこれ以上不幸になるのも違うし…。悲劇でも喜劇でもないっていうか、どんな終わり方をするのかマジで分かりません。

普通は「実の親が死んでしまって、義理の親に見捨てられた少年2人」って聞いたら、応援したくなるじゃないですか?でもそんな感じの物語でもないから、未知数が高すぎて計り知れないという感じ。先の読めない物語が好きだという人にはおすすめします。

 

僕といっしょ コミックス全4巻を読んだ感想・レビュー

母を亡くしてから行き場を求めて家出をする小・中学生の物語なので、万人にお勧めできるような漫画ではありません。割とヘヴィーな展開があるので、稲中と同じテンションで読み始めると驚いてしまうと思います。

中身は低俗系のギャグ要素が強いものの、根底にあるテーマはなかなか重く、それらを両手放しにして笑えるようなものでもないというか、ギャグ漫画なのにギャグ漫画じゃないような不条理を感じました。

個人的にはギャグ全開ではない本作の空気感に大きな魅力を感じたし、最後の締めも非常に良かったと思っています。ちょっと文学的な雰囲気すら感じる作品ですが、全4巻で読みやすく、くだらないだけじゃないギャグ漫画というのに興味があるならぜひおすすめしたい作品です。

 

あとがき

僕といっしょっていうタイトルの温かみよ。

 

 

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