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「冷たい校舎の時は止まる」を読んだ感想・レビュー

冷たい校舎の時は止まる表紙

 

サスペンス作・ミステリー作品で、最後の最後に訪れる「そういうことだったのか!」っていう真相を知る瞬間がたまらなく好きです。それもミスリードが完璧で、作者の思ったように自分が転がされていたと気付いた瞬間は、他の何物にも代えがたい面白さがあると思ってます。

そういう意味では、本作はめちゃくちゃ惜しかったような気がしてなりません。個人的には珍しく「これは原作小説の方がいいのでは?」って思ってしまったくらいです。というわけで今回は、迫ってくる5時53分の恐怖を描いたコミカライズ作品「冷たい校舎の時は止まる(全4巻完結済み)」を紹介します。

 

 

冷たい校舎の時は止まる あらすじ

雪の降る登校日、いつも通りに教室に向かった8人の仲間達。だが、そこに待っていたのは誰もいない教室だった……。閉ざされた扉、割れない窓ガラス、止まったままの時計。理解を超えた事態に戸惑う彼らに、静かに悪意が迫る――。

 

冷たい校舎の時は止まるの見所をチェック!!

仲良しグループだけが閉鎖された空間に残される

冷たい校舎の時は止まる1

 

いつも通り学校に来たら、とある仲良しグループだけしか登校しておらず、ケータイも繋がらなければ学校から出ることも出来なくなったという中で、過去に学祭で起こった飛び降り自殺が再現されるという始まりです。

自分たちだけが閉鎖された空間に幽閉されてしまった戸惑いを感じつつ、過去の辛い記憶が蘇るという展開なんだけど、死んだ人物が誰なのかを思い出すことができなくて迷走するという流れ。

結果から言うと、その死んだ人物によって仲良しグループがこの空間に引きずり込まれたっていうことになっていて、その人物が誰なのか、何の目的でこの空間に引きずり込んだのかってことを探る、ちょっとホラーテイストのあるサスペンス作品です。

 

過去に学校で起こった自殺事件に関係

冷たい校舎の時は止まる2

 

仲良しグループは全員で8人なんだけど、このうちの誰かが自殺した人間なんじゃないかという予想から、この8人の中に自殺する理由がありそうな人物を探り始めます。

ただしそれも主人公たちの想像でしかないので、読み手側は「そのような展開も怪しい」という見方で読み進めることになり、次々と明かされていく事実を処理するのが結構大変です。

しかも「真相に辿り着いた人物は死んでしまう」という展開にもなっていて、仲良し8人組が少しずつ削られていく恐怖みたいなものに襲われるんですよね。念頭には「仲良しだと思ってたけど、実はこの中の1人が残りの7人をめっちゃ恨んでいて、復讐を企てているのでは?」みたいなのがあるので、信頼している相手にも猜疑心を向ける…みたいな展開も病みつきになります。

 

それぞれの人物にドラマが用意されている

冷たい校舎の時は止まる3

 

「この中の誰かが自殺した」という過去を振り返るテイストになっているので、そもそもなんで仲良くなったのかみたいなエピソードが多々登場するんですが、これに良いエピソードが多いです。

それを見ていると「この中の誰かがみんなを巻き沿いにしようとしている」という展開には疑問が残るし、底の見えなさというか「本心は別のところにあったのかな…」みたいな怖さも出てきます。

基本的に「自殺した人物かも」というフィルターをかけるために、少ししんどいエピソードばかりなんだけど、最終的には誰かに救われたっていう形になっているので、いじめとか仲間外れみたいな話が苦手だって人も楽しめるはず。

 

冷たい校舎の時は止まる 全4巻を読んだ感想・レビュー

徐々に真相が明かされていくミステリーの雰囲気は最高でした。あと伏線の回収についても、本来なら「そういうことか!」と感動できたと思います。

Kindleレビューを見れば分かるように絵のクオリティに対する言及が多く、「サスペンス系の作品なんだし、絵が少し下手だとしても問題ないのでは?」と思って読み始めたんですが、思ってたより酷かったです。

本作の主たる登場人物である8人の顔と名前が一致しないので、「佐藤が危ない!」みたいな展開になると、佐藤の安否よりも「佐藤って誰だっけ?」が先にちらつきます。で、僕が思っていた佐藤が鈴木だったりします。佐藤の髪形を変えれば鈴木になります…こんな感じです。

全4巻だから仕方ないんだろうけどキャラに対する掘り下げが乏しく、それぞれの仲の良さに応じて呼び名が変わるのも厄介極まりません。佐藤のことを下の名前で呼ぶやつもいるから余計に。そういうイライラがあったので、クライマックスについても本来の感動が得られませんでした。

新川直司氏は「4月は君の噓」とか「さよなら私のクラマー」がめちゃくちゃ面白いので、そっちがおすすめ。こちらは絵もめちゃくちゃ巧いです。

 

あとがき

コミカライズされた作品に対して「原作の方がいい」っていう人の気持ちが少しわかった。

 

 

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