思春期時代のことを思い返してみると、ヤバい男子は多かったけどヤバい女子はあんまりいなかったなぁ。それは僕が男で、男子との接点の方がずっと多かったからそう感じるのかもしれないけど。
本作に登場する女子生徒には特殊な能力があります。いわゆる超能力みたいなやつなんだけど、1個だけ大きな問題があるっていう感じ。というわけで今回は、思春期限定の非日常的な日常「うちのクラスの女子がヤバい(全3巻完結済み)」を紹介します。
コミックス1巻部分のみネタバレあります。
うちのクラスの女子がヤバい あらすじ
1年1組はどこにでもあるごく普通のクラス。だけど、他のクラスとはちょっとだけ違うところがありました。女子生徒がみんな、「無用力」と呼ばれる、まるで何の役にも立たない、それも思春期だけしか使えない超能力を持っていたのです――。思春期女子はへんてこで、それがフツーで、みんなかわいい！ 衿沢世衣子が描く、思春期限定・ちょっと不思議なハイスクール☆デイズ！
うちのクラスの女子がヤバいの見所をチェック!!
無用力と呼ばれる些細な力
タイトルの時点で「うちのクラスの女子がヤバい」って言われると構えてしまう読者も少なくないんじゃないかと思いますが、本作で描かれているヤバさは「無用力」と呼ばれている超能力のようなものに起因しています。
無用力はカッコ良く言えば超能力のようなもので、人によって能力が異なるうえにどれもが「大して役に立たない些細なもの」です。そして1年1組の女子にのみ備わっています(そういう能力を持っている女子を1組に集めた)。
透視能力にしたって服が1枚や2枚透ける能力が男子に備わったっていうんであれば、それは無用でもなんでもない有益な能力になるんだろうけど、女子にしかなくてしかも筋肉まで透視しちゃうってなればね。確かに些細な能力なのかも。
「誰得？」な能力がたくさん
そして無用力は「誰得？」と思える能力がたくさんあります。イライラすると手がイカみたいになる能力だったり、混乱すると高い周波数の音を発してしまう能力だったり…。
こういう特殊能力系の漫画って、もし自分ならどの能力が欲しいかみたいな話で盛り上がることがあると思うんですけど、普通は魅力的な能力がありすぎて悩むじゃないですか？でも要らなすぎて悩むことになるとは夢にも思いませんでした。
テンパってモスキート音を出すとか最悪でしょ。テストの時とか「あいつテンパってんなー」ってバレるし、何より周りの人が迷惑するはず。…無用力恐るべし。
シュールながらも嫌な気持ちにならない世界
無用力は人によってその能力が変わります。些細な能力とは言うものの、ちゃんと能力の本質を理解したうえで、それを悪用しようと思ったら結構使える能力もあるんです。まぁ場合によっては「自分の能力が何なのか」に気付いていない女子もいるわけですが…。
で、能力の内容によっては周りのクラスメートが嫌がったりする展開も想像できるじゃないですか？特に「記憶が消えるおにぎり」なんて普通なら食べたくないですよね。その子は野球部のために一生懸命おにぎりを作っただけなのに、それが迷惑になっているなんて知らないわけです。
そこで野球部のキャプテンとしては断り方を考えなきゃいけないんだけど、当然デリカシーがない断り方をする可能性もあって、この場合はおにぎりを作っている女子が傷付いてしまう展開が予想されます。でも本作はそんな感じにならないんです。すごくハートフルな結末になることが多いのでぜひ。
うちのクラスの女子がヤバい コミックス全3巻を読んだ感想・レビュー
タイトルからは想像できないくらいハートフルな展開が多い漫画でした。変な能力を茶化したり、気持ち悪がったりする男子の姿が想像できたけど、そういう感じは一切ありません。
というかこれほどまでの無用力を思い付いたのもすごいし、それをテーマに漫画を描こうと思ったっていう姿勢はもっとすごい。記憶を失うおにぎりとか結構強烈なのに、使い方によっては優しい能力になるからね。
作中では無用力なんて名前が付いて一見すると無駄な能力のようにも思えるんだけど、これってそれぞれの個性にも通じる部分があるんじゃないかって思いました。僕は声が大きいってよく言われるんだけど、場合によっては堂々としているとか聞き取りやすいって言われるし、でもヒソヒソ話はできないっていうね。これも一種の無用力なんじゃないかと。
感じ方は読者次第ですが優しい展開が多い日常漫画なので、ちょっとした不思議な能力ありきの日常漫画に興味がある人には文句なしにおすすめです。
あとがき
思春期限定っていうのがまた良き。
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