タイトルにすごくインパクトがあって、単純に「食物連鎖で人間の上に新たな生物が誕生した的な話でしょ?」って思ってたんだけど、意外とそんな簡単な話でもなさそう。
ちなみにコミックス1巻のkindleレビューが低評価で驚きました。よくありがちなパニックホラーともまた違う不思議な魅力を持っていて、僕としては「1巻だけで見限った読者は勿体ないなぁ」と思うほど夢中になってます。パニックホラーとかサスペンス系の漫画が好きな人には是非ともおすすめしたいです。
というわけで今回は、人間が食料とされている世界の物語を描いた「食糧人類(全7巻完結済み)」を紹介します。
※物語序盤の軽いネタバレを含みます。
食糧人類 あらすじ
主人公の伊江はバスに乗っているところを薬か何かによって眠らされ、起きた時には不思議な工場のような施設の中にいた。そこでは人間が飼育されており、明らかに人間よりも立場が上の生物がいることを知る。
そこに運ばれてきた人間のほとんどは既に洗脳されていたが、伊江は自分と同じように囚われた人間の中から2名の健常者を見つけた。この3人は手を組み、この施設からの脱出を試みる。
食糧人類の登場人物
伊江
本作の主人公で画家志望。物事や風景を瞬時に記憶する能力を持っており、脱出経路を覚えていることを切り札として、ナツメや山引の仲間になった。
終止オドオドしていて戦闘能力もないが、仲間想いの一面がある。
ナツネ
戦闘能力が高く、暴力的。会話を通してのコミュニケーション能力に乏しく、普通の人間とは少し異なる印象を抱かせる。
伊江とは違い、確固たる目的を持って人間の飼育室にやってきた。
山引
冷静沈着で頭脳明晰な印象を抱かせるが、どこか抜けた所もあり、一言で表すなら変人。
食糧人類の見所をチェック!!
謎の施設と生物
川端康成もびっくりの「目を覚ましたらそこは人間の飼育場だった」という展開から、謎の生物に捕食されるスレスレの展開を迎えることになるわけだけど、第一に「ここはどこ?」って疑問が起こるし、第二に「人間を捕食する生物って何?」っていう疑問も起きるはず。
これがまぁパニックホラーと言いつつも、決して蔑ろにされていないんですよ。この手の漫画って、ゾンビみたいなのが出てきてワーキャーやるのはいいとして「なんでゾンビが発生したのか」とか、そういう部分をおざなりにしてるケースって多くないですか?
その設定を自然なものとして捉えるか、それとも無理があるとして捉えるかは個人差があるだろうけど、僕としてはちゃんと練られていたと思ったし、色んな伏線の回収を楽しみながら読めてます。
ナツネの過去と秘密
ちょっと狂気を感じるというか、少なくとも「人間っぽくない」という印象があったナツネは、化け物に刺されようが食われようが死なないっていうね。そしてその事実と、彼がこの施設にあえて足を運んだ理由ってのがリンクしてます。
この設定が個人的には結構好きで、ありがちなパニックホラーだと「同じ境遇の3人が協力して脱出を試みる」って展開になりそうなところを、ナツネみたいな存在がいることによってありきたりな内容にはなっていないんじゃないかと思いました。
テラフォーマーズ的な展開
ぶっちゃけこの作品にバトル要素を求める人ってそんなにいないとは思うんだけど、一応この人間飼育工場みたいなとこは非人道的な研究をしているようで、何かしらの動物の能力を持った人間っつーのが作られてるとかいないとか。
例えばタコみたいに景色に溶け込む能力を持つ人間がいたとしたら、逃亡者を追跡したり、ターゲットを尾行したりするのには打ってつけの能力と言えるでしょう。まぁ僕は、正直言って「お前ら、テラフォーマーかよ」って思ったけど。
食糧人類 コミックス5巻まで読んだ感想・レビュー
コミックス1巻のkindleレビューがまぁ酷くて、パッと見た感じだと☆1つがとにかく多かった気がしたんで、あんま期待せずに読んでみました。で、確かに1巻だけだと既視感がすごくて、いわゆる「ありがちなパニックホラー」って気がしなくもなかったんですよね。
それがですよ。
途中からすっげー面白くなる。「なんでこんな工場みたいなものが作られたのか」「未知の生物たちの正体は何なのか」「何の目的で主人公たちは工場のようなところに連れてこられたのか」などなど、単純なパニックホラーだと練り込まれてないことも多いじゃないですか?本作では、これらが結構しっかりと設定されているように感じました。
あんまり恐怖感はないけど、真相に迫るサスペンス要素が色濃く再現されていて、僕の中では「サスペンス要素の強いパニックホラー」という感じ。政府の陰謀とかキメラの生成とか、そんな感じの都市伝説が好きな人なら間違いなく楽しめるはず。
あとがき
日本が地下組織みたいなとこで、人間を食料にしている何かを保有していたとしても、僕は驚かないと思う。…驚かないんじゃないかな、うん。
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