グロいシーンのある漫画って少なくないけど、そのグロさに対して意味を持たせるのって結構難しいよなぁと思うわけで。そう考えると本作の猟奇的な殺人の数々は、タイトルを含めてちゃんとした一本のストーリーとして成立しています。
ただ、事件の演出部分は結構エグいです。想像力が豊かであればあるほど、読みながら目を背けてしまうような感覚があるのではないかと思いました。だからこそサスペンスホラーとしての不気味さが増してるってのもあるけど。
というわけで今回は、猟奇的な事件が連続するサスペンスホラー「ミュージアム(全3巻完結済み)」を紹介します。
※通常版は全3巻構成、完全版は上下巻構成となっています。
ミュージアム あらすじ
悪魔の蛙男、“私刑”執行。“ドッグフードの刑”“母の痛みを知りましょうの刑”“均等の愛の刑”“針千本のーますの刑”“ずっと美しくの刑”――。すべては、ある1つの裁判から始まった。超戦慄連続猟奇サスペンスホラー、絶望大解禁!!!
ミュージアムの見所をチェック!!
猟奇的な事件の数々
本作では猟奇的な事件が複数発生します。殺人事件の捜査では、まず「動機」に焦点が当てられるってことを聞いたことがあるんだけど、ここまで猟奇的な事件だと「犯人はこの人らに親でも殺されたんか?」くらいの感じ。
そうでもないと説明がつかないような殺害方法の数々に、思わず息を飲んでしまう読者が続出すると思う。シーンそのものは上手く描かれているからそこまでグロいとは感じないけど、そのシーンをリアルに想像しちゃうと夢に出てきそうな感はあります。
良く聞くのは映画の「セブン」や「SAW」などに近いという印象を持つ読者の方が多いそうです。個人的にはどっちも観たことないから、あんまりよくわからないけど…。この2つの映画が面白かったという人なら本作の魅力を楽しめるはず。
ちなみにドッグフードの刑ってなんだと思います?僕は「死ぬほどドッグフードを食べさせられるとか?」って考えたけど、今思うと浅すぎて笑えてくる。
犯人の正体は?
動機も当然気になるけど「犯人が誰か」という部分が、本作の醍醐味の一つ。「見ず知らずの人間をここまで残酷な方法で殺害するってどんなサイコパスなんだろう?」と思いながら読み進めていくことになるかと思います。
軽いネタバレ(というか表紙で明らかになってるけど)をすると、犯人は最初カエルの被り物をして登場するので、個人的には「猟奇的レベルに拍車をかけるためのオマケ要素か?」と思ってたけど、こっちも浅はかな考えでした。
ちゃんと被り物にも意味があって、単なる不気味さの演出に終始していないというのも本作の優れている点だと言えるでしょう。
主人公が抱えている闇と事件の関連性
動機や犯人の正体とも重複する要素になりますが、本作の主人公は刑事であり、一連の事件に家族が巻き込まれるという感じです。複数の被害者がいる中で「主人公の家族を含む被害者の共通点は?」という部分は非常に気になる部分と言えるでしょう。
そして主人公は刑事という職業柄もあってか仕事優先の日々を送っており、「結果としてそれが事件に繋がったのでは?」という感じで示唆されています。…子供の誕生日を忘れるくらい仕事してて、それが原因で猟奇的な事件に巻き込まれるって何だよと。
このあたりの見せ方も非常に上手くて、一言で言うと「ミスリード」って感じかなぁ。深読みしすぎて全然関係ないところまで予想しちゃう楽しみなんかもあると思うので、その辺りにも注目です。
ミュージアム 全3巻を読んだ感想・レビュー
全3巻なのでサクッと読めるし、最後もしっかりと綺麗に終わっています。
純粋なサスペンスものとして見た時に「この動機でここまでやれるか?」とか、あるいは「こんなに簡単に大人たちを欺けるものかね」って思ったりもしてちょっと腑に落ちない部分はあるけど、まぁホラー要素強めって思っておけば全然問題ないレベルです。
個人的にはカエルの被り物とか、タイトルにもしっかりとした意味が用意されていて、そっちに結構驚きました。ちなみに被り物うんぬんについては「マジかよ」って思う読者が多数だと思うんで、Wikipediaとかを漁りだすまでがセットです。
2016年には小栗旬さんの主演で実写化されたことでも話題になりました。本作を読んで面白かったと感じた人、あるいは「ミュージアムに興味はあるけど漫画じゃなくてアニメや映画の方が楽しめそう」という人は、合わせてこっちをチェックしてみることをおすすめします。
あとがき
「母の痛みを知りましょうの刑」を自分ならどう乗り切るかを想像してみたけど、結構きついな。
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