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「虐殺ハッピーエンド」を読んだ感想・レビュー

 

タイトル的には「虐殺」ってのと「ハッピーエンド」ってのがどうも結びつかなくて、初めてこの作品の名前を聞いた時は「言い間違い?聞き間違い?」って右往左往しました。

で、実際に読んでみると、これがなかなか面白い。悲劇の主人公って感じもありながら、ダークヒーロー感も兼ね備えていて、暗い物語が好きな人ならたちまち夢中になってしまうような世界化を持っていると言っても過言ではありません。

というわけで今回は、理不尽な負の螺旋の先に果たしてハッピーエンドが待っているのかどうかが気になって仕方ない「虐殺ハッピーエンド(全8巻完結済み)」を紹介します。

※物語序盤の軽いネタバレを含みます。

 

 

虐殺ハッピーエンド あらすじ

 

本作の主人公・草壁真琴には意識を失って目を覚まさず、生きるためには移植手術しかないと言われている妹がいる。普段からアルバイトに明け暮れ、妹の手術代を稼いでいる真琴は妹のドナーが現れた時に歓喜の声を上げた。しかし翌日その話は無かったものになっており、それどころか「日付が巻き戻されている」という事実に気付く。

そして一生懸命貯めたバイト代をカツアゲされそうになり、衝動的に人を殺してしまったものの「どうせ時間が巻き戻る」とタカをくくっていた真琴だったが、なぜかその時だけは時間が巻き戻ることはなかった。

これは妹の命を救うために1ヶ月先の手術日まで人を殺し続けることを決意した、1人の青年が繰り広げる凄惨な物語である。果たしてその先に待つのはハッピーエンドか。

 

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ある程度のやり直しが利くというシステムの秀逸さ

 

本作には「タイムリープ」という概念が取り入れられているので、少しヘマをしてしまったような部分はある程度のリカバリーが可能となっています。これが吉良吉影のバイツァ・ダスト(ジョジョ4部参照)みたいな完全な巻き戻しじゃなくて、1日単位の巻き戻しってのがすごく秀逸だと思いました。

もし殺人をした翌日に警察が近付いてきた場合は、自分に近付いてきた理由を潰せばOKなんだけど、もしそれが翌々日とかになっちゃうとやり直しが利かないっていう不自由さ。この万能じゃない感じがたまりません。

差し詰めノベルゲーなんかをプレイしている時に、こまめにセーブしながら「あれ?ここをやり直すにはどこまで巻き戻ればいいんだ?」ということが制約されているという感じですかね。こういう場合のオートセーブって腹が立って仕方なかったけど、今なら「オートセーブ万歳」って言える。

 

人を殺すのに躊躇してはいられないという初期設定

 

1ヶ月の間に人を殺し続けなきゃいけないとしても、タイムリープできるのであれば「万全の状態を作ってから、証拠とかを完全に残さないようにして殺人を続ければ、精神力が持てばの話だけどヌルゲーじゃね?」って思いませんか?たぶん色んな人の1日の行動とかを観察して、万全の計画を練っていったら警察にバレることなくイケると思うんです。

でもそうは問屋が卸さないというか、本作では主人公の真琴とその妹の詩織だけがタイムリープするという設定になっており、元々時間に猶予の無い人間のタイムリミットが削られるという枷が設けられています。

これ、なかなか秀逸です。だから行き当たりばったりで殺人を犯すことになるし、そのせいで綻びも出やすくなっているので「いつ警察にバレるか」みたいなドキドキ感も楽しめます。

 

「味方が最大の敵になるのでは?」という不安

 

真琴には非常に頼もしい味方ができるんだけど、これが諸刃の剣というか最大の味方にして厄介な敵になりそうな感がハンパ無いです。共闘って心強い反面、片方が割れてしまえば運命共同体的な部分もあるし、なによりこの両者が揉めるってのが1番怖いじゃないですか?そういう不穏分子を傍に置いておくっていうことの不安感ったらないです。

現段階(コミックス2巻時点)では、この味方も最終的には殺されるんじゃないかなーって思ってるけど、物語の展開的にも「殺されて然るべき人間しか殺さない」というルールみたいなのもあるので、今後どういう感じでこの関係性が壊れていくのか…すごく楽しみです(関係性が壊れるとは限らないけど)。

 

虐殺ハッピーエンド コミックス序盤を読んだ感想・レビュー

最初は「よくある感じのデスゲームかな?」って思って読んでました。で、それがタイムリープって概念が上手く取り入れられてたり、主人公の悲惨すぎる生い立ちなんかがあったりして、一気に引き込まれてしまったっていうね。

単純に「こんな物語が最終的にハッピーエンドになるわけない」って思って読んでるけど、タイトルにもわざわざハッピーエンドって書いてるのに、そんな簡単に予想できるような物語にするかなぁという疑問もあったりして。「まさかこれがハッピーエンドを迎えるの!?」っていう、ワクワク感というか期待感みたいなものがあるのも事実です。

大抵のデスゲームは理不尽な展開に巻き込まれてのアレだけど、本作は主人公自らが望んでいるようなフシもあって、その辺のデスゲーム作品とは逸脱している存在だと思います。暗い話、タイムリープものが好きな人におすすめ。

 

あとがき

あったか~いアイスクリームって感じ。

 

 

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