かの野村克也氏は「野球は頭のスポーツだ」という名言を残し、自身もID野球と呼ばれる戦略的な野球を展開しました。野球で勝つには肉体的な強さやセンスだけじゃなく、考えることも重要だという意味なんでしょう。
日本では国民的な人気を誇っているスポーツの1つが野球ですが、今でも様々な視点の野球漫画が誕生しています。とりわけ人気の高いテーマといえば「高校野球」です。
強豪校に入って常勝を求められる展開もあれば、弱小校を強くするパターンもあるし、なんなら野球部が存在しない状態から甲子園を目指すという作品も珍しくありません。本作は野球部がない状態からスタートする野球漫画ですが、主人公の初期設定が異質な野球漫画と言っていいでしょう。
というわけで今回は、ひ弱な主人公が観察眼(観測眼)を武器に戦う野球漫画「オーライ!(全3巻完結済み)」を紹介します。
オーライ! あらすじ
汗を流す姿を見て「無駄だ」と切り捨てる鳳城高校1年・守崎ヨハン。ある日「甲子園(―魔物―)退治に興味はないか?」と同じ学校の先輩・薙居ビローに誘われて…。野球界に新たな価値観を提示する高校野球譚――ここに開幕。
オーライ!の見所をチェック!!
ひ弱な主人公がどのように成長していくか
弱小校が甲子園を目指す展開、そして主人公が「ポテンシャルは秘めてるんだけど現時点では最弱」という展開はありきたりなものですが、本作が異質な点は主人公の特徴です。
いわゆるオタク気質なぼっち系男子というか…子供のころから無駄が嫌い(=プロになるわけでもないならスポーツをやること自体が無駄)という性格で、ふとしたことがキッカケで野球を始めることになります。
体格的に恵まれているわけでもなく、バックボーンは「観察眼(作中では観測眼)」と呼ばれる予測能力です。学習能力に近いかな。前フリではキャッチャーとして大成しそうな能力なだけに、今後面白くなりそうな気配を強く感じます。
仲間同士の絆や友情
これまでは友達もおらず、ずっと独りぼっちだった主人公。野球を通じてチームメイトに必要とされ、自分もチームの力になりたいと考えるようになっていきます。昔からずっと無駄を嫌っていて、友達も作ってこなかった主人公にとって、一緒に野球をやる仲間たちはかけがえのない存在と言えるでしょう。
対戦相手から「穴」だと思われたり、弱点として認識されている中でも、決して腐らずに自分がチームのために出来ることを模索する姿は、最終的に大きなことを成し遂げるための伏線になっているような気がします。
最初は「こいつ使えねぇなぁ」みたいな感じで接してくるチームメイトやライバルも、徐々に主人公を認めるようになっていくし、お互いがお互いにとって必要な存在になっていく様子は、見ていて心を動かされるはず。
ケガの伏線
ぶっちゃけ個人的にはケガを美談にして欲しくないので、高校野球を代表とするスポーツ漫画にありがちな選手生命が終わってしまうほどのケガっていう要素はあまり好きじゃありません。
でも「スラムダンク」然り「ROOKIES」然り…。なんだかんだで最後は泣かされちゃうんだよね。本作も最終的にどうなるかは分からないけど、初期段階で主要キャラの1人にケガがあることを示唆しています。
ケガを乗り越えるのか、それともケガで野球ができなくなったことによって他のチームメイトが奮闘するのか。いずれにしても目が離せない展開が続きそうです。
オーライ! コミックス1巻を読んだ感想・レビュー
野球漫画の主人公と言えば、大体がピッチャーじゃないですか?もしくは天性のスラッガーか。本作の主人公はポテンシャルこそ秘めてはいるものの、それが最終的にスラッガーに成長するような打撃力ではなく、観察眼という知性に関するポテンシャルです。
これがキャッチャーには最高の能力で、相手の感情を読み取ったり、相手の裏をかいたりすることに直結しそうなので、この初期設定には非常にわくわくします。
僕のようなオッサン読者からすると、キャラの名前が眩しいというか「カルイビロー」とか言われると、聞いたこともないメルヘンな苗字にタマヒュンしてしまうというか…。ぶっちゃけ厨二要素のようなものを感じて、若干引いてしまう部分はあるんだけど、それを差し引いても「主人公がどのように成長していくのか」がすごく楽しみです。
あとがき
All rightのニュアンスが難しい。
多くのドラマに泣いた人は数知れず!面白くておすすめの野球漫画を紹介する