こんなこと言ったらアレだけど、プロ野球選手には高卒ドラフト1位で活躍しなかった選手も多いじゃないですか?でも中学生でプロ棋士になって活躍しなかった棋士はいません。
その誰もが目まぐるしい活躍をおさめ、ぶっちゃけ将棋に興味がないって人でも名前を知っている人ばかりではないでしょうか。そんな「中学生でプロ棋士になった少年(青年)」が主人公の漫画がこちらです。
というわけで今回は、シリアスな展開の中にある感動が眩しすぎる将棋×ヒューマンドラマ「3月のライオン(連載中)」を紹介します。
3月のライオンのあらすじ
その少年は、幼い頃すべてを失った。夢も家族も居場所も──。この物語は、そんな少年がすべてを取り戻すストーリー。その少年の職業は──やさしさ溢れるラブストーリー。
3月のライオンの見所をチェック!!
中学生でプロ棋士になった十代の青年が主人公
本作の主人公は歴代5人目の中学生プロ棋士になった青年…という設定です。本作はコミックスの1巻が2008年に発売されているんだけど、それまでの現実世界では将棋界を代表する4人の天才が中学生の頃にプロ入りを果たしており、2016年に藤井聡太さんが5人目の中学生プロ棋士となりました。
ぶっちゃけ中学生の時点でプロ棋士になった人にはハズレがいないというか、例外なくめちゃくちゃ活躍しているので、本作の主人公も類まれなる天才であることは間違いありません。
この天才をもってしても一筋縄ではいかない天才集団の集まりがプロ棋士会です。主人公はどこまで上り詰めるのか、そしてそこで待っているものは何なのか…ぜひ見届けましょう。
普段の生活における人間ドラマに注目!
主人公がプロ棋士っていうこともあって、基本的には「将棋」が大きなテーマになっている本作ですが、対局以外の部分にスポットが当たることも少なくありません。特に日常パートにおいては、家族同然の付き合いになっている家庭で多くのヒューマンドラマが堪能できるはず。
というのも本作の主人公のバックボーンとして、決して順風満帆だったとは言えない過去があります。中学生でプロ棋士になったと言っても、そんな華やかさとはかけ離れた過去があるんです。
だからこそ居心地良く感じてしまう場所に対して遠慮がちになってしまったり、素直に他人に甘えられない性格があったりして、十代にして円熟しているというか達観しているというか…。まぁ簡単に言えば若い青年なのに可愛げがないっていう感じ。
こんな主人公が色んな人との出会いや出来事をきっかけにしてどのような大人になっていくのか、どのように成長していくかは大きな見所と言って間違いありません。
繊細な心理描写と語彙力
作者の羽海野チカ氏は前作の「ハチミツとクローバー」の時もそうだったけど心理描写が巧みすぎる!表現力と語彙力が文句なしにレベルが高く、所々で「なんでこんな表現できんの?」って思わされます。
名言とかで取り上げられるようなセリフはもちろんとして、注目すべきはナレーション的なセリフやキャラクターが口には出さずに脳内で思っていることを文字として吐き出している部分です。これがまぁ読み手の感情を揺さぶってくるんですよね。
感じ方にも広がりがあって「読者によって感じ方が変わる」っていうのも面白いし、ファンからすれば考察しがいのある作風と言っていいかも。これで夢中にさせられない人なんているの?いねえよなぁ!
3月のライオン 序盤を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
僕は将棋自体も好きなので当然ながらめちゃくちゃ楽しめてるんですが、これは将棋を知らないっていう人もめちゃくちゃ楽しめるんじゃないかと思います。囲碁の救世主がヒカルの碁なら、本作は将棋の救世主と言っても過言ではありません。
将棋の世界がどういうものかっていうのを知るのに、良い意味で低すぎるハードルがマジですごい。将棋って好きな人でもなければ見ているのも退屈な展開が多かったりするんだけど、本作の将棋は初心者でもルールを知らないくらいの人でも楽しめるはずです。
人間ドラマ的な部分にも大きな見応えがあって、決して明るい話じゃないだけに家族との絆みたいなものが眩しすぎるので注意してもらいたいほど。闇が深いときの方がふと差す光が眩しく感じるように、あっちこっちに感情を動かされるのでマジで注意しながら読みましょう。
あとがき
序盤時点で名作を約束された作品じゃないかと思いました。