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「ルサンチマン」を読んだ感想・レビュー

 

今から15年以上前に完結した作品なんだけど、まさにVRを先取りしていた漫画があるんです。先取りっつーか、むしろまだ現代科学じゃ追いついてなくて、まだまだ未来の話なんだけど、いわゆる「仮想世界で恋愛するゲーム」の話。

VRゴーグルみたいなのを付けてるから視界は当然として、この漫画の世界では特殊なスーツを着ることで、感触なんかもリアルに体感できるようになってます。

ここまでくれば、別に現実世界で女性と関係が持てなくても、ゲームの中で好きなように暮らせるっていうね。「仮想世界だけど、その世界での体験がリアルなら、それはもう現実世界みたいなもんじゃない?」っていう不思議な感覚が楽しめます。

というわけで今回は、今から15年以上も前にVR以上の物を予測して漫画家していた作品「ルサンチマン(全4巻)」の紹介です。

 

 

ルサンチマン あらすじ

 

2015年。印刷工場に勤める坂本拓郎は、今までずっとパッとしない人生を送ってきた。そんなある日、旧友の越後からギャルゲー(美少女ゲーム)を勧められるが、「現実の女が大事」と言って一度は踏みとどまる。だが、その後も彼が女に相手にされることは全くなく、30歳の誕生日、ついに大金をはたいてギャルゲー道具一式を購入する。

 

ルサンチマンの見所をチェック!!

未来を先取りしたネタ

 

本作の主たるテーマは「リアルな仮想世界」です。今でいうVRみたいな世界で、しかも手で触ったものの温度や感触もリアルに感じられるという設定。今でこそVRっていうのが存在するからアレだけど、これを2004年とか2005年の段階で物語に組み込んでるんだから、先取り感がハンパないです。

さすがに2020年現在は、まだ視覚の面だけで感触とかは追いついてきてないけど、これも遠くない未来には実現するような気がする。そうすると今はまだ都市伝説的な扱いの「人工知能に乗っ取られる的な未来」も遠くないのかなぁ…なんて。

 

冴えない現実と理想通りの仮想世界、どっちを選ぶ?

 

現実世界に全然面白みがないという場合、もし思い通りになる仮想世界があって、そこでは現実世界さながらのリアルな体験ができるんだとしたら、それはそれで良くない?

夢でもたまに思い通りに動ける夢とか見たりしませんか?漫画なんかだと、ほっぺをつねって痛くないと夢だっていうシーンをよく見るけど、僕からしたら夢でも痛いんですよね。

それと同じく、ごちそうを食べて美味しいってのがリアルに感じられて、気持ち良さもリアル。それでいて仕事をしなくても生きていけるっていうんであれば、個人的には仮想世界で全然いいです。

最初は「いくら彼女が何人もいるって言っても、仮想世界の話でしょ?」という感じで、若干引き気味だった主人公も、あまりにものリアルさに徐々に仮想世界に魅力を感じていくという展開が生々しい。

 

仮想世界でも思い通りにはいかない…

 

思い通りにいく仮想世界なら、現実世界よりも仮想世界を選ぶって人は少なくないと思うんだけど…。じゃあ「思い通りにはいかないけど、ちょっと気になってしまった異性がいる仮想世界だったら?」っていう部分も非常に生々しい。

本来の楽しみ方は、ゲームで言うところの「俺TUEEE」的な楽しみ方というか、現実世界じゃモテないし貧乏だし…っていう人が、金持ちになったりモテモテになったりってことをリアルに体感できるのがウリなわけで。

 

好きな外見の女の子を用意して、自分のことを好きな設定にできるから面白いんじゃないですか?なのに、バグかなんかで思い通りにならない女の子がいて、その子を好きになってしまった時の葛藤ね。

「そんな感じになるんだったら、もはや現実世界でいいんじゃね?」って思ったりもするけど、好きになった相手が仮想世界にいるんだったら、思い通りにいく・いかないは関係ないんですよね。

主人公は見た目が超冴えないアラサー男で、内面も変態でクソ野郎。でも、どこかにピュアな一面も持っていて…っていう、ここもまた洗練されてないキャラ設定というか、リアリティの感じられる設定となっています。応援するとかじゃないけど、下心と純愛の狭間で不器用ながらも奮闘する主人公の様子は必見。

 

ルサンチマン コミックス全4巻を読んだ感想・レビュー

最初は「現実世界では風俗にでも行かないとS〇Xはおろか、女生徒の会話もできない」っていう、冴えないアラサー男が仮想世界に逃げるってだけの話だったんだけど、それが気付いたら壮大な話になってるから驚くしかないです。

今はプログラミングが必修になるとか言われてるし(もうなったのかな?)、VRに対応したゲームや映像作品も増えて来たじゃないですか?個人的には、ルサンチマンみたいな世界になるのも遠くないのかなーって思ってる。

全4巻の中に現実世界と仮想世界を行ったり来たりする様子とか、仮想世界の中の反乱とか…。色んな要素が入ってくるから、読んでいて結構頭を使う作品です。

主人公が主人公っぽくない点、下ネタ満載の点は読者を選ぶかもしれないけど、全4巻で読みやすいし、何より「2005年とかそれくらいの時に、既にここまでの未来を予期してたのかな?」ってことを考えると、なお面白い。

 

あとがき

世にも奇妙な物語であったような気がするけど、リアルで思い通りになる仮想世界があるんなら、僕はそっちでもいいかなーって思ってる。

 

 

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