個人的にはあまり相手を言い負かすのって好きじゃないし、すぐ暴力を振るうのもアレだけど、それに近いくらい言葉の暴力ってのも厄介だと思ってる。でも、明らかにおかしい者が正論で叩き伏せられている人の姿を見るのは、一種の爽快感のようなものを感じることも少なくありません。
つまり何が言いたいかっていうと「間違っていることを間違っていると言える毅然とした態度」が、見ていて面白いってこと。というわけで今回は、読んでいると何処からか「はい!論破ッ!」と聞こえてきそうな漫画作品「クロエの流儀(全3巻完結済み)」を紹介します。
クロエの流儀 あらすじ
本作は、フランス人の女子高生・クロエが、世の中の間違っていること&おかしなことに対して、正論で叩き伏せる様子を描いた日常系漫画である。世の中には本当におかしなことが多い。
「最近の若い奴は…」と言いながら、電車の中で大声で通話する大人がいる。子供を好き勝手騒がせておいて注意せず、それを注意した大人を睨む親がいる。
それらのおかしいことを、おかしいと言えない世の中になっていないだろうか。それをフランス人の女子高生・クロエが、武士口調で叩き斬っていく。
クロエの流儀の見所をチェック!!
最終的にスカッとする爽快さ
例えば、電車で周りの迷惑を顧みず、携帯電話で通話してる人って結構いるんじゃないかな?(僕は電車に乗らないから全く分からないけど)元々ペースメーカーだっけ?あれを身体に埋め込んでいる人がいるからどうのこうのって話で、電車内での通話はやめましょうって事になったって記憶してます。
まぁペースメーカーが携帯電話の通話ごときで誤作動するかどうかはさて置き、やめましょうってルールができたんならやめるべきだと思うんです。でも世の中には色んな人がいるんで、それを完全に無視するやつってのが当然出てきます。それを注意できるのってカッコイイと思いませんか?
僕は絶対に見て見ぬフリしかできないから、こういうことができる人を素直に尊敬してます。そういう意味でも面白いです。
物は言いようだなぁと思う瞬間
口の上手い人ってたくさんいるけど、それをちゃんとフル活用できてる人って少ないんじゃないかと思う。個人的に本当の意味で口が上手い人っていうのは、単に相手を説き伏せたり口論に強いだけじゃなくて「ケースバイケースによって言葉を選べる人間」だと思うんです。
子供をしつける時なんかに、悪いことをしたら叱ることが大切じゃないですか?で、そこも単純に叱るだけじゃ芸がないっていうか、口の上手い人なら本当に上手くやると思うんですよね。
例えば子供が遊んでばっかりで勉強をしないって時も、勉強しないことに対して怒るんじゃなくて「子供を逆に褒めることで、そのやる気を少しでも勉強に向けさせる」的な。子供だって怒られたらふてくされて、むしろ勉強しなくなるでしょ。
そこを「ちゃんと勉強さえしていれば、テスト前になっても普通に遊べるだけの余裕ができるよ」みたいな言い方をすることで、子供が自主的に勉強したくなる的な感じ。僕の例えが下手過ぎてアレだけど、本作のクロエの言い分にはメチャクチャ説得力があります。
セオリー通りじゃない切り口
例えば「部活をやめようとしている部員と、それをやめないように説得している部員」がいたとしましょう。説得する方が「やめるのはいつでもできるんだから、とりあえず続けてみよう」って言ってるのに対し、まさかこれを言った方に噛みつくとは夢にも思いませんでした。
個人的には「辞めたきゃ勝手に辞めろ」とか「ここで逃げ出すようなやつが他の道で成功するとは思えんがな」くらいの捨て台詞でも浴びせるのかと思ってたんです。でも、まさか説得してる方に説教するとは…恐れ入りました。
クロエの流儀 コミックス全3巻を読んだ感想・レビュー
新ジャンルではあるんだけど、面白いか面白くないかで言ったら人を選ぶ漫画だと思います。実際にクロエの言い分だけ通って相手の反論がないあたり、クロエが正しいことを言っているような感があるけど、中には「それちょっと違うんじゃない?」って思う部分もあったりして…。そうなってくると簡単に引き下がる相手にちょっとイラっとしてきて、気分爽快どころかちょっとしたモヤモヤが残っちゃうなんてことも。
でも、見て見ぬふりしかできない僕からしたら、思ったことをそのまま他人にぶつけられるクロエの姿勢に思う部分もあったし、素直に「そういう考え方もあるのか」っていう発見にもなりました。口喧嘩が強くなりたいという人や、相手を論破したいという願望のある人なら楽しく読めると思います。
あとがき
外国人の武士言葉ってかっこいいでござる。