記事内に広告を含みます

「ナナのリテラシー」を読んだ感想・レビュー

ナナのリテラシー表紙
Ⓒナナのリテラシー

リテラシーとは「読み書きの能力」のことです。かつて「嘘を嘘と見抜ける人じゃないとインターネットを使うのは難しい」と言った有名人がいましたけど(正確にはネットじゃなくて掲示板だったかな)、最近はSNSも発達してきて一層リテラシーの高さを求められる場面が増えてきたように思います。

本作は2014年~2015年の作品でまだ紙の本やガラケーに軍配があった時代なんですが、この段階で電子書籍やソシャゲの市場に注目した作品です。というわけで今回は、Kindleにおけるネットビジネスの先駆者と言ってもいい鈴木みそ氏による「ナナのリテラシー(全3巻完結済み)」を紹介します。

ナナのリテラシー あらすじ

電子書籍の未来がここに!職場体験のため怪しげな事務所の門を叩いた女子高生・許斐七海。突然目に飛び込んだ半裸の「天才ITコンサルタント」のもと、彼女は新時代のビジネスの真髄を知る!

Kindle Unlimited登録者なら無料で読めます(本記事執筆時点で全巻対象です)。

Kindle Unlimited 無料体験はこちら

ナナのリテラシーの見所をチェック!!

天才ITコンサルタントによるビジネスの真髄

ナナのリテラシー1
Ⓒナナのリテラシー

あなたはコンサルティングを受けたことがありますか?僕もこんな感じで漫画に関するブログを描いていると、たまに「ブログへのアクセス数を増やしたくありませんか?」というコンサルの営業が来たりします。

ぶっちゃけ一度も受けたことはないんだけど、まぁ周りの人たちの反応を聞いている限りだと当たり外れが激しいと聞きました。酷いケースだと大したことをせずにウン十万円っていうお金を持っていかれるみたいです。

コンサルのおかげで傾いた経営を持ち直せたっていう会社も山ほどあるんだろうけど、中には詐欺のような活動をしているコンサルもいて、場合によっては「ちゃんと経営指導はしたけどおたくに力が無かった」と言われてしまえばそれまでって部分もありますし…。

本作で描かれているそれは天才ITコンサルタントと呼ばれている人物によるもので、非常に有意義なコンサルティングの流れを見ることができます。

変わりゆくゲーム業界のあれこれ

ナナのリテラシー2
Ⓒナナのリテラシー

本作が描かれた時期はまだガラケーに勢いがあった時代で、ちょこちょこスマホが普及し始めてた頃になるのかな?いずれにしても今ほどガラケーが絶滅危惧種じゃなかった時代と記憶しています。

そして界隈では「ゲームが売れなくなってきている」みたいなことを結構聞くようになってきたんですよね。ドラクエ、FF、バイオハザードみたいな誰でも知っているタイトルはともかく、それ以外で話題になって売れるタイトルが減ったような気がします。

その一方でスキマ時間にポチポチ遊べるソシャゲが台頭してきたのもちょうどこの頃。今思えばソシャゲの市場なんてやばいくらい業績を伸ばすことになっていくわけですが、それについて「2014年頃のゲーム業界を予想する」みたいなテーマで描かれているのが本作です。結論を言うとぶっちゃけ「凄い」としか言えません。

紙の本から電子書籍に戦場を変えていく勝算

ナナのリテラシー3
Ⓒナナのリテラシー

ゲームもそうだけど漫画や雑誌に関しても、電子書籍が少しずつ流行り始めてきたのもこの頃でした。当時の僕も「持ち運びが楽、紙の劣化を気にしなくていい」みたいなメリットを考えながらも「電子書籍会社のサービスが終わったらどうなんの?」っていう不安なんかもあり、なかなか電子書籍に踏み切れなかったような気がします。

しかし本作では電子書籍によって従来のやり方が食われることを明言していて、新たな漫画家の働き方のような部分にまで言及しています。それこそブログやSNSと連動して漫画を売る方法とか、場合によってはクラウドファンディングにまで踏み込んでいるんですよね。

今ならこういうテーマで漫画を描くのも難しくないだろうけど、これを5年以上前に既に予見していたってことが凄いし、今読んでも唸らされてしまうビジネスの真髄がたっぷり詰まっている全3巻です。

ナナのリテラシー 全3巻を読んだ感想・レビュー

年齢を重ねてくると特に「新しい時代に適応する柔軟性」みたいなことに尊敬しかなくなってくるんだけど、本作の先見の明は凄いと思いました。僕だって「5年後にはテレビ業界、新聞はもう終わってる」くらいの予想はできるけど、ちゃんとした根拠を示して誰にでも分かりやすく説明しろって言われたら無理です。

本作はゲーム、漫画というコンテンツについて誰にでも分かりやすく未来の形を説明していて、今読むことで実際にそうなっているという現実を示した、いわばこれ以上ない説得力を持った作品になりました。たぶん当時なら「本当にそうかなー」くらいの疑いの目を向けてたはず。

ネットビジネスというか新時代のビジネス方法みたいなものを描いた作品なんだけど、どの業界にも通じる共通点に溢れているビジネス漫画だと思います。ピンチをチャンスに変える発想って言うのは簡単だけど、これの具体例なんかを知りたいという人には文句なしにおすすめです。

あとがき

このコンサルなら受けたい。