ジャンル的にはロジカルピュアストーリーだそうです。「なんだそれ?」って思うでしょ?読めばすぐにわかります。
タイトルを読んだ時点で僕が想像していたのは、ブラックマヨネーズさんや和牛さんが展開する漫才のような「あー言えばこー言う」的な彼女とのラブコメでした。でもそれが可愛すぎるほどの勘違いだったと気付かされるのに、5分も掛からないっていうね。
漫画からとにかく圧が伝わってきて、読んでいるこっちまで金剛寺さんに詰め寄られてる感じ。…だがそれがいい!というわけで今回は、正論を盾に地獄の鬼すら魅了した「金剛寺さんは面倒臭い(全7巻完結済み)」を紹介します。
コミックス1巻部分のみ軽いネタバレを含みます。
金剛寺さんは面倒臭いのあらすじ
例えば捨て猫にエサをあげようとした人がいたとしよう。ある人はそれを偽善と呼ぶだろうし、基本的にはそれで捨て猫が救われることはないということは誰しもが知っている事実である。
本作の基本的な流れは、このような日常のありとあらゆる出来事に対し、メガネ女子である金剛寺金剛が正論中の正論で指摘するというものである。
時折「絵が見にくい」「字が読みにくい」という瞬間も訪れるが、そんなのはどうでもいい。「たかだかこれしきのことで…」と思うようなことで完膚なきまでに論破されるがそれもいい。本作を読んだ後、きっと面倒臭い女子に惹かれる男子が続出することだろう(知らんけど)。
金剛寺さんは面倒臭いの登場人物
金剛寺 金剛
本作の主人公にして、面倒臭い女子の筆頭。見た目的にはコアなファンこそ付きそうなものの、一般ウケはしなさそうなメガネ&地味女子である。
柔道部に所属しており、IH個人2位の実力者。そして全国模試をやらせてみたら全国で64位と学業の方も優秀。通称は大江戸湾岸高のダイヤモンドメイデン(金剛石の処女)。
樺山 プリン
見た目は少し怖そうな鬼だが、中身はすごく優しい心を持った青年。金剛寺に一目惚れし、金剛寺の面倒臭いところが大好きだと言い切った。
初巻冒頭では子猫にエサをあげているところを「猫ちゃんの今後の生活すべての責任が負えるのか?」と金剛寺に注意されていたが、似たような感じで何十匹もの猫を拾ってきては飼っている。
金剛寺さんは面倒臭いの見所をチェック!!
主人公二人の今後の展開
普通は既に付き合っている二人を描くか、あるいは二人が付き合うまでの道のりをじっくり書いて第一部としたうえで、付き合ってからの展開を第二部としたりとかするもんなんだけど、そういう意味でも本作はイレギュラー。なんと第一巻の前半で二人はお付き合いをすることに。
だって、だって、ここまで面倒臭い女の子なんだから、付き合うってことに対しても警戒心がハンパ無さそうっていうか「付き合うことの定義は?」とかそんなん言ってきそうなのに、案外ストレートな言葉にはクラっときちゃうっていうね。これがまたいいじゃないですか。
見ててすごく微笑ましい気持ちになれるし、宿題とか残業とかあっても関係なしに続きが読みたくなるでしょう。宿題とか面倒臭い。
「んなアホな!」と言いたくなるような壮大なスケールの話
例えば付き合ってるカップルが手を繋ごうってなった時って、シンプルに「手、繋いでいい?」って聞くドキドキする感じとか、あるいは意図しないタイミングでギュッと握ったor握られたっていうドキドキする展開が多いじゃないですか?
本作のそれは、まるでこれから立ち会っている二人が斬り合いをするかのような緊張感と雄叫びの中で行われます。手をつなぐ前に「うぉぉぉぉ!!」とか絶対おかしいでしょ。
しかもそれを見ていた人々が次々と幸福の渦に巻き込まれていくっていうんですから、これはもう笑うしかない。「二人の声に驚いて羽ばたいたカモメは、これが初飛翔だった」とか、よくこんなん思い付いたなぁと。イチイチ表現の仕方も面白いし、終止ニヤニヤさせられっぱなしでした。
面倒臭いと思わせるあれこれ
恋愛って似た者同士がくっ付くことも多いけど、なんだかんだで「自分に無いものに惹かれる」ってパターンが多いような気がします(多いんじゃないかと勝手に思ってます)。本作で描かれている二人は真逆のタイプだからこそ、上手くいってるんじゃないかと。だって金剛寺さん本当に面倒くせーもん。
例えばケーキを半分に分ける際、原子レベルで等分しようとしたり…。「原子1個分少なくていい」って言った相手のセリフが「そのセリフは表面上のものであって、心の底では遠慮して言っているだけかもしれん」とか、完全にアホでしょ。
普通の人なら「じゃあもう好きにしてくれ!」と投げ出しそうな部分も、樺山君は最後まで付き合ってあーだこーだやるんだけど、色んな笑いを経て最後には感動できる話になってたりするから!これ、ビックリするから!
金剛寺さんは面倒臭い 序盤を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
すごく微笑ましい気持ちになるし、終始ニヤニヤさせられる作品だと思いました。あっち行ったりこっち行ったりと話が脱線することも珍しくなく、本当に忙しいラブコメであるにも関わらず読者が置いてけぼりにならないってのは本当にすごい。
時系列も素直に描くんじゃなくて、面白い演出を交えながら「現在→過去」というカタチで展開したり、漫画的な表現はもちろん言葉のチョイスみたいなものにも驚かされる場面が多々あります。
ぶっちゃけメチャクチャ面白いです。ラブコメが好きな人は問題なく楽しめるだろうし、ラブコメがそこまで好きじゃないって人の多くも本作なら受け入れられるんじゃないかと。ちなみにラブコメってよく「なんだかんだ言って羨ましい」って感情が少なからずあるんだけど本作にそれはない。
あとがき
恋愛なんて面倒臭いもんだよね。それがいいんだよね。