錦織選手の活躍で一気に火が付いた男子テニス界。それこそ松岡修造さんが引退して、その後で伊達公子さんや杉山愛さんのような女子選手が大活躍することはあっても、男子テニス界の明るい話はなかなか聞くことが出来なかったように記憶しています。
そして今ですよ。漫画界にもその余波は確実に来ていて、ここ数年でテニス漫画の数は少しずつ増えてきたように思います。というわけで今回は、努力型主人公の機動力テニスを描いた「バギーウィップ(全3巻完結済み)」を紹介します。
バギーウィップ あらすじ
青春をテニスに賭けろ。 テニス歴5年だが初心者レベルの高校1年生・新(アラタ)。勝てない、うまくなれない、もうやめるしかないのか……自分をあきらめかけていた負け犬に火をつけたのは、プロの道を断たれた天才・佐倉だった! コートではひとり。でもオレには、アイツがいる。最弱プレーヤーが、最強コーチと頂点を目指す、灼熱の高校テニス漫画、始動!!!
バギーウィップの見所をチェック!!
主人公は自己評価の低い努力型の天才
本作の主人公はテニス歴が5年なのにもかかわらず、今まで1勝しかしたことがないという稀有な存在です。練習の仕方が根本から間違っているのか、あるいは極端に不器用なのかは分かりませんが。
そんな主人公が「もう一度、試合に勝った喜びを噛みしめたい」という一心で、テニスに取り組んでいきます。幸か不幸か少し口の悪い元プロ選手と出会い、彼に徹底的に指導されることで「果たして勝てるようになるのか!?」的な作品です。
自分に自信がなさすぎて読んでいて腹が立つっていう気配はありますが、校内戦にしても「こんな奴に負けるわけねー」「負けたら裸でグラウンド10周してやる!」的な過剰な煽りがないので、そういう意味では読みやすいと思いました。
武器は機動力と移動力
主人公の武器は厳しいボールにも追いつける機動力・移動力です。「決まったと思った球が返された時のショックは計り知れない」という理屈で、努力の成果が最も発揮されやすい要素と言えるでしょう。
相手は左右に振ったうえで前に出てきてボレーを決めようとしてくるので、その球を拾ってのバギーウィップが本作の大きな見所となっています。バギーウィップっていうのはポール回しとも呼ばれる技で、ボールに回転をかけまくることで本来アウトの球がコートに戻ってくる的な技です。
もちろんそれを狙って出来るほどの技術はないからアレなんだけど、何より諦めずにボールを追い続けた結果だし、要所要所で炸裂するから読んでいるこっちもガッツポーズしたくなると言っても過言ではありません。
バギーウィップ コミックス全3巻を読んだ感想・レビュー
テニス歴5年で1勝しか出来なかったという選手は、周りがみんな全国クラスみたいな特殊な事情でもない限り、控えめに言ってもセンスがないと思っちゃうんですが、そんな選手が急激に成長する姿が楽しめます。
これについて「夢がある」とか「努力は裏切らない」みたいに肯定的に取れるか、それとも「テニスを舐めてる」と取るかによって本作の評価は大きく変わるんじゃないかと。
まだ小学生とかならコツ1つで一気に差が縮まる感もイメージしやすいんですけど、高校テニスってそれまでの戦力に差があるなら3年間あっても簡単にひっくり返らないと思うし、まして数ヶ月で全国レベルの選手に勝つとなると好みが分かれてしまうような気がしました。
指導者がケガで現役を退いたという背景があり、ケガをしてでも上手くなりたいみたいな感動話になってないのはすごく良かったです。
あとがき
テニスの王子様ではスネイクって呼ばれてたよね。