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「スピナーベイト」を読んだ感想・レビュー

スピナーベイト
Ⓒスピナーベイト

ヤクザでも半グレでも「上納金」みたいなシステムってよく聞く話で、その辺の学生でもいじめの延長に上納金やポイント制のシステムがあったりってことを聞くことがあります。

個人的には躍起になって頑張るほどの熱量は持ち合わせてないんだけど、最下位がパシリにされるっていうルールがあれば、少なくとも最下位にはならないようにするだろうし、それはみんな同じだろうから結局グループの中で競争が起きるんですよね。

本作はそんな競争やいじめにスポットが当てられているちょっとダークな青春ストーリーです。というわけで今回は、リアル青春バイオレンス「スピナーベイト(全3巻完結済み)」を紹介します。

スピナーベイトのあらすじ

さえない男子高校生・三井が所属するフィッシング部。だが部活の実態は「スピナーベイト」と名乗る恐喝まがいの自警団だった。犯罪を取り締まることによって稼いだポイントが絶対の序列となるこの組織で、未だ1ポイントも稼ぐことが出来ない三井の明日は…? 臆病者とバカの疾走! リアル青春バイオレンス第1巻!!

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学校内でのヒエラルキー

スピナーベイト
Ⓒスピナーベイト

学校内で分かりやすい順位が付くのってテストの成績くらいだと思うんですが、リア充かどうかみたいなことで目に見えないヒエラルキーが構築されたりするものです。クラスではクラスの、部活では部活のヒエラルキーが存在するはず。

本作のタイトルにもあるスピナーベイトは、本作では「釣りに見立てた自警団(としての活動)」となっています。なんでもない高校生の主人公たちが町の犯罪を取り締まり、それによってポイントが付与され、自警団の中での序列が決められるという…。犯罪が大きければ大きいほど、それに対する見返りのポイント(釣果)も大きいという感じ。

ぶっちゃけネズミ講みたいな空気感がありますが、主人公は決して不良の気が強いタイプではないため、このような環境下でどう立ち回っていくのかに大きな見所があります。

自警団による犯罪まがいの活動

スピナーベイト
Ⓒスピナーベイト

犯罪を取り締まる自警団って聞くとボランティアっぽい雰囲気を感じるかもしれませんが、そんなことは一切ありません。簡単に言うなら「恐喝している奴を恐喝する」みたいな感じでしょうか。

自分たちが警察や神になったつもりで活動しているというあたりが何とも幼いわけですが、だからこそ危うい面も抱えているわけで…。こういう仕組みになると自分から犯罪に対する撒き餌をし始めたりするっていうね。

それこそ美人局なんかがその典型例です。自分で何のヒントもない状態から犯罪を見つけて、それを取り締まるっていうよりも「知り合いの女の子にその辺のおっさんを捕まえて来させる」って方が手っ取り早いんですよね。

物語の向かう先、着地点

スピナーベイト
Ⓒスピナーベイト

人が因果応報として人に私的制裁を加える場合、より大きな暴力によってそれが自分に降りかかってきても文句は言えないわけですが、本作がどのような着地点を迎えるのかは非常に大きな見所です。

同じ自警団に所属していて、それなりに悪行に身を染めているとは言っても、その中に序列があるように悪行の度合いは人によって違います。全員が一律で同じ天罰を受けるっていう展開も違うと思うし、かと言ってこのまま自警団の活動が野放しになってるっていうのも違うし。

必ずしっぺ返しを食らうだろうということは予想できるものの、それがどんなタイミング・形で降りかかってくるのかが全く予想できません。全3巻でサクッと結末にたどり着けるという点も〇です。

スピナーベイト 全3巻を読んだ感想・レビュー

よく見るいじめ系漫画の展開から始まったかと思ったら、いじめられっ子がやられっぱなしじゃないっていう点も含めて、あまり見ない方向に進んでいったので新鮮でした。いじめのターゲットって移り変わりが起きにくいイメージがあるじゃないですか?

でもスピナーベイトでは犯罪を取り締まったポイントで序列が決まるので、ちょっとやる気を出せばすぐに序列をひっくり返せるっていうね。もちろん本人にやる気があってこそではあるものの、やっぱいじめられるのは誰もが嫌なわけで…。この辺の心情の変化にも見応えたっぷりでした。

そして最終的な結末も最初に予想していたのとは違って、最初から最後まで楽しめた全3巻だったと思います。キラキラした青春とは程遠い学園もの、ちょっとダークな雰囲気を纏った高校生活に興味がある人におすすめです。

あとがき

座して死を待つな。