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「DO-P-KAN」を読んだ感想・レビュー

 

僕は頭文字Dの大ファンで、漫画のみならずアニメも何度見たのかわからないほど繰り返して見ました。雪国に住んでいるのに、お金を貯めてハチロク(もちろん新しい方だよ)を買ったくらいです。

その頭文字Dを描いたしげの氏は、頭文字D以外にも幾つか作品を描いていて、この作品もライバルや仲間との熱い友情みたいなものが熱烈に表現されています。いやー、陸上漫画自体が数少ないのでアレなんですけど、これを読んだらYoutubeで100m走とか見たくなりますよ、マジで。

というわけで今回は、頭文字Dで知られるしげの氏が描いた陸上と恋愛の融合「DO-P-KAN(全10巻)」を紹介します。

 

 

DO-P-KAN あらすじ

 

とある高校の陸上部に所属している人物たちの青春時代にスポットを当てた作品。学校生活というよりも部活動がメインになっていて、その中での恋愛模様における心理描写に重きが置かれている。

高校生らしい熱さやジェラシーなど、未成熟な部分も含めて巧みに表現されており、完璧な人間が出てこないという部分からも、よりリアルな人間関係が楽しめるだろう。

 

DO-P-KANの登場人物

北村 高志

 

本作の主人公にしてハードラー。当初は校内ではそこそこ速いとされている選手だったものの、IHに出られるような選手ではなかったが、あることがキッカケで全国区の選手となる。

恋愛面では非常に奥手で、同じ部員の森川のことが好きだと自分に言い聞かせるも、工藤に惹かれている自分と葛藤していくことに。

 

池田 典明

 

南陵陸上部のスプリンターでエース。イケメンと評されており陸上に対しても真摯に向き合っているが、何事にも熱くなりやすいうえに女にだらしない一面を持つ。

同じ陸上部の工藤と付き合っていたが別れ、その後は同じ陸上部の森川と付き合った。

 

工藤 晶

 

本作の(第一)ヒロインで走り高跳びの選手。同じ陸上部エースの典明と付き合っていたが、あつことがキッカケで別れることになり、その後は恋多き女に。

美術部の先生と付き合ったのが学校にバレたり、北村の真っ直ぐな気持ちに揺れ動きながらも、徐々にヒロインの座からはフェードアウトしていく。

 

岡田

 

万年予選落ちのスプリンター野郎。最初から最後までコンスタントに登場するが、基本的にはピエロのような扱いを受けている。

実力にそぐわない自慢や、意味のないうんちくを語ったりして厄介者のようにして扱われることが多い。いわゆる落としどころを担当しているキャラクター。

 

城北実業陸上部一同

 

真剣に練習していたところを岡田に邪魔されたことで憤慨し、揉めることになった。その際は女子部員との合コンを賭けて大会で勝負することとなる。

それ以降は良好な関係を築けるようになり、良きライバルとして切磋琢磨することに。男子校のため、女子に対する飢えが凄まじい。

 

DO-P-KANの見所をチェック!!

同じ部内での恋愛模様

 

学生時代の部活動ならではというか、学生時代ならではの「〇〇が●●と付き合っている」とか「元カレの元カノの元カレの…」みたいな魑魅魍魎というか…。学生から遠ざかっている僕のような読者からすると、別れた後でも部活で顔を合わせなきゃいけないギクシャクした感じが懐かしいです。

そういう意味では、色んな恋愛漫画で描かれているようなクリーンな恋模様ではなく、どっちかっていうとドロドロした感じが堪能できるのではないかと。通常の高校生男子が考えるようなこと(誰と誰がヤったとか)もしっかりと再現されていると思います。

あとは恋の力をバネに部活で結果を残すってあたりも青春時代ならではですよね。あんま言いたかないけど甘酸っぱい。

 

爆発的な成長力

 

実力的には不利とされながらも、ある出来事をキッカケにして目を見張るような成長を見せ、最終的には下馬評を覆すという展開が熱いです。それでいて最終的に勝ってばっかりって感じでもないんで「どうせ勝つんでしょ?」って感じにもなりません。

恋愛面での悩みや嫉妬が影響して良い結果が出せなかったりなんてのも、人間らしくていいんじゃないかと思います。仲間内で揉めた後に結束したら、当初より良い結果が生まれるなんてのはこれ以上ない熱さと言っていいでしょう。

あとはちょっとしたアドバイスで劇的に能力が伸びたりってのも熱い。ムカつく指導者の助言は受け入れたくないって若さも熱い。とにかく熱い。

 

岡田のうんちく講座と笑い

 

部内では厄介者として扱われながらも、どこか憎めない岡田。その岡田は、読者に向けて分かりやすい補足説明をしてくれることが多いです。

例えば「リレーの第一走者は、スタートの際に地面にバトンを付けてはいけない」ってルールなんか普通知らないでしょ。僕にいたってはクラウチングスタート自体したことないし。

あとは他校との競争だったり恋愛面でのいざこざだったりと、息の詰まるような展開が多い作品なんだけど、岡田が出てくると和む傾向があります。個人的には、リレーの様子を岡田がビデオカメラで撮影するシーンには笑わせてもらいました。

 

DO-P-KAN 全10巻を読んだ感想・レビュー

しげの氏の絵を見たことがある人なら分かると思うけど、結構カクカクしてるんですよね。それによって陸上競技自体の躍動感みたいなものはあまり感じませんでした。

ただ、それぞれのキャラクターが持つ心理描写が巧みなので、あっちこっちに揺れ動く青春時代の男女ならではの不安定さみたいなものが汲んで見て取れます。登場人物たちと同世代の人は共感できるだろうし、既に青春時代を終えた読者も懐かしく楽しめると思う。

 

個人的には一部と二部でヒロインが変わったのが受け入れにくかったけど、この辺りも他の漫画にはあまり見られない構成なので、最終的には新鮮だったのかなぁと(読んでた時は「あれ?そういやヒロインどっかいったっぽくね?」って感じで戸惑いました)。

恋愛要素が強めの陸上漫画と思って手に取るのであれば間違いないです。「頭文字Dが好きだから、しげの氏の他の漫画を読んでみたい」という理由も問題ありません。ただセーラーエース、てめーはダメだ。

 

あとがき

「あいつのヴァージンを奪ったんだよなぁ」的な、やきもきする感じの表現は本当に秀一。じゃなくて秀逸。

 

 

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