土山しげる氏のグルメ漫画はかなりの作品を読んできましたが、エピソードトークをベースに進められるタイプのものよりも物語形式の方が断然好きです。そういう意味では本作にはしっかりとしたエピソードがあります。
それも暴走族をやっていたラーメン屋の息子が、ラーメン作りに目覚めるという熱い展開です。というわけで今回は、ラーメン作りのド素人が成り上がっていくラーメンバトル漫画「喧嘩ラーメン(全17巻完結済み)」を紹介します。
喧嘩ラーメンのあらすじ
元暴走族の総長・源田義経(げんだ・よしつね)が、さまざまなライバルとのラーメン勝負を繰り広げながら、ラーメン職人として成長していく熱血グルメコミック!素手で麺上げをする名人芸を持つ「がんてつラーメン」の主人・源田巌鉄(げんだ・がんてつ)。その息子・義経は暴走族「沙羅満陀」の総長であり、喧嘩三昧の日々であった。ある日、レディースのレミに騙されて、店を売る契約をさせられそうになった義経は……!?
ちなみにKindle Unlimited登録者なら無料で読めるのでぜひ読んでみてください(本記事執筆時点で全巻対象です)。
喧嘩ラーメンの見所をチェック!!
暴走族あがりのラーメン屋の息子が主人公
本作の主人公は暴走族あがりで、ラーメン屋の一人息子ではあるものの厨房には一度も立ったことがないというド素人です。そんなド素人が父親から店を継いでラーメン屋をやっていくという流れになっています。
で、一番最初に話の成り行きでヤクザの事務所でインスタントラーメンを作れって言われるんだけど、まずここで驚かされました。ってか「そんなことある!?」っていう感じの声が出た。
例えばこういう展開だと「今はド素人だけどポテンシャルがある」みたいな感じの匂わせが多くて、あり合わせの野菜なんかを上手く使って試食者を唸らせるポイントがあるもんなんだけど、そういうのが一切ないっていうね。
ただ、インスタント麺はそのまま作るのが美味しいっていうのは激しく同意です。たまにYouTubeとか見てると「チキンラーメンを美味しくする方法」とかあるけど、チキンラーメンはお湯をかけるだけ(そこに生卵を加えるだけ)であのクオリティっていうのがいいんじゃないの?
…冗談はさておき、本作は非常に分かりやすいラーメンバトルが楽しめます。とにかく熱くなれる展開が多いのが見所です。
ゼロからのスタートで少しずつラーメン職人になっていく
最初は先代が残してくれたチャーシューとかメンマとかを使いながら上手くやってくんだけど、スープを自分で作るようになってからはもう一気に追い込まれてしまいます。
やっぱスープって仕込みに何時間もかかるし、素人が思い付きでやるには相当ハードルが高い行為と言わざるを得ません。ソムリエレベルまで行けば元々のスープを飲めば素材が分析できるのかもしれないけど、そうでもなければ一朝一夕で美味しいスープを作るのは不可能と言っていいでしょう。
プライドが邪魔をして教えを乞うこともできず、主人公は試行錯誤を繰り返していくこととなります。とにかく色んなパターンを試し、味をワンランク上げるための努力は惜しまないようになっていくんだけど、このプロセスが大きな見所です。
素質と負けん気だけは一級品
喧嘩ラーメンというタイトルにもあるように、本作は定期的にラーメンバトルが発生するという感じのグルメ漫画です。ある時は町のナンバーワンを賭けたラーメンバトルに参加したり、ある時はまずいラーメン屋を立て直すために手助けしたり…。
ちょっと嫌な奴が出てきてちょっかいを出され、それをラーメンの味で白黒つけるっていう流れがデフォなんだけど、その度に主人公が持ち前の素質と負けん気で乗り越えていくっていう感じです。
暴走族上がりで手が早い部分はありながらも、人情味があって嫌いになれない感じの主人公なんですよね。そして先代の店を飛び出してからのラーメン修行は、大きな見所に溢れていると言っていいでしょう。
喧嘩ラーメン 全17巻を読んだ感想・レビュー(ネタバレなし)
昔ながらのグルメ漫画という感じで、本来なら料理バトルになるところがラーメンバトルになっているという点を除けば、従来のグルメバトル漫画そのものという感じです。
主人公がラーメン屋の息子ということで素質があるっていうのは「ラーメン作りの才能って血で決まるの!?」っていう驚きもあったので、ぶっちゃけもうちょっと「過去に店を手伝ってた」みたいな要素があっても良かったんじゃないかなぁとは思いました。
それでも典型的な熱血漢で、ケンカ腰で美味しいラーメンを作っていく姿はカッコ良く見えますし、元暴走族とは言っても人情味にあふれているので素直に応援できます。ラーメン作りのノウハウに関する雑知識なんかも豊富に登場するので、ラーメンが好きな人やグルメバトルが好きな人にはおすすめです。
キンドル読み放題サービスに加入していれば全17巻が無料で読めるのでぜひどうぞ。
あとがき
最近はあからさまな頑固おやじがやってるラーメン屋ってあんまり見なくなったなぁ。