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「君が僕らを悪魔と呼んだ頃」を読んだ感想・レビュー

君が僕らを悪魔と呼んだ頃表紙
Ⓒ君が僕らを悪魔と呼んだ頃

ちょっと「タイトルにインパクトがある作品」を探していて辿り着きました。で、読んでみたところ…結構なダーク感というか悪夢のような感じがクセになる作品で、たちまち夢中になってしまったわけですけど。

序盤に大風呂敷を敷くような勢いが果たして、今度どのように展開していくのか。すごく気になっているところです。というわけで今回は、タイトルのインパクトとダーク感が溢れている「君が僕らを悪魔と呼んだ頃(全14巻完結済み)」を紹介します。

君が僕らを悪魔と呼んだ頃のあらすじ

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Ⓒ君が僕らを悪魔と呼んだ頃

本作の主人公・斎藤悠介には高校に入るまでの15年分の記憶がゴッソリ無い。自分が何者であるかを知らないまま、可愛い彼女を作ったり、アルバイトに取り組んだりなど、それなりに充実した高校生活を送っていた。

そしてアルバイト先の同僚でもある久保秋の背中にある火傷を見て、その理由を尋ねたところ「中学時代に悠介にいじめられていた時に付けられたものである」という。

そんなことは全く記憶にない悠介であったが、そこから過去に行っていたという悪行に関係してきた人物が次々と出てきた。悠介がかつて悪魔と呼ばれていたころ、何があったのか。そして記憶を失ったことの真相は…。

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リアリティの狭間にあるエピソード

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Ⓒ君が僕らを悪魔と呼んだ頃

今だとSNSなんかも発達してるし、一昔前に比べたらいじめ問題なんかにアンテナも張り巡らされているからアレだけど、未だにいじめって無くなってないじゃないですか?

で、一方で昔は殴り合いの喧嘩とかも普通にしながらも「どこまでがケンカで片付けられる範疇か」ってのを理解してた人も多かったと思うんです。不良漫画とか見てたらわかるけど「タイマンで決着をつけよう」みたいなのとか。

それが最近のいじめってなると、度を越しているような気がします。昔も無かったわけじゃないにしても、最近ニュースで見るような「いじめの末に自殺しちゃった子のエピソード」とか聞くと、本当に胸くそ悪くなるようなやつばっかだし…。

本作に登場するエピソードはそれに色を付けたような感じになっていて、実際には考えにくいような悪行の数々なんだけど「これくらいのことをやった奴もいるんじゃないか?」って思うくらいの残酷さ。いじめと拷問の狭間と言うか…変に冷めることもなく、程度で言えば「ゴシップ誌で昔の武勇伝を語っているアウトローのエピソード」みたいな感じで楽しめます。

過去の悪行の末に何があったのか

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Ⓒ君が僕らを悪魔と呼んだ頃

本作の大筋の流れの一つとして、かつて悪行三昧だった主人公が「もしかしたら過去に人を殺しているかもしれない」という記憶を追っていくというものがあります。相手をいじめるには弱みが必要で、写真なりビデオなりで相手の弱みを握っていたんだけど、主人公が失踪したのと同時にそれらの弱みも紛失して、肝心の主人公が記憶を無くしてるって状態らしいです。

やりたい放題やってた不良の極みみたいな奴が、相手を思い通りにするために握っていた弱みを「世間にバレる前に見つけなきゃ!」って焦っている感じに小物感を感じるのは否めないものの、主人公が記憶を無くす前に何があったのかってのは純粋に気になります。

最後まで行って「なんだそれ?」ってなっちゃう可能性はあるけど、物語の序盤段階ではめちゃくちゃ夢中にさせられる要素と言っていいでしょう。

君が僕らを悪魔と呼んだ頃を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

ちょっと暗い物語が好きだという人はハマるんじゃないかと思います。主人公の過去の悪行ってのがやたら出てくるけど、それを絵として描かれていたら胸糞悪いって感じる読者も少なくなかったかもしれません。

ただ、現在の主人公が過去の悪行を感じさせないくらいの好青年で、それらの悪行が俯瞰的に説明されるということもあって、良い感じにマイルドになってるように感じました。

例えるなら大学の飲み会で先輩が「俺も昔はワルやっててさー」みたいな感じ?それが本当かどうかはどうでも良くて、実際にやってたら軽蔑すべき部分なんだろうけどどうでもいいと思えるバランスのように感じました。

上の方にも書きましたが、記憶喪失うんぬんの展開によって「は?それで収拾付けようとしてんの?」っていうガッカリ感に繋がって、物語全体の評価がガタ落ちしてしまうんじゃないかって危険はあるんじゃないかと思います。でも、暗い話が好きな読者なら夢中になれるような魅力に溢れているサスペンス漫画です。

コミックス全14巻を読んだ感想・レビュー

最後まで気になる展開が続きましたが、最後の最後で「これで終わりかーい!」っていう感想が残ってしまいました。詳しく書くとネタバレになりそうだからボカして書くと、僕にとって本作の中で最も謎だった部分が完全に放り出されたままエンディングを迎えてしまい、最後の最後まで謎が解けないまま終わってしまったんですよね。

あと本作は前半と後半に分かれていて、そこで一気にテイストが変わります。だから前半のダークな雰囲気が好きで追いかけていた読者からすると、一体何が起こったのかが分からないくらいの方向転換があるので戸惑ってしまうはず。

なんだかんだでサスペンス要素は見応えがあって「これって結局どうなるの?」っていう気になる展開は続くので、面白かったんだろうとは思います。ただ、前半は主人公の人となりや過去が気になったのに対し、後半は事件を追う普通のサスペンスみたいになってしまうのが残念でした。

あとがき

タイトルとコミックス1巻の表紙のアンバランスさも、本作に惹かれた要因の一つだと思う。