ヤクザへの締め付けが強くなった代わりに、今度はそれに代わる似たような存在が出てきているのも事実なわけで…。オレオレ詐欺(母さん助けて詐欺に改名したんだっけ?)みたいなものに、未だに引っかかってしまう人も残念ながらいるようです。
ぶっちゃけこういう手口に対する対策として、1番の対処法は「実際にそれを見ること、知ること」じゃないかと。窃盗にしたって、単純に「外出時は忘れずに鍵かけよう」とかじゃなくて、「犬のいる家に泥棒は入りにくい」とかそういうのを知ってるだけでも大きく違ってくるんじゃないかと思うんです。
本作は、実際の犯行手口を包み隠さず公開してくれるノンフィクション作品。というわけで今回は、窃盗団の手口を明かしている「ギャングース(全16巻完結済み)」を紹介します。
ギャングース あらすじ
オレオレ詐欺団の金庫を狙え! 職なし、学なし、犯罪歴あり。社会に見離された最底辺少年トリオが、生きるために選んだ仕事は“ヤバイ橋”。裏稼業・悪徳業種の収益金(アガリ)を狙う闇の窃盗団を結成した! 犯罪結社(カンパニー)の金庫を叩き、建築資材窃盗団の倉庫を荒らす。義賊? ただの犯罪者? 彼らは毒を持つ者を喰らう小動物。【※この漫画は実話を基にしたフィクションです。ただし犯罪の手口はすべて実在しますので、ぜひ防犯に役立てて下さい。※】
ギャングースの見所をチェック!!
主人公たちが窃盗団専門の窃盗団
本作はお世辞にも立派とは言えない少年犯罪集団が主人公なんだけど、その根本に「窃盗団だけが窃盗対象」という部分があって、善良な市民に対して悪行を働いているという感じではありません。
いわゆる義賊というかダークヒーローのような雰囲気があるので、単なる犯罪組織や犯罪手口を書いている漫画とは少し違います。
例えばテレビに出る元犯罪者なんてのは大半が顔にボカシを入れて、声も変えた上で出演するじゃないですか?その人の経験談自体は防犯に活かせる有力で価値のある情報ではあるんだけど、どこか鼻について素直に聞き入れにくいって部分があるはず。
それはきっとその人が改心しているとは言っても「どの口がそんな事言ってんの?」って感じてしまうからじゃないかと。そういう意味では、本作の主人公たちは「悪人であることには変わらないんだけど、窃盗団専門の窃盗団」ということで、半グレなどの存在に対して嫌悪感があるという人でも素直に読めると思います。
目から鱗の犯罪手口
オーシャンズ11とかみたいな大きな犯罪だと「見応えはあるけどリアリティに欠ける」という部分があって、映画なんかで楽しめるわけですが、これが変に生々しい窃盗の手口となると「模倣犯が出るんじゃねーか?」的な部分もあって、あんまり警察も情報を公開してくれないように思います。
ゆえに、僕らのような「どちらかといえば完全に盗まれる側」に関しては、やられてから初めて気付くみたいな部分があると思う。相手の手口とか傾向が分かっていれば、ある程度の予防策は講じることが出来たにも関わらず。
本作では「え、それマジで言ってんの?」っていう情報がてんこ盛りです。例えば「小さい子供を見張りに使う」なんてのは完全に盲点じゃないかと思ったんだけど、みなさんはどうですか?
芸能人のスクープネタを探る記者も、カメラマンには見た目普通のおばちゃんを使うっていうし…。割と人間の潜在意識に訴えかける部分というか、先入観を上手く利用した犯罪テクニックなんてのは少なくないので、「敵を知る」という意味で超有効です。
窃盗以外の犯罪も豊富に紹介
世の中には色んな犯罪があって、窃盗に限らず詐欺とかも取りざたされる機会が多いと思うんだけど、交通事故なんてのは全国で1日に何人も死んでるっていうし、完全に無関係だって人も少なくないんじゃないかと思う。
特に人によっては保険に加入してないとか、事故を起こした時の過失割合の複雑さなんかも相まって、割と悪い人たちに狙われる分野でもあるようです。特に「後方から追突させる」っていうのはメジャーな手口の1つ。
もちろん車間距離をしっかり取っていれば急ブレーキを掛けられたところで追突しちゃうことなんてまず無いんだけど、エンジンブレーキとかサイドブレーキを引いて追突させるっていうのは結構有名な手口だよね。それを知ってるのと知らないのとでは、被害に遭う可能性としても大きく変わってくるでしょう。本作は本当にタメになる良書じゃないかと思います。
ギャングース コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
犯罪手口の裏側を見られる漫画ということで、個人的にはかなりヒットした作品です。ちょっと絵が見づらいけど、そういう悪い部分を差し引いても全然プラスだと思う。
例えば工事現場に盗みに入るとして、社名の入ったマグネットシールを使うってくらいは割と常識の範疇だと思うんだけど、なぜ工事現場が狙われるかって部分については、犯罪者ならではの思考が大きく関係しているっていうね。
こういうのって自分で実際にやってみないと分からないというか、言われて初めて「あー、そういうことか!」って気付ける面白さがあると思います。犯罪行為に対して面白いって表現もどうかと思うけど…。
それに窃盗とか詐欺に引っ掛からないためには、まずは敵を知ることが重要です。そういう意味でも本作は犯罪の被害者になる可能性を少しは下げてくれるんじゃないかと思うし、裏社会やアンダーグラウンドな世界観が好きだという人にはバッチリの漫画だと思います。
あとがき
リアリティのある犯罪手口に脱帽。
怖いけど見たい!知りたい!裏社会、闇社会、アンダーグラウンドな世界をテーマにした面白くておすすめの漫画を紹介する