かつてテルマエ・ロマエという漫画作品を読んだ時、すっげー衝撃が走りました。「温泉(お風呂)をテーマにしているというニッチな切り口なのにも関わらず、こんなに面白いなんて!」という感じで。
そんなテルマエ・ロマエを描いたヤマザキマリ氏が、今度はオリンピックを題材に描いた作品がこちら。古代ギリシャから現代日本にタイムスリップして戸惑う様子、そこで得たヒントを糧に古代ギリシャに戻って問題解決に繋げるという展開は、もう平和以外の何物でもありません。
というわけで今回は、ニヤニヤしながら五輪の歴史が楽しく学べる「オリンピア・キュクロス(連載中)」を紹介します。
オリンピア・キュクロス あらすじ
古代ギリシャの青年デメトリオスは、壺絵師見習いの“草食系オタク”。ある日、村の争いに巻き込まれ、思い悩むうち、なぜか”1964年オリンピックに沸く東京”に漂着…!? 時空を超えた奇跡の喜劇、ここに開幕――!!!
オリンピア・キュクロスの見所をチェック!!
古代ギリシャと1960年代の日本を行き来するタイムスリップもの
テルマエ・ロマエを読んだ人には馴染みのある展開だと思うけど、本作は「古代ギリシャと1964年の東京五輪が開催される日本を行き来するタイムスリップ作品」です。
「なんで言葉が通じるんだ」とか「そんなに簡単に受け入れられるのか!?」みたいな部分はさて置き、現代では当たり前のようなテレビなどの近代文明に驚く様子がめちゃくちゃ新鮮で面白い。
あとは古代ギリシャでは争いの為の運動対決だったものが、現代日本では町内会の催し物だったりして、その辺のギャップに戸惑っている様子なんかも新鮮です。
「村と村の争いのために運動競技で対決する」というものだったのが、タイムスリップした先ではみんな笑顔で取り組んでるわけだから、戸惑うのも分かるじゃないですか?そういうギャップで笑える一面も持っている作品と言えるでしょう。
シュール寄りの笑いがクセになる
本作はkindleの紹介文的には「時空を超えた奇跡の喜劇」ということで、まぁ笑えるシーンが多々あります。どっちかって言うとシュール寄りの笑いなんだけど、リアルを想像したらニヤニヤできること間違いなし。
そもそも村同士の争いで血を流すわけにもいかず、「だったら運動競技で対決しようぜ!」っていう時代から来てるわけだから、おじいちゃんがスプーンに卵を乗せて走ってるのなんて衝撃的だったろうなぁ。
体育館を神殿と見立てたり、負けた人も笑顔であることに違和感を覚えたり…。主人公に感情移入すればするほど味が出るので、個人的にはスルメ的要素を持っている漫画だと思ってます。
主人公が可愛らしい
あと忘れちゃいけない本作の見所は「主人公が可愛らしい」という点。筋肉隆々なのに、古代ギリシャでは草食系オタク呼ばわりされていたりして、とにかくめちゃくちゃ可愛らしい行動・言動が目立ちます。
主人公が「身体能力が高いくせにオタク」っていう設定も生きていて、縁日の景品で鉛筆を欲しがっている様子は、まるで幼い子を見ているようなほのぼのした空気感が堪能できるし…。「なにこの人、超かわええ」ってなる。
片思いをしている相手に対するちょっとした感情の揺れ動きすらも応援したくなるような人間性は、漫画の主人公としては完ぺきなレベルじゃないかと。
オリンピア・キュクロス コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
端的に言うと「テルマエ・ロマエのオリンピックver」という感じ。テルマエ・ロマエがお風呂っていうニッチなジャンルにも関わらず、めちゃくちゃ流行ったことを考えると、これが受け入れられないわけがないです。
基本的には「古代ギリシャで困ったことが起きる→現代日本にタイムスリップ→新たな発見を見出して古代ギリシャに戻る→問題を解決する」って流れ。ワンパターンっちゃワンパターンだけど、邪心を持たない古代ギリシャ人が現代日本にタイムスリップしてくるってだけで面白いです。
本来のオリンピックの目的がどういうものだったのか等の勉強にもなるし、巻末には歴史的な解説もあって深く楽しめます。また東京五輪はどのようにして盛り上がっていたのか等、当時をリアルタイムで知っている人は懐かしさも感じられるだろうし、知らない人は新鮮な気持ちで過去の東京五輪を振り返ることができるかと。
2020年の東京五輪が延期になって、2021年に開催されるかどうか現時点では微妙な感じになってるけど、今読みたい作品の1つとしておすすめです。笑えるし、勉強になるし、最高。ちなみに本作が好きならテルマエ・ロマエも気に入るはず。逆も然りなので、併せてチェックすることをおすすめします。
あとがき
こういうのから入れば、古代ギリシャの歴史の勉強も苦じゃない。