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「BLACK-BOX」を読んだ感想・レビュー

BLACK-BOX1表紙

 

ボクシングにはスポーツと格闘技の2つの面が存在していると思います。

「スポーツなんだから相手をリスペクトし、礼に始まり礼に終わる」みたいな理屈も理解できるし、それとは異なって「オールオアナッシング。強いほうが勝つし、勝ったほうが偉い」みたいな理屈も理解できます。ちなみに本作はボクシングを題材にした漫画ですが、間違いなく後者です。

というわけで今回は、狂気に震えることができるボクシング漫画「BLACK-BOX(全6巻完結済み)」を紹介します。

 

 

BLACK-BOX あらすじ

父親は殺人罪で服役中。兄も殺人で捕まった“殺人一家”の次男、石田凌駕。凌駕本人にも兄が捕まった殺人の関与が疑われている中、獄中の父親の「指令」のもと、ボクシングのプロテストに挑むーー。『地雷震』、『爆音列島』、『スカイハイ』の高橋ツトムが圧倒的筆致で描く、漆黒の拳闘ノワール!

 

BLACK-BOXの見所をチェック!!

スポーツとしての爽やかさが一切ないボクシング

BLACK-BOX2

 

主人公はデビューしたての新人ボクサーなんだけどセンスは抜群で、親父も元プロボクサーという設定です。ただし父親と兄が殺人で捕まっていて主人公にも疑いが掛かっているということもあり、マスコミにはおもちゃにされつつもそれも踏み台にしてのし上がっていこうとする様子が描かれています。

ぶっちゃけ雰囲気がとにかく暗くて、昭和の雰囲気をひしひしと感じました。近代トレーニングを駆使してとかそんなんじゃなくとにかくハングリー。お湯が出ないから水のシャワーを浴びて、野菜を売り歩いて生計を立てつつ…みたいな感じ。

主人公はビッグマウスで自信家で…というか「負けることを許されない」というくらいまで追い詰められているので、とにかく泥臭いシーンの連続です。だが、それがいい!スポーツとしてではなく、格闘技としてのボクシングが好きだという人には文句なし。

 

殺人一家の過去と真相

BLACK-BOX3

 

これからプロデビューしてチャンピオンになろうっていう人間に、あらぬ疑いが掛かっているというのは気持ちが悪いものです。主人公をよく知らない人間からすると、素行が悪すぎる面が目立つので、いかにもやってそうな感じがするものの、僕ら読者には純粋に強さを求めている少年のように見えます。

もしかしたら親・兄弟が人を殺して捕まっているという件についても、僕らが想像できないような事情(正当防衛とか)があるんじゃないかと。そのあたりの真相を含め、主人公の過去や生い立ちなどにも注目です。

 

主人公のダークヒーロー感

BLACK-BOX1

 

鬼気迫る雰囲気、狂気に満ちている雰囲気が感じられる主人公は、まさにダークヒーローと言えます。ボクシングでは試合前に紳士的に接する選手もいれば、過度なくらい相手を挑発する選手もいるわけで。

本作は過度に挑発するのとは違うけど、少なくとも紳士的ではありません。というか対戦相手も大概なので、ならず者同士の戦いが楽しめるという感じです。

個人的には格闘技であれば試合前のビッグマウスを含めて楽しんでいるので、紳士的な選手も嫌いじゃないけどやっぱりモハメドアリのようにブチまけて欲しいと思っています。もちろん有言実行できる実力があるって前提ですが、少なくとも本作の主人公はその条件を満たしていると言えるでしょう。かっこいいダークヒーローです。

 

BLACK-BOX コミックス1巻を読んだ感想・レビュー

全体的にダークな雰囲気がしっくりハマっているボクシング漫画です。作者の高橋ツトム氏の魅力が存分に詰まっていると思います。

素行不良だけど強さとポテンシャルは本物の主人公、そして主人公の親・兄弟が殺人者で、もしかしたら主人公も…みたいな謎も先の展開が気になる要因として抜群のエッセンスとなってます。

主人公がチャンピオンになれるかどうかも気になるけど、ぶっちゃけまともなトレーナーも練習設備もなしにチャンピオンになれるほど甘い世界だとも思いませんし…。どんな展開になろうとも主人公の過去を含め、かなり刺激的な展開が堪能できるのではないかと。

何度も書いたように、スポーツではなく格闘技としてのボクシングです。「ボクサーなんだし、ちょっとくらい素行が悪いほうがカッコ良くない?」って読者なら、本作の主人公はめちゃくちゃカッコ良く映ると思います。

 

あとがき

本作の魅力は読んでみないと(開けてみないと)分からない。

 

 

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