タイトル的には危険なやつで、親としては「エロじゃないけど子供には見せたくない」と思ってしまうような雰囲気を感じてしまいますが実際はそんなんじゃありません。控えめに言っても超勉強になる学習漫画です。
科学や化学が嫌いでも楽しめるようなエピソードが満載だし、ここから入って学問の本質に目覚める読者も出てくるんじゃないかってくらいの作品と言っても過言ではありません。というわけで今回は、マネしたくなる学習漫画「決してマネしないでください。(全3巻完結済み)」を紹介します。
決してマネしないでください。 あらすじ
『日本人の知らない日本語』の蛇蔵による、週刊コミック誌「モーニング」連載の「大人が読める学習マンガ」!! 理系大学を舞台に、今日も最高の頭脳を使った、最高におバカな実験が繰り広げられる。例えば、「スタントマンが燃えても平気な理由を検証する」「切れた蛍光灯をともす」「フライドチキンで骨格標本を作る」「2月が28日しかない理由を調べる」などなど。
決してマネしないでください。の見所をチェック!!
日常の疑問を実践、解説する学習漫画
僕はあまり映画を見ないのでちょっと分からなかったんですが、映画で人が燃えている映像を撮る時のからくりみたいなものが解説されています(最近はもう全部CGじゃないの?)。
本来なら身をもって化学の授業で実体験できれば、これ以上ないってくらいの経験・知識になると思うんだけど、実際に授業でやるのは危険なので「決してマネしないでください」っていうやつです。今やアルコールランプも姿を消すくらいの時代なんで、これを実技でやるなんてとんでもない話ですね。
火を付けられている人間が「重力がある所では火は上に行くから熱くない」と真顔で語っている様子は非常にシュールです。これを受けて「じゃあ空気がない所では?」みたいな疑問が出てくる人に本作はマジでおすすめ。
難しい話はちょっと…という人にもおすすめ
前項で紹介したような火の仕組みについても「人が燃えても平気な理由」みたいな感じで紹介すると、多くの読者は興味を持つんじゃないかと思うんですが、それでも中には「化学の話はちょっと苦手」という人もいるのではないかと思います。
そういう人にも楽しみやすいエピソードが結構あって、例えば「今では常識になっているようなことの発端となっている話」とかは興味を持てるのではないでしょうか。手洗いなんかがその最たる例です。
今じゃトイレから出た後とか外出から帰ってきたらとか、何なら特に何もなくても食事の前には当たり前のようにしている手洗いも、必要な行為として認識されるまでには幾多の失敗があったという話が紹介されています。難しい話が一切出てこないので、勉強チックな話が苦手だと感じてしまう読者でも楽しめるエピソードが満載です。
マネしたくなる要素もてんこ盛り
タイトルが「決してマネしないでください。」ですから、マネしたくなる要素がなきゃだめでしょって思う人にはこちら。本作には実際にやってみたくなるような要素もたくさん登場します。例えば電源アダプタを栓抜き代わりにする的なやつは、瓶入り飲料を飲もうとして栓抜きがないことに気付いた人ならやりかねない気がしました。
個人的に気になったのは「電子レンジに蛍光灯を入れると電気が付く(明るくなる)」というやつ。決してマネしちゃいけないやつの最たる例って感じだけど、なんでそうなるかってことを理論的に説明されて納得したとしても「やってみてぇ」が勝っちゃうっていうね。
しかも作中ではこのエピソードから衛星放送やWi-Fiにまで話が発展していくので、読者が興味を持ちそうな話題から更に身近な話に発展させるという工夫がすごいです。こんな感じで学校の授業が進められていたとしたら、授業を嫌いになる人はいないんじゃないかってくらい秀逸。
決してマネしないでください。 全3巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
すごく勉強になるし、控えめに言ってもめちゃくちゃ面白い漫画です。まず興味のありそうな話から始めて読者の気持ちを掴んで、そこから専門的な話を分かりやすく説明していくっていうプロセスが上手いのでグイグイ引き込まれます。
エピソード終わりにはそのエピソードに登場した偉人の伝記的なものもあるんだけど、普通ならそれだけ見せられても「活字かい!」とか言いながら飛ばすこともあると思うんです。そういうのが一切ない。そういうマジなやつですら楽しめるので、本作は本当に勉強になる漫画と言えるでしょう。
これは受験生の部屋に置いても差し支えないくらいの漫画だと思うので、大人だけじゃなくて学生さんにも超おすすめの学習漫画です。
あとがき
マネするなって言われるとマネしたくなるけどね。