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「蒼天の拳」を読んだ感想・レビュー

蒼天の拳表紙

北斗の拳は非常に有名ですが、その続編が存在するのはご存じでしょうか?時系列的には北斗の拳の主人公・ケンシロウよりも二代前の伝承者の物語になるんで、正確に言えば続編というよりも過去の舞台ってことになるんだろうけど…。

そしてケンシロウの名前は、本作の主人公にちなんで名付けられたということになっています。本作も最初から最後まで愛と友情、そして復讐の運命にまみれた漢たちの壮絶な人生が楽しめることでしょう。

というわけで今回は、北斗の拳の過去の物語「蒼天の拳(全22巻完結済み)」を紹介します。

著:原 哲夫, 監修:武論尊

蒼天の拳 あらすじ

蒼天の拳1
Ⓒ蒼天の拳

「北斗の拳」は主に北斗神拳の伝承者争い、いわゆる兄弟喧嘩みたいなものについて描いた作品でしたが、本作はそれよりも過去の物語になっていて主な舞台は日本ではなく上海となっています。

北斗の拳の主人公は第六十四代北斗神拳伝承者・ケンシロウです。そのケンシロウの師匠にあたる人物がリュウケンで、そのリュウケンの兄弟子にあたる霞拳志郎という人物が本作の主人公( 第六十二代北斗神拳伝承者 )ということになります。

ケンシロウは良くも悪くもバカ真面目というキャラ付けでしたが、 拳志郎は少しおちゃらけた部分も感じられるので、非常に取っつき易いキャラクターと言えるでしょう。そんな拳志郎が巻き込まれていく北斗神拳の宿命、ぜひお楽しみください。

蒼天の拳の見所をチェック!!

犬のように鼻が利く主人公

蒼天の拳2
Ⓒ蒼天の拳

北斗の拳の世界観と言えば、弱肉強食という感じのシリアスな世界観を想像するのではないかと思います。確かに本作にも搾取する側が好き勝手やるシーンはたくさん出てくるんだけど、全体的に醸し出されている雰囲気は非常にマイルドです。

その理由の1つが「主人公の鼻が利く」という特徴です。時代背景的にも食事に毒を盛るということが珍しくないようで、主人公の霞拳志郎はにおいで毒を察知することができるっていうね。ちょっとくだらないギャグ要素にも見えるんだけど、これがなかなかの発明なんですよね。

例えば自分にとって大切な人が襲われたとき、遺留品のひとつでもあればそのにおいから犯人を突き止めたりすることができます。別に出会う理由なんか「運命」で済ませればいいと思うんだけど、悪人をにおいで区別したりして敵キャラと会っていく展開は、運命を切り開いている感みたいなものを感じると言っても過言ではありません。

迫力満点のバトル

蒼天の拳3
Ⓒ蒼天の拳

やっぱり何と言っても「バトルシーンの迫力」が本作最大の見所と言っていいでしょう。本作の主人公が使うのは北斗神拳だけど、それ以外にも北斗劉家拳、北斗曹家拳、北斗孫家拳とかが登場して、それぞれの関係性とかルーツみたいなものも面白い要素です。

格闘技とかスポーツとか多くのことは過去よりも今の方が進化していることがほとんどで、多くのことは「今の方が技術的に優れている」ことがほとんど。それを考えたら「北斗の拳の方がバトルの展開的に楽しめるのでは?」って思う人がいるかもしれないけど、そういう心配はまったく必要ありません。

あちこちに技名が出てくるヒーロー漫画みたいな展開は薄れてるものの、北斗の拳と比較すると「ヒャッハーな雑魚キャラをそこまで相手にしない=強敵とのバトルに特化している」とも言えるし、絵の綺麗さという面でもパワーアップしているので見応えばっちりです。

魅力的なキャラクターの数々

蒼天の拳4
Ⓒ蒼天の拳

本作の流れとしては「主人公の前に敵が立ちはだかる→死闘→友情が芽生える」みたいな感じが多く、登場したての敵は嫌な奴であるケースも珍しくありません。そんなキャラと死闘の末に友情が芽生えるという展開は、ありきたりなんだけど嫌いになれないんですよね。

で、それが本作の場合は「次の戦いに繋がるステップ」だったりもするわけです。端的に言えば「かつて敵だった人物と友人になる→その友人が新たな敵にやられてしまう」みたいな感じかな。

悪く言えば咬ませ犬に成り下がったとも言えるんだけど、かつて主人公と敵対していたキャラが今度は命を賭けて主人公を守ろうとするっていう展開は、いつ見ても心を揺さぶられること間違いないです。

蒼天の拳 全22巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)

個人的には北斗の拳が好きだったので本作もめちゃくちゃ楽しめました。むしろ同じケンシロウでもこっちの方が好きまであるという感じ。冗談が通じそうな親しみやすさもあるし、何より「リュウケンが兄弟子の拳志郎から名前をもらって、自分の後継者にケンシロウと名付けた」みたいな設定も素敵だと思います。

そして北斗神拳のルーツみたいな部分も語られているので、一子相伝のすげー暗殺拳ってくらいの認識から「一子相伝の超すげー暗殺拳」っていう認識に変わりました。他にも北斗〇〇拳っていうのがいっぱい出てきてワケ分からなくなるけど、色んな運命の螺旋のうえに成り立っているからこそ北斗神拳が最強なんだって認識できます。

ぶっちゃけ北斗の拳を読んでいると続編というか亜種という感は捨てきれないし、もっと言えば「ユリアと玉玲のヒロイン設定なんてほぼ一緒やんけ!」みたいに言いたくなる瞬間もないとは言い切れません。それでも北斗の拳が好きな読者とか「北斗の拳の世界観をもっと堪能したい!」みたいな人には文句なしにおすすめです。

あとがき

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著:原 哲夫, 監修:武論尊