「もし〇〇を手に入れたら…」というIFの世界観が秀逸な、大場つぐみ×小畑健の最強タッグ。本作のテーマは「13人の神候補たちの戦い」です。
バクマンはちょっと趣向が違うけど、デスノートの方に関しては「本当にデスノートがあったら…」という想像でワクワクできたという読者が多数いたと思う。「自分ならこう使う!」を読者の数だけ発掘させたこのタッグは、マジで凄いです。
そして本作は「2本の矢と翼を使ったバトルもの」ということで、デスノートにあったような心理戦はもちろん、作戦がアクションへと移行して加速する感じに夢中にさせられること間違いなし!というわけで今回は、心理戦からのバトルが光る「プラチナエンド(全14巻完結済み)」を紹介します。
プラチナエンド あらすじ
13人の天使たちは神候補になり得る人間をそれぞれピックアップし、それぞれが持つ武器を神候補に捧げた。天使が持っている武器は天使のランクによって異なるが「赤い矢/白い矢/翼」の3つである。
赤い矢は刺した相手を自分に惚れさせることができ、白い矢は刺した相手を一瞬で殺すことができる。そして翼は矢よりも速いスピードで動けるため、矢から身をかわすことができる。
天使からこれらの力を授けられた13人には、共通して「死を考えていた」という共通点があったが、この力を使って新たに前を向いて歩みだそうと決めた候補者たちが出てきた。
一方で「自分以外の12人の神候補者を殺せば、最後に残った自分が神になれる」と考えだす候補者も出てきて…。今、矢と翼を使った神の候補者同士の戦いが過熱していく。
プラチナエンドの見所をチェック!!
大場つぐみ×小畑健の最強タッグ
言うまでもないけど大場つぐみ×小畑健の組み合わせは間違いなく最強タッグの1組だと思います。ストーリーの深い部分は結構複雑なんだけど、導入部分で細かくて分かりやすい説明をしてるから理解しやすいし、何より「読み込んでしまう魅力的な世界観」が最高です。
絵もめちゃくちゃ綺麗で線の細かい背景なんかも丁寧に描かれているから、ぜひ手元に置いておきたい作品でもあるっていうね。
正直言うとデスノートやバクマンと比較してアクション性の高いシーンが多いから「ちょっと見にくいなぁ」と思う部分は割とあります。もちろん汚くて読めないって感じではありません。でも「綺麗すぎて読みにくい」ってなかなか無いからなぁ…。
ちなみに小畑健氏の「All You Need Is Kill」を読んで、一定の絵の見にくさみたいなものを感じなかった読者なら全然問題なし。
ぶっちゃけ「デスノート」や「バクマン」が好きだったという読者の人なら、それだけで本作を手に取る価値はあります。個人的には「この2人が手掛ける作品なんだから、少なくともハズレはないんじゃないか?」というのが正直な気持ちです。
ちょっとゲスい想像すら起こる初期設定の秀逸さ
デスノートの時に「自分だったら〇〇の名前を書く」とかで盛り上がった読者なら、今作でも「〇〇に赤い矢を使う」って感じで盛り上がれると思います。白い矢と翼はともかく、赤い矢は読者の数だけ使い方がありそうだし…。
男性読者なら「好きなアイドルに赤い矢を使う」って人も少なくないでしょう。実際にそう使う神候補者がいるかどうかは別にして、こういうゲスい想像が容易に出来るっていうのは読者の想像力を上手く駆り立ててるよね。
水面下で進む腹の探り合い
ちなみに赤い矢も万全じゃなくて色んな制約があります。赤い矢で魅了できる期間だったり、赤い矢で自分に惚れさせた相手に命令できることには限界があったり…。このあたりの心理戦、応用の仕方はデスノートを彷彿させるから凄い。
神候補者同士の戦いっていうなら結局は翼と白い矢さえあれば何とかなりそうだけど、赤い矢を上手く使った方がバトルを有利に出来るっていう部分はすごく面白みがあると思いました。
あとはデスノート所持者にリュークが憑いていたように、天使の存在を確認されてしまうと候補者の気配を感じ取られたりするため「顔バレしないように相手に接近するにはどうすればいいか?」などの戦略も巧みに描かれています。
使える武器が天使の能力に依存していて、さらに「候補者から武器を奪い取ることも可能」ってのがバランス調整として秀逸すぎる。これなら黒幕がチート級に強いのも納得だし、ここにどう対抗していくのかは楽しみでしかないです。
プラチナエンド コミックス5巻までを読んだ感想・レビュー
デスノートの時もそうだったけど、私利私欲のために使わないって感じだと「何おまえ綺麗ごと言ってんの?」ってなっちゃいそうなのに、私利私欲のために使ってない主人公が魅力的っていうのは不思議な気持ちすらあります。
過去にイジメに遭った経験があるとか、好きな子を追いかけて高校を決めたっていう部分があるなら、いくらでも矢の使い方とかありそうだけど…。まぁそれをやっちゃったら少年ジャンプで連載するわけにはいかなくなるか。
本作の主人公は、過去にトラウマもあってか「どんな理由があっても人を殺したくない」という部分に固執していて、読んでるとちょっとイライラする部分がありました。
「目の前の悪人を殺さないせいで、罪のない人が大勢死ぬ」っていう展開に心を痛めてるだけみたいな。「お前が目の前の悪人を殺してりゃ、被害が最小減に食い留められただろ!」的な。この主人公が初志貫徹するのか、もしくは少しずつ変わっていくのかは序盤から楽しみです。
絵はものすごく綺麗。ただ、上の方でも書いたようにちょっと見にくい部分があります。特に「同じ神候補者にバレないように特撮モノのようなスーツを着て登場する」という展開もあったりして、誰が誰なんだかサッパリ…。
完結したらカラー版が出ることも予想されるので、ちょっと読んでみて「これはカラーで読みたい」って人がいたら、カラー版が出るまで待つってのも十分アリだと思います。
あとがき
赤い矢が欲しい。
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