料理漫画、グルメ漫画を読むうえで、最も重要視している要素って何ですか?まぁ料理のおいしさとか、料理を頬張った人の表情とか色々あると思うんですけど、やっぱ中華料理をピックアップするなら勢いと熱量は大事にして欲しいと思うんです。
あの鉄鍋を振るう軽快さとか、火力の強さとか…。そういうのをひっくるめて中華の魅力ですから。そして本作はその勢いを大事にしているグルメ漫画と言っても過言ではありません。というわけで今回は、天才料理少年の成長を描いたグルメ漫画「中華一番!(全5巻完結済み)」を紹介します。
中華一番! あらすじ
目には「美味(うま)いッ!」、心に「感動ッ!」 中華料理の“てっぺん”ねらう、天才グルメ少年、あらわる!! 時は清(しん)朝の末期――。四川省(しせんしょう)最高のレストラン「菊下楼(きっかろう)」では、新料理長を決める“料理勝負”が行われようとしていた!!前料理長パイの子=マオと、パイの弟子=ショウアンという因縁深い2人が“幻”の麻婆(マーボー)豆腐で激突するのだが……はたして軍配はどちらにッ!?
中華一番!の見所をチェック!!
主人公は母の味を受け継ぐ天才料理人
本作の主人公は13歳の少年ですが、天性の料理人と言っても過言ではありません。四川省最高の料理人だった父が亡くなってしまい、その後で今度は母がトップの座に上り詰めるものの、その母も亡くなってしまい、母が亡くなってから1か月後に物語は始まります。
料理一家に生まれ、その才を引き継いだ少年が「自分の父や母が守ろうとしたもの」を守っていくというグルメ漫画で、バトル漫画とも錯覚してしまうほどの熱量が大きな見所です。
普段は茶目っ気を覗かせる少年なのに、厨房に立って料理をしている姿はまるで別人。魂で作る料理の数々は多くの人を唸らせ、読者の食欲を刺激すること間違いなしです。
もはや演じてるレベルの悪役が大活躍
本作はグルメ漫画なんだけど、正確に言えば「グルメバトル」というジャンルで、いわば料理対決がメインとなっています。今時、プロレスのヒール役でも見ないような煽り方をしてくる敵がいて、その敵と料理バトルをすることになり、主人公がその敵をボコボコにするという…。
料理バトルが始まるまでは少しイライラする展開が続くものの、嫌な悪役キャラがぎゃふんと言わされる展開に溜飲が下がります。登場する敵キャラは「素」というよりも、もはや演じてるレベルなので、むしろ「主人公を引き立てるためにここまでやるのか…」と逆に気の毒になるほど。
でもこれこそが当時の少年漫画のお約束だったと思うし、リアルタイムで本作を読んでいた少年たちが心を躍らせていた要素であることは間違いありません。
意外性のある料理と奇抜なアイディア
グルメ漫画の面白い要素として、普通じゃやらないことが料理を引き立てているという隠し味的な要素が挙げられると思います。説明書通りに料理をするのではなく、本来なら発想の外側にあるようなアイディアを取り入れて、料理の味を劇的に向上させるってやつです。
例えば麻婆豆腐を作るとして、そもそも豆腐を使わないとかね。さすがにそこまで斜め上の発想はなくても、ひき肉が肉じゃないとかそういう工夫をふんだんに取り入れているので、漫画を読んでいるこっちも味を想像させられます。この勢いは圧巻の一言。
普段から本格的に料理をしない僕のような読者でも、本作に登場する奇抜なアイディアには驚かされることが多く、勉強になる一面も珍しくありません。何より逆転の発想みたいなものが面白いです。
中華一番! コミックス全5巻を読んだ感想・レビュー
本作は20年以上前に連載されていた料理漫画なので、今読むとちょっとした古臭さは感じてしまうかもしれません。しかし続編も出ているので、中華一番の世界観を堪能したいという場合は本作から読むことをおすすめします。
料理バトル漫画の原点というか、非常に分かりやすいグルメ漫画です。嫌な奴が出てきて、そいつと料理バトルをして勝つという…。その中で主人公の熱い部分や優しい人間性が見えたりするので、読んでいるこっちも応援したくなるという感じ。
古臭いとは言っても、当時の少年たちを魅了していた要素は十二分に伝わってくるし、アニメ化されている実績も分かる作品です。完成した料理が輝いて見えるからね。全5巻で読みやすく、主人公の成長していく姿が楽しめるグルメ漫画と言えるでしょう。
ちなみに本作は割と中途半端な形で終わっていて、続編の「真・中華一番!(全12巻完結済み)」がタイトルを変えなくても良かったんじゃないかと感じるレベルの続編なので、中華一番は全17巻という説もあります。
※真・中華一番!の後は「中華一番!極」へと続きます。
あとがき
中華が一番。
飯テロ上等!!面白くておすすめのグルメ漫画、料理漫画を紹介する