表紙的には「ちょっと怖い感じがするヤンキー漫画」のようにも思ったんだけど、内容的にはアンダーグラウンドな世界を描いた作品で、裏社会とかが好きな人なら気に入りそうだという印象を受けました。
例えば、昔に残酷すぎるような事件を起こした犯人っていうのは、どこから漏れてるのか知らないけど「現在の少年Aの正体」みたいな感じで、週刊誌なんかにすっぱ抜かれたりしてるじゃないですか?そういう噂話が好きそうな感じの漫画です。
というわけで今回は、様々な犯罪に関わった人間のその後に注目したフィクション作品「鬼畜の街(全1巻完結済み?)」を紹介します。
※何年か続編が出ていないため、完結済みかどうかが不明。もしかしたら続くかも。
鬼畜の街 あらすじ
凶悪犯罪が起こった場合、多くの場合で糾弾されるべきは犯人であることは間違いないのだが、世の中ではその矛先がしばしば犯人の家族に向けられることがある。
犯人の生い立ちなどを面白がって調べるマスコミたちは、犯人の親から「そんなことをするような子じゃない」という言質でも取ろうものなら、面白がって視聴者を煽り、その矛先が犯人の家族に向くケースも少なくないだろう。
そんな時、犯人の家族たちは加害者なのか、それとも被害者なのか。
鬼畜の街の見所をチェック!!
加害者の家族を味方する営利団体の男たちが主人公
息子が殺人犯となった家庭の中には、犯人の家の壁に落書きをされたり、ずっとマスコミに監視されたりしたことが原因で、精神的な苦痛から命を絶った家族が出てくるケースも少なくありません。
実際に自分が被害者となった事件だとすれば「家族も同罪」って思うほどの憎しみに駆られるような気持ちはあるかもしれないけど、第三者が「家族もこの町から消えろ」とか言っているのを見ると、もはや違和感しかないよね。
で、逆に自分の家族が殺人犯になった場合、自分が似たような状況に追いやられて「家族の犯罪=自分の犯罪」って受け止めることができるんだろうか。というか、受け止めるべきなんだろうか。
もし息子が人を殺したとして「俺じゃねーし、関係ねーし」って言っちゃう親はどうかと思うし、全部が全部そうじゃないにしても、家族は関係ないことの方が多いんじゃないかと思います。そんな被害者とも呼べるべき家族を、営利目的で助ける男たちの活躍を描いた漫画です。
様々な切り口から描かれる加害者家族の姿
本来であれば息子が犯罪を犯したのであれば、出所した際に親から「バカヤロー」くらいの感じがあっても良さそうだけど、そういうコミュニケーションが取れている家庭ばかりじゃないよね。
親自身が暴力を振るわれてて「あいつは何かしでかすと思っていた」というパターンもあるだろうし、そういう場合は犯人の息子が刑務所から出てきたとしても「もう関わりたくない」って思う人もいるでしょう。
本作の主人公たちは、このような家族たちの代わりに元犯罪者を監視する業務を引き受けたりもしています。一口に「犯人の家族」と言っても、味方によっては被害者のようにも思える境遇もあれば、どうしようもないと感じてしまう境遇も。
営利目的で首を突っ込むと危険な目にも
本作の主人公たちは通常の弁護士などでは引き受けないような依頼を受けることで、それを飯の種にしています。通常の弁護士が引き受けないような仕事とは倫理的に協力したくないようなケースであったり、あるいは「自分の身に危険が及ぶ可能性が高く、いくら金を積まれても割に合わない」という場合が考えられます。
本作にも「殺人者の家族がヤクザ」という展開があるので、いくらお金を積まれても割に合わないと思えるような危険な橋を渡るシーンがあります。そこにはお金以外の目的もあると考えるのが妥当。主人公たちが「どうしてこのような仕事をしているのか」など、その辺のドラマについても大きな見所です。
鬼畜の街 コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
凶悪犯罪にテーマを当てた作品ってなると、多くは「警察に捕まえるより先に犯人に報復する」なんかの復讐劇が人気ジャンルのように思います。でも、犯人の家族にスポットが当てられている作品って意味ではすごく斬新です。「犯人の家族は犯人と同罪なのか、それとも被害者なのか」みたいな賛否両論も出そうだし。
ワイドショーなんかでもそうだけど、ネット上では「犯人の家族構成は?」みたいなゲスいアクセスアップが有効だったりもするから、世の中の人はそういう話題が好きな人が多いと思いんだと思います。
僕は凶悪犯の家族であってもそれが原因で除け者にされる理由はないと思ってますが、世の中にはそういう考えじゃない人が多いのも知っているので、色んなシチュエーションを通じて考えられるのも面白いと思いました。
あとがき
犯罪者の家族に対して下向いて生きろとは思わないけど、開き直られると遺族じゃなくても腹が立つ。
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