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「東京トイボックス」を読んだ感想・レビュー

東京トイボックス表紙

 

僕は小さい頃から漫画とゲームが好きで、漫画に関しては絵が下手だったからアレだけど、割と大きくなるまでゲームを作りたいという憧れを持っていました。で、実際にプログラミングを勉強して悟ったんです。あぁ、僕はゲームをプレイするのが好きなんだと。

本作は弱小とは言え、ゲーム制作会社にスポットを当てた作品です。ゲーム業界で熱い気持ちを持って働いている人たちの姿を見よ!というわけで今回は、魂を揺さぶる熱血ゲーム業界群像劇「東京トイボックス(全2巻完結済み)」を紹介します。

 

 

東京トイボックス あらすじ

東京・秋葉原にある弱小ゲーム制作会社、スタジオG3。代表を務める天川太陽は、「面白いゲーム」を作ることに己の全てを掛ける。東京・大手町の大企業に勤める月山星乃。その仕事ぶりは誰もが認めるバリキャリウーマン。

ある日、最悪な出会いを果たした二人だったが、月山は会社からG3再建のために出向を命じられる羽目に――。「売れるゲーム」を求める月山と、ただひたすら「面白いゲーム」を作ろうとする太陽、そして大手ゲーム会社による画策……。

 

東京トイボックスの見所をチェック!!

ただ面白いゲームが作りたい社長が主人公

東京トイボックス1

 

本作の主人公は、ただ面白いゲームが作りたいだけの男です。一応、弱小とはいえゲーム制作会社の社長という肩書を持っていて、過去の経歴にも気になる点がいくつか。

ジャージ姿に無精ひげという社長らしからぬ風貌はさて置き、とにかくゲームに対しては熱い気持ちを持っています。社員からは社長として扱われていないし、勤務中にサボってゲームをやっているような男だけど、ゲームに対しては嘘をつかないという真摯な姿勢を感じる人物です。

はたから見れば「ゲームの納期を守らないいい加減な男」のように見えるかもしれません。でも彼からすれば、自分に納期を守らせるのは別の奴の仕事で、自分は「面白いゲームを作るのが仕事」なんだとか。実際にかかわってたら少し厄介だけど、漫画としてみている分にはワクワクする主人公と言えるでしょう。

 

ゲームに対するこだわりと情熱

東京トイボックス2

 

個人的にはゲーム制作者はこだわりを持って然るべきと思っていて、そのこだわりが多くの人に刺さればウケるんじゃないかと思っています。もちろん間違ったこだわりだと支持されないんだけど、何の信念もないスカスカのゲームよりはマシっていう考えです。

昔は良かったと言うつもりは微塵もありませんが、昔は本当にワクワクするゲームが多かったと思います。当時と比べて技術はめっちゃ伸びてるし、映像も音楽も綺麗になっているにもかかわらずです。その答えは本作中に描かれているような気がしました。

昔なんか「ふっかつのじゅもん」っつって、紙にパスワードをメモったもんです。字が汚くて自分で読めなくなるから親に頼んだりしてね。で、母親がパスワードを見間違ってて、なけなしの1時間がおじゃんになった上に母親と喧嘩するっていう…。それも含めて面白かったなぁ。

 

数々の困難を社員一丸となって乗り越える姿

東京トイボックス3

 

ゲーム制作には付き物の「デバッグ」なんかの一面も描かれています。ぶっちゃけ最近のゲームは「バグがあってもパッチ配ればいいや」みたいな部分も感じるし、スマホゲーに関しては「詫びコインはよ」っていう文化にすらなっている気が。

いずれにしてもゲーム業界の良い部分だけではなく、厳しい一面もしっかりと紹介されていて、僕らゲーマーが「発売日延期してんじゃねーよー、プライド持ってやれよー」とか言ってる間、この人たちが何をしているのかって部分も覗くことができます。

そういう予期せぬトラブルに対して、会社全体が一丸となって取り組む姿や、普段からサボってばかりの社長が社員たちに頭を下げる瞬間は、胸にグッとくるものがあるんですよね。ピンチに立ってこそ、その人の人柄が分かるってもんです。その辺も含めて、本作は素敵な物語だと思います。

 

東京トイボックス コミックス全2巻を読んだ感想・レビュー

まず登場人物たちが非常に魅力的で、読んでいて応援したくなるっていうのが良いですね。大手ゲーム会社による画策とかも許容できる範囲というか、あからさまな嫌がらせって感じじゃなくて「大人の事情」みたいなものが全面的に出ているようなやつなので、最初から最後まで自然に楽しめました。

そしてゲームを作るうえで、作る人の感情だけではどうにもならない部分も見えたし、理想ばかりじゃなくて妥協しなければならないポイントもあるということを実感しました。だからこそ、本作の主人公はカッコイイと思えるし、この漫画が好きになったんだと思います。

ゲーム好きな人が読むには最適な漫画ですし、全2巻で読みやすいのもおすすめしたい理由の1つです。続編として「大東京トイボックス」へと続きますが、本作が楽しめた方はそちらもどうぞ。

ちなみにKindle Unlimited登録者なら、全2巻が無料で読めるのでぜひ読んでみてください。

 

 

あとがき

でもオレら その不親切さに熱くなったんスよ。

 

 

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