グルメ漫画には大きく分けて2種類あります。それは「現実的なもの」と「非現実的なもの」の2種類です。かつてのグルメ漫画と言えば、巨漢であごに特徴のある男が家族に料理を振る舞ったりするようなものでしたが、昨今のグルメ漫画には様々な趣向が見られます。
それこそファンタジー世界の酒場のようなお店で、ありとあらゆる異世界の人間に料理を振る舞うという斬新な設定もあるくらいです。というわけで今回は、読めば必ずお腹が空く異世界グルメファンタジー「異世界食堂(全4巻完結済み)」を紹介します。
異世界食堂 あらすじ
月曜日から金曜日まではオフィス街から程遠い商店街にある、しがない料理屋「洋食のねこや」。しかし、土曜日は特別な客で溢れかえることとなる。トレジャーハンター、魔族、エルフ…。我々にとっては見慣れた料理でも、彼らにとってはたちまち異世界の絶品料理となるのだ。
純粋なグルメ漫画ではない。かと言って純粋なファンタジーでもない。グルメとファンタジーが見事なまでに融合した異世界食堂、間もなくオープンの時間が訪れる。
異世界食堂の登場人物
店主
洋食のねこや店長。早くに両親をなくし、先代でもある祖父に育てられ10年前に店を受け継いだ。洋食だけでなく、和食や中華、デザートまで料理の腕は幅広く身に付けている。
非常に漢気のある人物でもあり先代からの客はもちろん、新たに訪れる客にも丁寧に接客する。勘定を払えない客にも態度を変えず、むしろ粋な計らいを見せるほどの人物。
アレッタ
魔族の娘。仕事を探している際中に眠気に襲われ、外で眠っていたところ、良い香りに導かれるようにして異世界食堂に迷い込んでしまった。
仕込み中のコーンスープを平らげるばかりか、その後店主にモーニングセットまでご馳走になり、異世界食堂でウェイトレスとして働くことを決める。
異世界食堂の見所をチェック!!
訪問客にとっては初めて見る料理
本作は毎週土曜日になると出現する「どこでもドア」みたいなものを通って、訪れた客に料理を振る舞うというスタンスになっているため、基本的に初見客の多くが意図せずに紛れ込んだカタチとなります。
そのため「トレジャーハンターが宝を探して炭鉱に潜り込んだら扉を見つけ、そこに財宝があると思いきや食堂だった」ということが起こるわけですね。
で、料理は僕らの世界では馴染み深いメニューではあるんだけど、異世界の人からしたら「メンチカツ?なにそれ?」みたいな感じで、ちょっと戸惑ってる姿があったりなんかして。これがすごく斬新。
誰しも初めて食べる料理には戸惑いを感じるものじゃないですか?それが美味しかったときの衝撃ったらないですよね。その瞬間に何度も立ち会えるってのは見所以外の何物でもないでしょう。
ファンタジーならではの設定
僕も色んなファンタジー漫画を読んできたし、ゲームも好きだからアレなんだけど「エルフ」っているじゃないですか?どっちかっつーと賢者系で魔法とか使いそうな。イメージ的には「森に住んでる生き物はみんな友達」的な。
そんな奴が店に来て、いきなりクセの強い注文とかしてくるわけです。「肉も魚も乳も卵も入っていない料理」ってなぞなぞかっつーの。まぁ本作では当然ながら店主がその要望に見事応えるわけだけど、こういうファンタジー作品ならではの要素が随所に散りばめられてます。
これを現実的なグルメ漫画でやっちゃうと「厄介な客だなオイ」って感じになってちょっと冷めた目で見ちゃうけど、エルフだったら仕方ないかってなるじゃないですか。宗教上の制約みたいなもんだし。
こういう「ファンタジー要素の強い作品だからこそ表現できる部分」に注目して読んでみて欲しいです。
料理店ならではの粋な計らい
個人的に学校近くで食堂をやってるお店で「お金がない学生さんでも皿洗い1時間してくれるなら料理を提供します」的なお店ってすっげー好きなんですよ。なんだろう、儲けを得るための商売なんだけど儲けが全てじゃないみたいな。
だからワンピースのサンジみたいな「腹が減ってる奴には食わせてやるのが料理人」みたいな考えは本当に響いてくるし…。で、多分これって僕だけじゃないと思うんです。
本作の主人公でもある店主も結構粋な計らいを見せてくれて、それこそ「代金を持たずに食べてしまった人に対して別にそれを咎めない」とか「魔族は嫌われてるからっていう部分は知らぬ存ぜぬで雇った」とかそういう些細な部分ではあるんだけど、わざとらしさもなくて良い感じだと思います。
これが明らかなお涙頂戴になってくると逆に冷めちゃうって人も出てくるんじゃないかなぁ。店主の漢気、最高。
異世界食堂 コミックス序盤を読んでの感想・レビュー
ファンタジー世界の食材を使って料理する系の「トリコ」とか「ダンジョン飯」も面白いけど、こういう「自分たちの世界の料理を異世界の人間に食べさせるグルメ漫画」ってのも面白いなぁと思います。
キャラクターの群像劇にも見応えがあるし、色んな異世界の客が紛れ込んでくるって部分にも浪漫があって良い感じ。絵も綺麗だし、ファンタジー漫画とグルメ漫画のコラボって部分に引っ掛からない人なら文句無しに楽しめるはず。
良いのか悪いのかは別にして寝る前とかに読んでもそこまで苦痛じゃないので、飯テロ要素はやや薄め。決して料理が美味しそうに見えないってわけじゃないんだけど、なんなんだろう…。
そして本作には原作とアニメがあって、そっちを知る人からするとコミックスが酷評されてる部分もあるんですね。まぁコアなファンの人って「原作の方が良かった」って言うじゃないですか?焼き鳥食べてても「塩のがぜったい美味い!」って言うじゃないですか?
僕はアニメとか原作見たことないけど、コミックスは面白いと思いました(もしかしたらアニメを見たら、もっと面白かったってなるのかもね)。
あとがき
異世界食堂、行ってみてぇ。
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